農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 116 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/18 01:09   >>

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 その時。

「ハヤブサ!!」

「――――!」
 聞きたかった声。だけど、最も『聞いてはいけない声』を、聞いた様な気がしたかと思うと。
 自身の身体がいきなり強引に、一陣の風にかっさらわれたような感覚を得た。そのまま抱きしめられ、ずるずると地面を滑る様に移動する。庇われているのか、地面に擦られるような感覚は、自分の体には与えられない。しかし、折れた左足が千切れそうになったが故に――――ハヤブサに激痛がもたらされてしまう。
「うぐッ……! ああっ!!」
 堪え切れず、上がってしまう悲鳴。
「ハヤブサ!?」
 その悲鳴に反応するように、ガバッと跳ね起きる――――シュバルツ。
(ああ………!)
 会いたかった。けど、今、一番会いたくはなかった愛おしいヒトのその姿に、ハヤブサは知らず歯を食いしばってしまう。

 何故、来た。
 何故――――来てしまったんだ、シュバルツ。
 俺は、お前に『助けて欲しい』などと、決して望みはしなかったのに……!

 そんなハヤブサの心情を知ってか知らずか、跳ね起きたシュバルツは、ただハヤブサの身体を案じていた。
「どうした!? ハヤブサ! 何処を――――」
 その瞬間、ハヤブサの折れ曲がった左足を認識したシュバルツは、思わず息を飲んでしまう。
「足を――――! ハヤブサ……!」
 手当てをしなければ、と、シュバルツはハヤブサの足に手を伸ばそうとする。しかし、それをする事が出来なかった。何故なら、彼の背後から、素戔鳴の低い声と鋭い殺気が襲いかかってきたからだ。

「………何だ? 貴様は………!」

「――――!」

 はっと、弾かれた様に振り向いて、刀を構えるシュバルツ。そんな彼を、憤怒の形相で見据える、素戔鳴の姿があった。
「何者だ? 貴様は――――!」
「…………?」
 目の前の仁王からの質問の意図が少しわからず、刀を構えながら眉をひそめるシュバルツ。だがハヤブサは、素戔鳴が何に対して怒り、何を言わんとしているのかがよく分かった。分かってしまったから――――そこから先の言葉を素戔鳴に言わせたくなくて、シュバルツに聞かせたくなくて、足掻こうとする。
「シュバルツ………うぐッ!!」
 だが思うように動かない身体。激痛を堪えられずに悲鳴が上がる。
「シュバルツ……聞くなッ!」
「ハヤブサ……?」

 駄目だ。
 駄目だ、シュバルツ。
 お願いだ。俺の事などこのまま見捨てて――――

 今すぐ、ここから逃げてくれ。

 だが、ハヤブサの願いを聞く者はそこにはおらず、無情にも、素戔鳴の言葉は紡がれ続けてしまう。
「何と邪悪な……! 何故、貴様の様な物が、人の子の傍をうろついておるのだ!!」
「――――!?」
「吾には見えるぞ……! 貴様のその身体―――――何と不自然でいびつで、邪悪な物で出来ておるのか!!」
「な………!」
 素戔鳴の言葉に息を飲むシュバルツ。そんな彼に、目の前の仁王は更にたたみかけてくる。
「そんな『モノ』が、善良なふりをし、人の子に近づく……。その行為が、どれだけ人の子を危険に曝している事か――――汝は分かっておるのか!?」
「……………!」
「汝は、この世に存在していてはならぬものだ!! 今すぐ、抹消されるべきものなのだ!!」
 素戔鳴の言葉に呼応するかのように、兵士たちがその周りに集まって来て弓矢をつがえ、シュバルツに狙いを定め始める。
「あ…………!」
 シュバルツは、ただ茫然とするしか術はなかった。何故なら――――素戔鳴に指摘された事は、自分自身も常日頃から、薄々感じていた事であったから。
 だけど、自分がそれを口に出してしまえばキョウジが哀しむ。キョウジを責める事に、繋がってしまう。
 それだけは、嫌だった。
 自分は、キョウジの罪と涙の果てに、この世に生まれ落ちたモノ。それは充分分かっている。そしてそれ故に―――キョウジがずっと苦しみ続けている事も。
 だからなおの事、自分はキョウジを責めたくなかった。守りたい、と、願った。
 そしてその願いを実行するために、シュバルツは、自身の罪の意識に蓋をする。
 無理やり、それを心の奥底に沈めて――――
 自分は、罪に塗れていようとも、顔を上げ続ける事を選択した。
 だけど、改めてそれを外から指摘されてしまうと――――

 隠していた、罪の意識が浮上する。
 無理やり閉じていた蓋が、開きそうになる。

「…………ッ!」
 知らず、下がってしまう剣先。折れそうになる膝。
 だがその時、彼の後ろでか細い声がした。

「シュバルツ……ッ!」

 ハヤブサ――――!

 瞬間的に、我に帰るシュバルツ。
 そうだ、ハヤブサを。
 ハヤブサを、守らなければ。
 その為に――――私はここに来たのだから。

 目の前に居るのは、手負いの仁王。

 大丈夫。
 まだ――――『逃げられる』
 ハヤブサを生かすためなら、自分はどうなっても構わなかった。

 

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