農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 117 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/19 08:26   >>

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「シュバルツ……!」
 龍の忍者は足掻き続ける。

 何故。
 何故来たのだ、シュバルツ。

 聞かせたくなかったのに。
 素戔鳴から発せられる、お前を傷つけるその言葉を
 絶対に、お前には聞かせたくなかったのに――――!

「う……! く………!」

 立ち上がりたい。
 今すぐ素戔鳴を、ぶん殴ってやりたい。
 何故。
 何故今、動く事が出来ないのか、この身体は――――!

 その時シュバルツから、ハヤブサにだけ聞こえるような小さな声で、そっと呼びかけられた。
「ハヤブサ……」
「…………?」
「目を伏せろ」
「――――!」
 その一言で、これから何が起こるのか察したハヤブサは、言われたとおり目を伏せる。二人の忍者のその動きに気づかない素戔鳴は、部下たちに矢を『放て』と、命を下そうとした。
 その瞬間。

 ピカッ!!

 シュバルツの手の内から、眩いばかりの青白い光がさく裂する。
「何っ!?」
 素戔鳴や兵達が、その光に視界を奪われた刹那――――忍者たち二人は、その場から脱出する事に成功していた。視力が戻った素戔鳴は、その事実に激怒する。
「何をしている!! 早く追え!!」
 突如として光の渦に襲われ、動揺している部下たちに向かって、素戔鳴の叱咤する声が飛ぶ。
「特に後から現れた黒髪の男――――奴こそ絶対に逃してはならん!! 見つけ次第、必ず滅殺せよ!!」
「は、はっ!!」
 視力の戻ってきた兵達が、素戔鳴の命に従い、森の中を走りだして行く。
「奴は怪我人を抱えている……! そう遠くへは逃げられまい―――」
 だから、必ず見つけられるはず。
 素戔鳴はそう強く確信して、また自身も森の中へと分け入って行った。


 そこから少し離れた場所で、シュバルツはハヤブサを地面に下ろしていた。とにかくハヤブサの折れた脚を早く手当てしなければ、最悪彼は、足を失わなければならなくなってしまう。素戔鳴から早く逃げなければならない事は分かってはいたが、ハヤブサの手当てをする事が、シュバルツにとっては何よりも重要な――――最優先事項になっていた。
 地面に下ろされたことで、ハヤブサは身を起こそうとする。
「シュバルツ……!」
 とにかく、シュバルツに言いたい事がたくさんあった。それを言おうとして、ハヤブサは口を開こうとする。
「シュバルツ……! お前――――うあッ!!」
 だが足の方に激痛が走って、ハヤブサはそれが出来なくなってしまった。シュバルツがハヤブサの折れた左足を強引にくっ付けて、そこに添え木をしたからである。そのまま彼は、懐から包帯を取り出すと、慣れた手つきで足に包帯を巻きつけていく。
「ううっ! くう……ッ!」
 足からもたらされる痛み故に、ハヤブサの思考はマヒして、その言葉も奪われてしまう。
(くそっ……!)
 シュバルツに治療を施されている間、ハヤブサは口を開く事をあきらめざるを得なかった。

「……これで、しばらくは大丈夫だろう。済まなかったなハヤブサ。少し手荒くなってしまって……」
 そう言いながらシュバルツは、ようやくハヤブサの足から手を離す。足はきちんと固定されて、綺麗に包帯が巻かれていた。
「……………!」
 だが、痛みが治まる訳ではないから、ハヤブサの呼吸は自然と短く、荒い物へとなって行く。身体に寒気が走るのを感じる。おそらく――――熱も出てきているのだろう。
「シュバルツ……ッ!」
「時間がない、ハヤブサ。行こう。私に捕まって――――」
「―――――ッ!」

 バシン!!

 乾いた音が、森の中に響き渡る。ハヤブサが、シュバルツの差し出してきた手を、乱暴に振り払ったのだ。
「ハヤブサ……?」
 手を振り払われたシュバルツが、茫然とハヤブサを見つめる。その視線の先で――――ハヤブサの身体が、小刻みに震えていた。

「………まず、助けてくれたこと……そして、治療をしてくれた事……礼を言わせてもらう」
 苦しい息の下、それでもハヤブサは何とか言葉を紡ぐ。
 素戔鳴に追われる身。今は、一刻も早く逃げなければならない事は、ハヤブサも分かっている。
 だが――――それ以上に、シュバルツに言いたい事、ぶつけたい気持ちがハヤブサの中で渦を巻いて出口を求めて暴れまわっていた。それを吐き出さなければ自身が窒息してしまう。そう感じてしまうほどに、その衝動は激しかった。
「だがな……シュバルツ……!」
「ハヤブサ……」

「何故来た!?」

「――――!」

「俺は言った筈だ、シュバルツ……! 『お前は、仙界軍とは戦うな』と……! 仙界軍は、お前を破壊する力を持っている……! その攻撃がお前に当たっただけで……矢が掠めただけで――――お前は死ぬんだぞ!?」
「…………!」
「それなのに……! 何故、こんな所に来たんだ! シュバルツ!! 俺は、望みはしなかったのに……! お前に助けて欲しいなどと、決して望みはしなかったのに――――!」

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