農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 118 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/20 13:53   >>

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 シュバルツは、そんなハヤブサを少し哀しげな眼差しで見つめていたが、やがて口を開いた。
「では、ハヤブサは……逆の立場になった時……私か危険にさらされていると知れば―――――お前は、助けに来ないのか?」
「――――ッ!」
 痛い所を突かれて、ぐっと言葉に詰まるハヤブサ。

 来ない訳がない。
 来ない訳がないではないか。

 今の状態がまさにそうだ。
 このままではお前が死んでしまうと悟ったからこそ俺は―――――

 こうして、単身で敵と戦っていたと言うのに。

 それを、助けられてしまって、却ってお前を危険にさらす原因になってしまうなどと――――それこそ本末転倒ではないか。

「納得したのなら行こう、ハヤブサ。私はお前を助けたい」
 そう言いながらシュバルツは、またハヤブサに手を伸ばしてくる。しかしハヤブサは、尚もその手から一歩後ずさった。
「…………ッ! 駄目だ……!」
「ハヤブサ……」
「シュバルツ……せっかく来てくれたのに悪いが、このまま、1人で行ってくれ」
「な………!」
 ハヤブサの言葉に息を飲むシュバルツ。ハヤブサは、そんなシュバルツをなだめるかのように、顔に少しの笑みを浮かべると、言葉を続けた。
「俺はいい。この傷だ。もう、一歩も動けない――――」
 足からもたらされる激痛のせいで、先程から意識が朦朧としている。寒気も依然続いている。熱が上がり続けているのだろう。
 お世辞にも、この先の戦いに、役に立つ体調とは言えない。このままシュバルツと共に行けば、足手まといになってしまうのは目に見えていた。
 そんな事になるくらいなら。
 シュバルツが死んでしまう原因の一翼を、自分が担ってしまう事に、なるくらいなら。

 今ここで――――死んでしまった方が、はるかにましだった。

「俺を抱えて、素戔鳴の追跡を受ける事がどれほど危険な事か――――分からないお前ではないだろう? だから、このまま独りで行ってくれ、シュバルツ……! 俺は、お前の足手まといにはなりたくないんだ」
「ハヤブサ……!」
「頼む……! このまま俺の事は置いて――――」

「嫌だ」

 龍の忍者の懇願に、しかしシュバルツは首を横に振った。
「シュバルツ……!」
「嫌だ」
「駄目だ! 俺はもう――――!」
「嫌だっ!!」
「…………!」
 張り上げられる、シュバルツの悲鳴のような大声に、ハヤブサは一瞬気圧されてしまう。だけど、またすぐ気を取り直した。今ここで、シュバルツを危険に曝すような選択肢を、選ぶ訳にはいかないのだ。
「シュバルツ……! 頼むから――――」

「嫌だ! 嫌だ!! 嫌だっ!!」

 シュバルツは激しく頭を振った。まるで小さな子供の様に、言う事を聞いてくれそうにない愛おしいヒトのその様子に、ハヤブサは辟易してしまう。
「シュバルツ……!」
「ではハヤブサ――――! お前に問うが……」
 そう言いながら顔を上げたシュバルツの瞳からは、涙が零れ落ちていた。
「お前は……! 私とお前が逆の立場だったら………私が『死ぬ』と分かっている状況で、それでも私が『置いて行ってくれ』と頼んだとして――――お前は、私を置いて行くのか!?」
「――――!」
「置いてなど行かないだろう!?」
 シュバルツの言葉に、ハヤブサは反論の言葉を失ってしまう。
 確かにそうだ。
 もしも逆の立場で、シュバルツが絶対死ぬのだと分かっている状況の中で、彼にそれでも『置いて行ってくれ』と頼まれたとしても――――
 絶対にそれは聞き入れられない。
 何が何でも連れて行こうとするだろう。例え、殴ってでも蹴ってでも。

『生きて欲しい』

 そう、願ってしまう。
 ――――愛しているから。

「私も同じだ!!」

 涙を飛び散らせながら、シュバルツは叫ぶ。

「私もお前と同じ理由で――――今、ここに居る!!」

(え…………?)
 何かとんでもない言葉をシュバルツから聞いた様な気がして、ハヤブサはしばし呆然としてしまう。
「ハヤブサ………!」
 シュバルツの手が、そっと、ハヤブサの手に添えられてくる。
「生きてくれ、ハヤブサ……」
「シュバルツ……」
「私に……お前を、守らせてくれ………!」
 その手がハヤブサの頬まで、優しく滑ってきたかと思うと。
「シュ、バ――――ん……ッ!」
 ハヤブサの唇が、シュバルツの唇にそっと塞がれた。
 そのままハヤブサの口内が、シュバルツに優しく吸われる。
(シュバルツ……!)
 シュバルツからの口付けを受けながら、ハヤブサはたまらなくなる。

 そんな事をされてしまったら、愛おしさが溢れてしまう。
 押さえていた『欲』が、堪え切れなくなる。

 もう一度、シュバルツを抱きたいと
 触れたいと
 願ってしまう。

(生きたい………!)

 お前と、共に――――

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