農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 119 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/21 23:37   >>

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(駄目だ……! そんな事を思っては――――!)
 ハヤブサは、自身の中にもたげてきた『欲』に、懸命に抗おうとする。
 シュバルツに、自分を守らせる様な事をさせては駄目だ。そんな事をさせてしまったら、それこそ彼は自身の身を顧みることなく、守ろうとする対象を守りぬいてしまうだろう。だがそれは、仙界軍が相手では、文字通りシュバルツを殺す行為になってしまう。 
 それは嫌だ。
 自分が、シュバルツの死の原因の一翼を担ってしまう――――そんな事になるぐらいなら、今ここで死んでしまった方が、よほどマシだとハヤブサは思った。

 だから、振り払わなければならない。
 シュバルツからの口付けを、拒絶、しなければならないのに――――

 心とは裏腹に、ハヤブサの手はシュバルツを抱きよせてしまう。ハヤブサの舌は、シュバルツの口腔深くへと侵入してしまう。
「ん………! んぅ……!」
 腕の中で、呼吸を奪われてしまった愛おしいヒトが、くぐもった声を漏らす。
 振るえるその身体を、きつく抱きしめる。

 愛おしい――――
 なんて、愛おしいのだろう。

「……………」

 口付けが終わった後、シュバルツがハヤブサの身体を、そっと優しく抱きしめてきた。
「ハヤブサ……」
 耳元で、囁かれる。
「私と一緒に……来て、くれるか……?」

「…………!」

(駄目だ……! 振り払えない――――)
 この優しさを
 愛おしさを
 拒絶できない――――

 愛おしいヒトからのこんな説得は、ある意味卑怯だ。
 こんなの絶対に、逆らえる訳無いではないか。

「分かった……。行こう」

 ハヤブサは、頷かざるを得なかった。
「ただ一つ、条件がある。シュバルツ」
 頷く代わりに龍の忍者は、ある条件をシュバルツに提示する。
「条件?」
 小首をかしげるシュバルツに、ハヤブサはにこりと笑った。
「俺を連れていくのなら――――『背負って』連れて行ってくれ」


 こうしてシュバルツは、ハヤブサを背負って森の中を移動する事になった。シュバルツはハヤブサを背負ったまま、森の中を軽快に走り続けている。
(これで……少なくとも、シュバルツの『背中』は守れる……)
 シュバルツの背中に背負われながら、ハヤブサはそんな事を考えていた。
 忍者が逃走する際に置いて、仲間の身体をその背に背負うのは、ある意味常套手段だ。こうしておけば、後ろから弓を射かけられても斬りつけられても、仲間の身体が盾代わりになる。走って逃げる本人の生存確率は、ぐっと上がると言う訳だ。
 だからこの場合、背負われる物は仲間の『遺骸』であると言うのが普通だ。自分の身体も守れるし、仲間の遺骸も持ち帰れて、弔ってやることもできる。利用できる者は何でも利用する――――ある意味、忍者らしいサバイバル術であると言えた。
 自力で、立って歩く事も出来ない自分は、戦闘においては何の役にも立てない。ならばせめて――――こうして背負われることで、彼の盾代わりになりたかった。このまま彼の背を守って死ねるのであるならば――――それもまた、本望ではないか。
(それにしても………)
 ハヤブサは、先程シュバルツから説得された一連の流れを思い出して、改めて赤面してしまう。本当に、酷くストレートに、シュバルツの気持ちを直接ぶつけられて来てしまった。こんな事、初めてだ。

「それにしても今日のお前は、やけに素直だな」

 だからつい、こんな言葉も出てきてしまう。自分の頬が、酷く緩んでしまうのを押さえる事が出来ない。こんな事を考えている場合ではないと、ハヤブサは重々承知しているのだが、それほどまでに―――――彼は今『幸せ』だった。
「そうか?」
 それに対してハヤブサを背負っている愛おしいヒトは、普通に答えを返してくる。それでは少し味気ないから、ハヤブサは、少しシュバルツをつつく事にした。
「そうだとも。お前、さっき俺に対して自分が言ったこと――――分かっているのか?」

 お前と同じ気持ちだと叫ばれ、キスをされる。
 こんなの――――『愛している』と言われているも同然だ。
 この言葉は、今までどんなにこちらがシュバルツに要求しても、決して言ってくれない物だったのに。

「ああ………」
 しかし、ハヤブサのその問いかけにシュバルツは軽く相槌を打つと、何でもないような感じで答えを返された。
「私が素直になった方が、お前を説得しやすいと思ったんだが――――読み通りだったな」
「――――!」
 そう言って目の前の愛おしいヒトがにこりと笑う。そんなシュバルツの姿に、ハヤブサは軽くショックを受けていた。
(う……嘘だろう!? さっきのシュバルツのあの一連の言動行動は、計算ずくの物だったのか……ッ!?)
 もしそうだと言うのなら、自分は、シュバルツの目論見に完全に頭から引っ掛かったと言う事になる。彼の掌の上で完璧に踊らされてしまった自分を自覚してしまって、ハヤブサはしくしくと泣き出してしまった。
「ひどい……! 俺の純情を、シュバルツに弄ばれた……!」
「別に、弄んだつもりはないぞ」
 ハヤブサの抗議に、シュバルツは苦笑しながら答えを返す。しかし、納得のいかないハヤブサは、ブツブツと文句を言いだした。
「チクショウ……! 無事に帰れたら、絶対に、お前を嫌って言うほど抱いてやるからな……!」
「あはは…………抱かれてもいいが、無理だな」
「何故だ?」
 ハヤブサの問いかけに、目の前の愛おしいヒトは、少し何かを考えるような間を置いてから、応えてきた。
「だって……お前、足の怪我が――――」

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