農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 123 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/29 18:46   >>

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「ハヤブサ……!」
 シュバルツの何度目かの呼び掛けに、ようやく龍の忍者は瞳を開けた。
「……シュバルツ……。怪我は……無い、か……?」
「…………!」
(何故………!)
 シュバルツはたまらず天を仰ぐ。

 何故だハヤブサ。
 何故、そこまで――――

「………大したものよ。まだ、そこまで動けたとはな……」
「――――ッ!」
 素戔鳴の声にビクッと反応した龍の忍者は、またシュバルツを庇うような動きをする。彼をその背に守り、龍剣を構えた。
「ハ……ハヤブサ……!」
(もうこれ以上は無理だ)
 そう判断したシュバルツは、ハヤブサの前に出ようとする。しかし、またしてもその動きを、龍の忍者が阻んだ。ハヤブサは彼の手を掴み、自分の意志を強く伝える。「絶対に、前に出るな」と――――
「ハヤブサ……! 何故――――!」
「……………」
 シュバルツの問いかけにハヤブサは答えない。ただひたすら素戔鳴を睨み据え、龍剣を構え続けている。まだ、まだ彼は、戦う気なのだ。

 でも
 でもこれ以上は本当に駄目だ。
 止めないと――――
 彼の方が死んでしまう。

「ハヤブサ……! もういい……!」

 だからシュバルツは必死にハヤブサに呼びかける。
 もういいのだ。
 もう充分だ。
 これ以上私なんかを守って――――
 彼が死んでしまう必要なんてない。

「もう良いんだ……! ハヤブサ……!」

 そう言ってシュバルツは、ハヤブサの手を振りほどこうとする。しかしハヤブサがそれを拒否した。
「駄目だ!」
 そう言いながらハヤブサは、シュバルツの手をますます強く握ってくる。重傷を負っているハヤブサの何処にこんな力が残されているのか、不思議に思えるほどだった。
「ハヤブサ……! 手を離せ……」
「駄目だと言っている!」
「しかし、このままでは――――!」
「俺は大丈夫だ!! だから、絶対に前に出るな!!」

「………この局面で、まだ闘志を失わずか。人の子にしては、大したものよ……」

 ジャリ、と、足音を立てながら、素戔鳴がゆっくりと近づいてくる。その間もハヤブサの剣先は下がらず、視線が逸らされる事も無い。その様を見た素戔鳴は口の中で「惜しいな」と、呟いた。

「汝に今一度問う。汝の背後に居る『モノ』は、そうまでして守る価値のあるものなのか?」

「……………」
 ハヤブサは、しばらく苦しそうに肩で息をしながら素戔鳴を見据えていたが、やがて今度はその問いに応えた。
「………ある。俺にとってシュバルツは……何よりも得難い、大事なヒトだ」
「その『モノ』の本質は『悪』だ。捨て置けば人の子の世界に害をなすやもしれん。――――それでもか?」
「―――――!」
 素戔鳴のその言葉にハヤブサの眉が釣り上がり、シュバルツは息を飲む。だが、ハヤブサは迷わなかった。
「世界がどうとかなどは知らん……。ただ、『俺』にとってのシュバルツは『光』だ……。絶対に、失いたくないと願う程の――――」
「光だと?」
 問い返す素戔鳴に、ハヤブサは面に笑みを浮かべる。
「お前や世界に、理解など求めてはいない……。ただ、俺にとってはそうだ。だから、守る」

 例え、全世界がシュバルツの存在を許さなくとも。
 お前が間違っているのだと否定されたのだとしても――――
 俺は
 俺だけは
 シュバルツと共にある方を選ぶ。

 それだけのものを、俺はもうシュバルツから受け取っているのだから。

「俺は絶対に、シュバルツを否定しない!!」

「…………!」
 ハヤブサの言葉に素戔鳴は顔をひきつらせ、シュバルツはまた別の意味で息を飲む。ハヤブサ以外の二人ともが言うべき言葉を失い、辺りにはただ、龍の忍者の肩で息をする苦しげな息づかいだけが響き渡っていた。

「そうか………惜しいな………」

 やがて素戔鳴は、そう言いながら瞳を閉じる。自分にとってはシュバルツは紛れもない害悪。故に、滅さなければならない。それはもう変えようがなかった。
 ただ、自分と戦い、自分の身にこれだけの傷を負わせ、なおかつボロボロになりながらも闘志を失わないこの忍者には、ある程度の敬意を払いたいと思った。――――同じ、戦士として。
 このままここで終わらせるのは惜しい。出来ればもう一度、剣を合わせたいと願った。
 そうであるが故に、素戔鳴はシュバルツに声をかけていた。

「そこのお前……シュバルツとか言ったな」

「何だ?」
 素戔鳴から声をかけられたシュバルツが、顔を上げる。

「汝はそこの忍者――――ハヤブサを助けたいか?」
「―――――!」
 素戔鳴のこの言葉に、忍者二人が同時に息を飲む。
 素戔鳴が何を言わんとしているのか察してしまったハヤブサは、思わず叫んでいた。
「貴様……! 何を言い出す!?」
「汝は黙っていろ。吾はこの『シュバルツ』と話をしている」
「黙れ!! 貴様がシュバルツの名を、軽々しく口にするな!!」
 言い終わると同時にハヤブサから凄まじい殺気が放たれる。だが、素戔鳴は動じなかった。

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