農家の嫁の日記

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zoom RSS されど龍は手を伸ばす。 124 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/30 20:13   >>

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「交換条件だ。シュバルツ……。汝が吾に大人しく斬られると言うのであれば――――」
「黙れ!! 聞くな!! シュバルツ!!」
 叫ぶと同時に、ハヤブサから手裏剣が放たれる。だがその手裏剣は、素戔鳴の身体に到達する前に、天叢雲の剣によって弾き返されてしまった。
「猪口才(ちょこざい)な!!」
 怒鳴り声と共に、ハヤブサに向かって振り下ろされる剣。そこから発せられる剣圧が、刃となって容赦なくハヤブサに襲いかかってくる。
「――――ぐッ!!」
 既に満身創痍のハヤブサが、それを防ぎきれる訳も無く、彼の身体は更に切り刻まれてしまう。立て膝を付いた姿勢も保てなくなってしまったハヤブサは、そのまま前のめりに、ドウ、と、音を立てて倒れてしまった。
「ハヤブサ!! ハヤブサ!!」
「う………う………」
 必死に呼びかけるシュバルツに答える様に、ハヤブサが僅かに身じろぐ。だが、彼の身体のあちこちが裂けて、そこから血が滲み出てきていた。
「ハヤブサ………!」
 あまりにも傷だらけなハヤブサのその姿に、シュバルツは彼にかけるべき言葉を失ってしまう。そこに素戔鳴が声をかけてきた。
「急所は外した。すぐに死ぬようなことはない」
「―――――!」
「だが……早く手当てをせねば、死ぬかもな」
「……………!」
(ハヤブサ………!)
 シュバルツは傷だらけの龍の忍者を見つめる。ハヤブサの命と自分。どちらが大事か。そんなもの、考えずとも、答えは一つだ。

「………本当に、私が黙って斬られれば、ハヤブサを見逃してくれるのか?」

「ああ。吾は、約束は守る」
 先程自分が言いかけた事を把握していたシュバルツに、素戔鳴は満足する。シュバルツはそんな素戔鳴をじっと見つめていたが、やがておもむろに口を開いた。
「お前が追っていた、村人たちは………?」
「―――――!」
 シュバルツの言葉に、一瞬目をしばたたかせる仁王であったが、やがてその面にふっと笑みを浮かべた。
「吾もこの傷だ。これ以上追う事は出来ぬ。汝が大人しく斬られるのであれば、あの村人たちの無礼も不問に付そう」
 応えながら素戔鳴は、『シュバルツ』の抜け目のなさに苦笑する。だが村人たちの働いた無礼とシュバルツの存在。それのどちらを優先的に裁かねばならないかと問われれば、素戔鳴はシュバルツの方を選ぶ。それほどまでに、素戔鳴にとってシュバルツが持っている『害悪』の可能性は脅威だった。
 それにしても、自分は村人たちを裁きに来たのに、この目の前の忍者二人にまんまと防がれてしまった事になる。そこは、自分の負けを認めねばならぬと素戔鳴は思った。ただ、このまま『シュバルツ』を滅する事が出来るのであるならば、今回の戦果はこれで充分と言えるものになるだろう。

「分かった」

 素戔鳴の言葉にシュバルツは柔らかな笑みを浮かべると、ハヤブサの方に向き直った。
「ハヤブサ……」
 傷だらけの龍の忍者のその頬に、そっと優しく触れる。
「シュバルツ……ッ!」
 ぐ、ぐ、と、身を起こそうと足掻いているハヤブサ。しかし、彼はもう、自力ではその身を起こせないようだった。
「ハヤブサ……もういい」
「……止めろ……!」
「もう良いんだ、ハヤブサ……。充分だ。今までありがとう……」
「よせ……!」
 必死に足掻き続ける龍の忍者。それを宥めるかのように、シュバルツは彼の背を優しく撫でた。
「ハヤブサ……。私は幸せだった。お前に出会えて……お前と、過ごせて――――」
「止めろと言うのに……ッ!」
 ハヤブサは懸命に足掻き続けた。
 必死だった。

 止めろ。
 止めてくれ。
 何故、そんな言葉をお前の口から聞かねばならない。
 まるで……そんな……
 遺言、みたいな言葉を――――!

「お前には本当に、感謝の言葉しかない……。ありがとう。私を否定しないでくれて。ありがとう。私を、受け入れてくれて……」
「シュバルツ……!」
「知らなかった……。世界でたった1人でも、私を否定しない存在が居てくれる、と知るだけで………こんなにも、幸せな気持ちになるんだな……」
「――――ッ!」
 そう言って綺麗に微笑むシュバルツの瞳から、一筋の涙が流れ落ちていたから、ハヤブサはたまらなくなる。

 違う。
 嫌だ。
 俺はお前からそんな言葉を聞きたくて
 そんな表情を見たくて
 ここまで頑張ってきた訳じゃないんだ。

 嫌だ。
 止めてくれ。
 死なないでくれ―――!

 叫びたいのに、声が出ない。
 シュバルツを止めたいのに、身体が動かない。

「ハヤブサ……本当に、ありがとう」
「シュバルツ……ッ!」

「元気で」

 そう言って離れて行ってしまう、シュバルツの優しい手。

 違う。
 止めろ。
 俺を守って『死』を選ぼうとするな。
 そんな事をするくらいなら、いっそここで俺を殺してくれ……!
 俺はお前を守りたい。
 守りたい。
 守りたいのに――――!

「…………!」

 どう、すればいい?
 もう本当に、手はないのか?
 シュバルツを『死』の運命から逃れさせるための、何か手段は――――!

「―――――!」

 ここでハヤブサの脳裏に、ある考えが閃いた。

 ある。
 あるじゃないか。
 シュバルツを『守る』ための、最後の手段が―――――!

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