農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 110 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/09 23:43   >>

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(ああ、ハヤブサは、大丈夫だ)
 森の中を走りながらシュバルツは思った。
 きっと大丈夫。
 彼は決して『独り』ではない。
 彼にはもう『仲間』が居る。
 彼の事を思いやり、支えようとする仲間が――――。

 だから、大丈夫。
 私が側に居なくとも、もう、大丈夫なのだ。
 彼は仲間たちに支えられ――――
 そして、立ち直って行く事だろう。

 ハヤブサ
 どうか、幸せに。
 今度こそ、幸せに、なってくれ。
 私は、もう充分だ。
 お前に愛されて――――
 もう本当に、充分幸せだったから。

 変に霞む視界。
 それを振り払う様に、シュバルツは走る。
 キョウジの時は、間に合う事が出来なかった。
 だから、今度は間に合わせる。
 きっと、ハヤブサを守って見せる――――!

 燃え盛る森の中を、シュバルツはハヤブサが戦う戦場に向かって、疾風の如く走り抜けていった。


「何……? 何なの……?」

 独り、そこに残された甲斐姫は、立っていられなくなって膝からがくりと崩折れて行った。
 どうしようもない無力感に襲われてしまう。
 元より、自分とシュバルツの間に、多少の実力差がある、と言う事は分かっていた。叩きのめされるのは、百も承知だった。だけど相対した時シュバルツは――――それすらしてくれなかった。1人の『戦士』として扱ってもらえず、ただ軽く、いなされてしまっただけだったと悟る。

「あ……! あ………ッ!」

 悔しい。
 悔しくて涙があふれる。
 いくらなんでもこれはない。
 こんなのってない――――

 悔しい。
 あまりにも無力な自分が――――
 悔しい。
 本気で役に立たなかった自分が――――

 後から後から嗚咽が漏れ、止めようもない涙があふれる。
 何もかも抑えられなくなってしまった甲斐姫は、しばらく己が身体を抱え込むようにして、声を張り上げて泣いていた。静かなる森の中に、彼女の誰にも届く事のない慟哭が、響き渡る。

 そうやってどれくらい――――泣きつくした事だろう。

 ふと顔を上げると、自分の得物である浪切が、地面に力無く横たわっている姿が見える。

(まだ……まだ、あきらめるな!)
「…………!」
 不意に、誰かの声が響く。

(こんな所で泣いている場合じゃない)

 その声は、自分を叱咤してきた。

 あきらめて、泣き崩れるのは簡単だ。
 だけど、そうじゃないでしょう。
 まだ状況を変えるために、足掻ける道が、貴方にはあるでしょう?

 ならば、ちゃんと足掻け。

 最後まで――――

 ぐしっと、涙を拭くと、甲斐姫は立ち上がった。
 使い慣れた獲物を拾い上げると、大きく息を吐く。

 行こう。
 あきらめずに、今の自分が打てる最善の手を打とう。
 総てが終わった後でなら、泣く事なんて、いつでもできるのだから。

「尚香……!」

 甲斐姫は、自分が行くべき場所に居る人物の名を小さく呟くと、再び走り出していた。


 シュバルツが森の中で上げた巨大な火の手は、当然城に居る関羽や、そして、その前に居る孫尚香にも見えていた。
「何……? 何が、起こったの……!?」
「追手だろうか……?」
 孫尚香と、その周りに居る者たちが不安がれば、
「父上……!」
「む………」
 城壁の上に居る関羽父子も、上がる火の手に何か感じる物がある様であった。

「関羽将軍!! お願い!!」

 もう一度、孫尚香は城壁の上に居る関羽に呼びかける。

「この先に――――助けを待っている人たちが居るのよ!!」

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