農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 112 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/14 13:04   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

「待って下せぇ!! 尚香さん!!」
 馬を駆って村人たちの最後尾に向かおうとした孫尚香を呼びとめる者が居た。村人たちと共に逃げてきた、妖魔たちである。
「我々も戦います!」
「わしらは鋭い牙と爪を持っている。人間たちよりは役に立つだろう」
「貴方たち……!」
 振り返る孫尚香を、妖魔たちは真剣なまなざしで見つめる。その眼差しがぶれないと見て取った彼女は、妖魔たちの申し出を受ける事にした。今は1人でも2人でも村人を助けるために、手が必要だったから。
「じゃあ、お願い!!」
 短く叫んで、孫尚香は馬に拍車をかける。その後を、妖魔たちが続いた。そして彼らは、迫りくる仙界軍に立ち向かっていく。
「…………!」
 そして当然その動きは、城壁の上から事の次第を見守っていた関羽親子にも、はっきりと見えた。

(もう間違いない。あの妖魔たちは、人間たちを助けている……!)

 関平は強く確信した。
 駄目だ。このままではいけない。
 あそこに居る人と妖魔は――――『助けなくてはいけない』類の者たちなのだと。

「父上!!」

 父に反対されても、もう自分は出陣するつもりで、関平は父に声をかける。そうして彼が振り向いた時――――父の姿はもうその隣には無かった。
「あ、あれ? 父上?」
 関平が戸惑っている間に、もう関羽は城門の前に居た。赤兎馬に跨り、門番に強く命じる。

「門を開けよ!!」

 その声に畏まった門番たちが慌てて城門を開く。門が開くと同時に城門から飛び出した関羽が、大音声で呼び掛けた。

「そなたたち!! 早く城の中へ入れ!!」

「え………?」
 一瞬、何が起こったのか分からずに茫然とする村人たちに、尚も関羽が呼びかける。
「さあ早く!! 敵が来る前に!!」
「父上!!」
 城壁の上から呼び掛ける息子に、関羽が振り向き、叫んだ。
「関平は村人たちを城内へ導け! ここに居る妖魔たちと兵達との間に、混乱を起こさせぬように!!」
「分かりました!!」
 その声を残して、実直な息子の姿が城壁の上から消える。
「さあ! 城内へ!!」
 関羽の再び呼びかける声に、村人たちがようやく我に帰る。「行くべ!」と、口々に叫びながら、彼らは城内に向かって走り出した。
「さあ! こちらへ!! 皆は炊き出しの用意をしろ!!」
 関平とその部下たちが、民たちを城の中へ導いて行く。入るのを少し躊躇っていた妖魔たちも、兵達がその手を取って城内へと導いた。
「出陣するぞ!! 我と共に来い!!」
 関羽の呼び掛けに、彼直属の部下たちが城門に素早く参集し、関羽と共に城外へと飛び出した。関羽の駆る赤兎馬は、彼をあっという間に仙界軍と戦う孫尚香の元へと導いて行く。
「尚香殿!!」
「関羽将軍!!」

「――――誠に、申し訳ない!」

 孫尚香の傍まで来た関羽は、そう言ってその頭を下げた。その姿を見た孫尚香は、思わず息を飲んでしまう。
「…………!」
「不覚であった……! この関羽、眼が曇っており申した。これより改めて、この関雲長、尚香殿の助太刀を致す!」
「関羽将軍……!」
 孫尚香は何かがこみ上げてくるのを押さえる事が出来ず、思わず顔を覆っていた。何かが――――報われた気がした。
「さあ尚香殿! 敵を蹴散らしまするぞ!」
 そう言いながら関羽が、青龍偃月刀を構えて赤兎馬に拍車をかける。
「ええ!」
 孫尚香もグイッと涙を拭って、その顔を上げた。

 城から飛び出した関羽軍は、破竹の勢いを以って仙界軍に当たる。それでも何とか関羽軍と互角に渡り合おうとした仙界軍ではあるが、あっという間に勝敗は決してしまった。
「て、撤退――――! 撤退せよ――――!!」
 その叫び声とともに、仙界軍の兵士たちは、蜘蛛の子を散らす様に城の前から撤退していく。
「あ! 逃げるか!? 待て!!」
 叫びながら追おうとした兵士たちを、関羽が押しとどめた。
「追わずとも良い。深追いは禁物―――」

「尚香!! 関羽様!!」

 二人の姿を認めた甲斐姫が、撤退する兵士たちの間を縫う様に走り寄ってきた。
「甲斐!!」
「良かった……! 援軍を出してくれたんだね!」
「あい済まぬ。少し遅くなり申した」
 そう言いながら関羽は、馬上からではあるが、甲斐姫にも丁寧に頭を下げる。それに甲斐姫も慌てて礼を返してから――――少し縋る様に関羽を見つめてきた。
「関羽様!! お願い!! 援軍に来てくれたのなら、まだ後二人、助けて欲しい人たちが居るの!!」
「二人?」
 怪訝そうに首を捻る関羽に、甲斐姫は尚も言葉を続ける。
「そう。ハヤブサさんとシュバルツさん。ハヤブサさんが難敵を独りで食い止めてくれたおかげで、私たちはこうして脱出できたの……! シュバルツさんは、それを独りで助けに行ってしまって―――!」
「何と……!」
 息を飲む関羽に向かって、甲斐姫の懇願の声が飛んだ。
「お願い関羽様!! 二人を助けて!! このままではどちらか片方が死ぬか、最悪、二人ともが死んでしまうわ!!」
「甲斐………」
「そんな哀しいのは、私はもう嫌!! 嫌なのよ……ッ!!」
 その後は言葉にならず、泣き崩れてしまう甲斐姫。彼女の中で、様々な想いが渦巻いているのだろう。
「あい分かった。この関雲長、そのような者たちを捨て置く訳にはいかぬ―――」
「……………!」
 関羽の力強い声に、甲斐姫は顔を上げた。
「ただちに参ろう……! して、その者たちは今、何処で戦っている?」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 112 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる