農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 113 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/15 16:15   >>

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「目の前の森を抜けて、川を渡った向こう側にもう一つ森がある。そこで私たちは、ハヤブサさんとはぐれたの!」
「承知した! では行くぞ!! 赤兎!!」
 関羽の呼び掛けに応える様に、赤兎馬も高くいななく。
「飛ばすぞ!! ついて来い!!」
 関羽が勢いよく赤兎馬に拍車をかけると、それに応えた赤兎馬が、猛然と走りだした。『人中の呂布、馬中の赤兎』と、称えられ、1日に千里を走ると万人に謳われるその赤毛の『汗血馬』は、関羽をあっという間にはるか前方へと運んでいく。
「関羽様に続け!!」
 兵士たちも関羽に負けじと、馬に拍車をかけ、全力で走りだした。
「誰か私にも馬を貸して!」
 甲斐姫が叫ぶと、兵の1人が走り寄って来くる。
「姫様! これをお使いください!」
 そう言って、自身が乗っていた馬を貸してくれた。
「ありがとう!!」
 甲斐姫は短く叫ぶと、馬に飛び乗り、馬に『走れ』と命を下した。彼女の願いを聞き入れた馬が、力強く走りだす。

(援軍は来た……! お願い、ハヤブサさん、シュバルツさん……! どうか、持ちこたえて……! どうか、早まらないで――――!)

 間に合え、
 間に合え、

 馬に拍車をかけ続けながら、彼女はいつしか、それだけを懸命に念じていた。


 ガツン!!
 ガツン!!

 黒耀色の肌の仁王に、黒い影が何度もぶつかる。そのたびに、その周りには青白い火花が舞い踊り、その衝撃波で周りの木々が揺らされていた。
「おのれ!! ちょろちょろと!!」
 素戔鳴の持つ天叢雲の剣先から、青白い稲妻が迸る。
「――――!」
 ハヤブサはその稲妻の軌道を読み――――間一髪で急所を外した。だがその稲妻は、ハヤブサの右腕を容赦なく穿った。
「ぐ………!」
 咄嗟に身を翻し、素戔鳴から距離を取る。ここぞとばかりに襲ってきた兵達を、左手一本で何とか対処した。だが利き腕を失ってしまっては、素戔鳴と渡り合う事は実質不可能になってしまう。やむを得ずハヤブサは、また仙桃を口にした。
(最後の1個か………)
 右手が治る感触を得ながら、ハヤブサは何とも言えない気持ちになる。
 素戔鳴の攻撃を、何度もこの身に喰らいながらも、ようやく――――奴の攻撃のパターンが見えてきた。

 後一つ、確かめてみたい事がある。
 後少し。
 後少しなんだ。

「何時まで隠れておる気だ!!」
 素戔鳴の剣圧が、ハヤブサが身を隠している木の幹を襲う。バキッ!! と、派手な音を立てて幹が砕けると同時に――――龍の忍者がその影から飛び出した。そのまま龍の忍者はまるで風の様に戦場を駆け回り、もう一度素戔鳴に急接近を試みた。
 ハヤブサの動きに合わせて、素戔鳴の天叢雲の剣が振られる。
 剣の動きから刃の様に飛んでくる剣圧を、ハヤブサはその軌道を読んでかわす。だが完全にかわしきれる訳ではない。身体のあちこちが鎌鼬にあった様に裂け、血が滲み出てきた。
 だが龍の忍者はひるまない。血をその身から飛び散らせながらも、素戔鳴に向かって突っ込んで行く。

「りゃああああっ!!」

 渾身の一撃――――
 だが龍剣は素戔鳴の身体には届かない。ガキン! と、青白い火花が飛び散り、また寸前の所で素戔鳴に止められた。ち、と、ハヤブサは小さく舌打ちをするが、直ぐに次の一手に移行する。素戔鳴の傍に長居をするのは禁物だった。
「逃がさぬ!!」
 ハヤブサが自分から離れる事を許さないと言わんばかりに、素戔鳴は競り合っている剣を強引に振り切る。そのまま龍の忍者を力任せに地面に叩きつけるつもり――――だがそれは、ハヤブサにするりとかわされた。そのまま龍の忍者の身体が、くるくると猫の様に宙を舞う。
「――――!」
 空中でハヤブサは、自分の着地地点を狙って周りの弓兵が、射かける体勢に入っているのを見て取る。ハヤブサは咄嗟に懐から手裏剣を取り出して、兵達に向かって投げつけた。何人かの兵士たちには、それで牽制の効果は充分にあったが、如何せん弓兵の数が多すぎる。だからハヤブサは――――
 強引に空中で姿勢を変え、木の上を着地地点に選択した。がさり、と、音を立てて龍の忍者の身体が茂った木々の枝の間に入って行く。

「死ねい!!」

 それを素戔鳴が黙って見ているはずもない。彼の振るった渾身の一撃が、ハヤブサの着地した木を容赦なく破壊した。
「…………!」
 木と共に、その身体を吹っ飛ばされてしまうハヤブサ。だが何とか受け身を取り、頭を庇った。おかげで気を失うという最悪の事態は免れたが――――それでも体のあちこちを木の幹や地面にぶつけた。横隔膜が痙攣し、一瞬息ができなくなる。
「隙あり!!」
 そこに容赦なく、仙界軍の兵士たちが襲いかかってくる。ハヤブサはそれを転がってかわし、何とか体勢を立て直すと、また、走りだした。
(休む間も与えないと言う事か……。流石に、よく訓練されている)
 噎せそうになるのを何とかこらえる。こんな場所では、一瞬たりとも隙を見せれば終わりだった。
「逃がさん!!」
 素戔鳴の怒号と共に、凄まじい剣圧がハヤブサを襲う。噎せるのを堪えた分、それに対する反応が、ハヤブサの中で一歩遅れた。受けきれなかったハヤブサは、また、弾き飛ばされてしまう。彼の身体は、ドンッ!! と、派手な音を立てて木の幹に叩きつけられ、そこに更に、素戔鳴の部下たちが放った弓矢が襲い来る。
「――――ッ!」
 動かない身体に鞭うって、懸命に身を捩って龍の忍者はその攻撃を避ける。だが、最後の一本が、左腕に突き刺さってしまった。
「ぐ…………!」
 焼け付くような痛みをこらえながら、ハヤブサは立ち上がる。ゆっくりとこちらに向かって足を進めてくる素戔鳴に向かって、龍剣を向け、構えた。
「どうした……? もう、『仙桃』は食べぬのか……?」
 揶揄するような素戔鳴の物言い――――だがそれに、ハヤブサは特に答えなかった。怪我をしたのは左腕だけ。まだ、戦闘に支障が出る訳ではなかった。

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