農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 136 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/15 21:57   >>

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「いえ、大丈夫です」
 かぐやはその言葉に首を振る。
「太公望様の策、私も早く推し進めたいのです」
「それは……何故だ?」
 少し、怪訝な顔をして問う女媧に、かぐやは「それは……」と、言ったきり言い淀んでしまう。ただ、そう言いながらちらりと視線を走らしたその先には、遠くの方を見つめながら佇んでいる、甲斐姫の姿があった。
「………友人のため、か?」
 女媧の言葉に、かぐやは静かに頷いた。
「沈む甲斐様のお心を御救いするには、先の悲劇を早く御救いするしかないかと――――」
「なるほどな……」
 かぐやのその言葉に、女媧はため息を付きながら顔を上げる。落ち込む甲斐姫の姿が、かぐやに発破をかけてしまっているようだ。そんな事はないと思いたいのだが、そうなる事も太公望の計算の内に入っているのではと、勘繰ってしまいたくもなる。
「……頑張るのは良いが、本当にきつくなってきたら、ちゃんと私に言えよ? 私が坊主にきっちりと話してやるから」
「ありがとうございます、女媧様……」
 女仙二人がそうして話している横で、呉の軍師二人―――呂蒙と陸遜が額を付き合わせて悩んでいた。
「……それにしても厄介だな……。敵の見分けがつかない戦場と言うのは――――」
「本当にそうですね……。見分けがつかないと、咄嗟の時にどうしても動くのが一歩遅れてしまいます」
「尚香様が――――姫様が言われていた不自由を、何とかして解決して差し上げたいが、はて、どうしたものか―――――」
 と、そこに上半身に龍の刺青を施し、巨大な鈴を身につけた甘寧(かんねい)と言う武将が顔を出してきた。

「何でぇ、そんな事なら味方になる妖魔たちの方に、目印を付けちまえばいいじゃねぇか」

「…………えっ?」
 顔を上げる軍師二人に、甘寧は目をぱちくりとさせた後、にやりと笑いながら言葉を続けた。
「俺が『湖賊』だった時によく使った手だ。少数の兵で大勢の大軍に夜討ちをかける時に有効だったんだよ。味方の兵の方に、大きなガチョウの羽根を目印につけておいて――――」

「それだ!!」

 いきなり呂蒙が大声で叫ぶから、後の二人がびっくりして耳を押さえてしまう。
「り、呂蒙殿!?」
「それだ……! 甘寧の言うとおりだ!! あの妖魔たちに、目印になる様なものをつけてもらおう!!」
「そ、それはそうですが……」
「つけてくれるかね? て言うか、何をつけるんだ?」
 甘寧の疑問には応えずに、呂蒙は立ち上がった。
「半兵衛殿!! 半兵衛殿はいらっしゃるか!?」

「――――半兵衛殿なら、村人たちと妖魔たちの証言をまとめ上げた所で―――――『起こさないでください』という立て札を立てて、幕舎の中で寝ていますよ」

 呂蒙の呼び掛けに、半兵衛ではなく、長い黒髪をさらりとなびかせながら、もう一人の呉の軍師がそこに入って来て答えた。
「周瑜殿!」
「今までどちらにいらしていたんですか?」
 陸遜の問いかけに、「ああそれは――――」と、周瑜が軽く言い淀んでいると、彼の後ろから妻である小喬がひょこっと顔を出してきた。
「周瑜様も、その作業を手伝ってたんだよね〜」
 彼女のその言葉に、周瑜は軽く咳払いをする。
「ああ、まあその……私もそれなりに、時間があったからな……」
「そうですか……。しかし、半兵衛殿に話が聞けないとなると……弱りましたな」
「呂蒙殿? どうされた?」
 周瑜の問いかけに、呂蒙はポリポリと頭をかく。
「いや……今思いついた策を実行しに、過去の妖魔の村に行きたいのですが、どの妖魔の『縁』を使っていいのかが、我々では分かりかねるので………」

「―――ここに、村人たちの証言をまとめた書があるぞ」

「――――!?」
「こちらには、妖魔の証言をまとめた書が」
「しゅ、周瑜殿? これは一体――――」
 茫然と問う陸遜に、周瑜は軽く咳払いをすると、言葉を続けた。
「大したものではない。半兵衛殿がまとめたものを写しただけのものだ」
「それにしても……あれだけの短時間でよくもまあここまで――――」
 周瑜からその書物を受け取った呂蒙が、感心しながらパラパラと頁をめくっている。それほどまでに村人たちと妖魔たちの証言が、よくまとめられたものになっていた。
「当たり前だ! 優秀な者たちが皆で協力したのだ! 出来が悪ければ、逆に困る」
 そう言いながらそっぽを向く周瑜だが、呂蒙の方が既に聞いていない。書物を集中して読みふけっている。
「よしっ! この辺りの妖魔たちに早速声をかけてみよう! 行くぞ陸遜!!」
「はい! 分かりました! 呂蒙殿!!」
 言うが早いが、二人はあっという間に幕舎の外に飛び出して行ってしまう。
「あ!! ずるい!! おっさん!! 俺も置いて行くなよ〜!!」
 そう叫びながら甘寧も二人の後を追って幕舎から出て言ったものだから、中には周喩と小喬の二人だけが残される事となった。
「……………」
 無言で椅子に腰を下ろす周瑜。そんな彼を、小喬が覗き込んできた。
「周瑜様、疲れてる?」
「………疲れてなどいない、と、言ったら嘘になるな。さすがに疲れた……」
「周瑜様、頑張ったものね」
「仕方がないだろう……。尚香様に、あんな哀しげな顔をされてしまっては――――」
 小喬の言葉に苦笑を返す周瑜に、彼女も笑顔を返す。

「じゃあ、頑張った周瑜様をお慰めするために、私は歌を歌ってあげるね!」

 その言葉が終わってすぐに、幕舎の中に愛らしい歌声が響き始めた。周瑜は目を閉じ、愛妻の歌声にしばし、その耳を傾けるのだった。


 一方、かぐやの傍で彼女の世話を焼いていた甲斐姫の前には、孫尚香が来ていた。その隣には、甲斐姫の主である北条氏康の姿もあった。
「甲斐……大丈夫? ちゃんと休んでる?」
「ううん、私は大丈夫。そんなに疲れている訳ではないから――――」
 友人の気遣いに、甲斐姫は笑顔で答える。そんな甲斐姫の様子を、孫尚香はしばらく無言で見つめていたが、やがて意を決したように声をかけてきた。
「甲斐……私たち今から、『過去』へ行くの」
「えっ…………?」
「太公望様の命令で……。私にも、状況を転がすために出来る事があったみたい」

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