農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 139 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/19 02:02   >>

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「もういい筈じゃ。ハヤブサ、立ち上がってみるんじゃ」

 伏犠に声を掛けられて、ハヤブサは立ち上がってみた。
 立てる。
 今までどおりに。
 ハヤブサが『歩け』と命を下すと、足は主の命令を忠実に実行した。
「大丈夫そうか?」
 問うてくる伏犠に、ハヤブサはこくりと頷く。
「少し身体を動かしたい。時間を貰えるか?」
「勿論」
 ハヤブサの言葉に2人が頷くのを確認してから、彼は木刀を引っ提げて幕舎から出ていく。するとそこに、宮本武蔵が待ち構えていた。
「ようハヤブサ。手合わせの相手を探しているんだろう? 俺でよければ相手してやるぜ!」
 その横に何人かの武将たちが控えていたが、皆頭にこぶを作ったり、手を痛そうに押さえたりしている。どうやら、ハヤブサと手合わせするための順番争いが、つい先程までそこで行われていたらしい。そして、勝ち上がった勝者が宮本武蔵と言う訳だ。
(―――面白い!)
 俄然、龍の忍者の闘争心に火が点いた。木刀を握りしめるハヤブサに、武蔵から問いかけられる。
「真剣でやるか?」
 その問いに、しかし龍の忍者は首を振った。
「木刀で充分だ」
 ハヤブサにしてみれば久しぶりの実戦だ。寸止めの感覚に、少しの不安を覚える。それに、武蔵ほどの技量の持ち主であれば、例え木刀であろうとも、充分に真剣同等の威力を発揮し得た。
 陣屋の中でも少し広い空間がある場所に移動して、二人の剣士が相対する。その周りを二人の戦いを少しでも見ようと、武将たちが取り囲んだ。
 ハヤブサが一振りの木刀を正眼に構え、武蔵が二振りの木刀を構える。ただの手合わせとはいえ――――二人の剣士から漲る気迫は、実戦その物の様であった。

(イメージ……。イメージしろ……)

 ハヤブサは、武蔵の姿の向こうに、素戔鳴の姿を思い浮かべる。自分が相対し、絶対に越えなければならないその姿を。
(ム…………)
 ハヤブサから漂ってくるただならぬ「気」の気配に、武蔵の方も油断なく身構える。
 身体中の警報が鳴っていた。
 少しでも気を抜いたら――――

 ヤラレ ル

 ドン!! と、激しい音を立てて、龍の忍者が踏み込んでくる。
「――――!」
 その鋭い突きを、武蔵は二本の木刀で受けた。
 もう一度、ハヤブサは踏み込みと共に木刀でなぎ払う。
 ガキッ! と、激しい音を立てて、木刀同士がぶつかり合った。しばらくそうして二人の間で、激しい木刀のぶつかり合いの応酬が起きる。ガツン! ガツン! と、音が鳴り響く中、取り囲んでいた武将たちも皆、固唾をのんで二人の戦いを見守っていた。

 ガキン!!

 何合目かの太刀を合わせた瞬間、いきなりハヤブサの姿が武蔵の前から消えた。
「――――!?」

「消えた!?」
「違う!! ハヤブサ殿は消えてはいない!!」
 徐晃の叫びに張遼が答える。
「ハヤブサ殿は、上だ!!」
 張遼の指摘の通り、上を見上げると高々と跳び上がっている龍の忍者の姿が見える。そのままハヤブサは大上段に振りかぶって、裂帛の気合とともに武蔵に襲いかかってきた。このままこちらを真っ二つにする構えだ。

「叭――――――ッ!!」

「なめるなぁぁぁぁっ!!」


 武蔵も二振りの木刀を振りかざした。真っ直ぐに突っ込んでくる相手。対応する手はいくらでもあった。

 ガキィッ!!

 激しくぶつかり合う音と同時に、交錯する二つの身体。折れた木刀の切っ先が、ドスッと音を立てて地面に突き刺さった。みると、武蔵の二振りの内の一本の木刀が、へし折られていた。
「……………」
 そしてハヤブサも武蔵も――――互いの喉元に、それぞれの木刀の切っ先が突きつけられている。
「相討ちか」
 そう言って木刀を引くハヤブサに
「違う。俺の負けだ」
と、武蔵が答える。
「それは、何故でござるか?」
 張遼も二人が相討ちだと思っていたので、少し意外に感じて武蔵に問う。すると武蔵は地面を見つめて何かを探すような仕種をして、やがて求める物を見つけたのか、それを拾い上げた。
「お前、上から俺に接近しながら、俺に向かってこの礫(つぶて)を投げただろう」
 そう言いながら武蔵は、ハヤブサに向かって手の中の小さな礫を差し出す。
 この礫はハヤブサから放たれて、自分の右肩に当たった。殺傷能力の無い小さな礫は、武蔵の着物に柔らかく当たってそのまま地面に落ちた。だがこれが、クナイや棒手裏剣と言った武器だったらと思うと、武蔵は背中に寒気が走るのを感じる。利き腕の方の肩をやられてしまった自分は、その後の剣を振る事など出来なかったであろう。
「これを俺は避けきれなかった。この時点で、勝負は俺の負けなのさ」
 そう言って苦笑する武蔵に、徐晃も張遼も「なるほど」と、納得する。ハヤブサは、武蔵の言葉を聞きながら木刀を収めて、彼に向かって静かに頭を下げていた。剣の達人である武蔵の動きは、素戔鳴の一つ一つの技の動きに比べると、はるかに隙が小さいものだと言って良い。それでも、あの礫を彼の身体に当てる事が出来た事は、ハヤブサにとっては大きな収穫であると言って良かった。この技が武蔵に通用したと言う事は、素戔鳴にも間違いなく入る筈だ。
 それにしても恐るべきは武蔵のその慧眼だった。
 あの小さな礫一つ放つ自分の動きを見逃さず、その意をくみ取った。
 次は――――同じ手は二度と、通用しないだろう。

「ハヤブサ、『素戔鳴』は強かったか?」

「――――!」
 不意に武蔵にそう問われてハヤブサは少し驚いたが、素直に頷いた。

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