農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 126 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/02 23:47   >>

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「俺の身体には自爆用の爆薬が仕掛けてある。これは、俺の身体と、その周囲を――――粉々に吹き飛ばす程度の威力を備えたものだ……」
「―――――!」
「元々これは……素戔鳴と相討ち用に、準備したものだがな……」
 そう言いながら苦笑する龍の忍者を、シュバルツは何とも言えない気持ちで見つめる。やはりハヤブサは、この戦いに赴く前から『死』を覚悟していた。過去に自分が『死んだ』と言うこの戦場の厳しさを、シュバルツは改めて痛感する。益々彼に、自分の犠牲の肩代わりをさせてはならない、と、思った。
「今から俺は……これを発動させようと、思っている……」
「な―――――!」
「このままでは、二人……どうせ、共倒れだ……。ならば俺は――――お前と、共に死にたい」
「そ、そんな………!」
 自分が死ぬのはともかく、今ここでハヤブサが死ぬ必要などまったくない。強くそう感じたシュバルツは、何とかハヤブサを説得しようと試みた。
「馬鹿な事を考えるのはよせ、ハヤブサ……! 私が死ねば、素戔鳴はお前に手を出さないと言っているんだ。あの素戔鳴の言葉は信用できると私は思う。今ここでお前が死ぬ必要など全く――――」

「……お前が死ねば、俺はこの爆薬を作動させるぞ」

「―――――!」
 シュバルツの言葉を遮るように紡がれたハヤブサのこの言葉に、シュバルツは思わず息を飲んでしまう。
「何故………!」
 茫然と問い返すシュバルツに、ハヤブサは震えながら答えた。

「お前を喪った苦しみと絶望と孤独を――――『もう一回味わえ』と、お前は俺に言うのか……?」

「……………!」
「お前……絶対分かっていないだろう……! お前を喪って、俺がどれだけ哀しんだか……! どれだけ苦しんだか――――」
「ハヤブサ………!」
「お前を救えずに、またあの地獄を味わうぐらいなら――――今ここで、死んだ方がましだ……! お前を救いたくて……俺はここまで来たのに――――!」
「あ………!」
「このままでは、俺もお前も助からない……。ならばどうせなら、俺はお前と共に死にたい……」
 シュバルツの頬を優しく撫でながら、ハヤブサは切々と彼に語りかける。
「俺と一緒に、死んでくれ、シュバルツ……」

(嘘だ。俺は嘘を言っている)

 そう。
 これこそが、ハヤブサの仕掛けた『策』だった。
 確かに今のままでは、シュバルツもハヤブサも、助かる見込みがない様に思える。
 しかしハヤブサは、シュバルツと共に死ぬ気などなかった。
 正確に言うなら―――――自分の『死』にシュバルツを道連れにする気などなかった。
 シュバルツを殺す事が出来るのは、仙界の力を持つ者たちだけ。自分では、彼を殺す事は出来ないのだ。龍剣を使わない限りは――――。まして爆薬で吹き飛ばしたぐらいでは、彼は死なない筈だった。
 だが今、シュバルツはかつてない程自分の『死』を、濃厚に意識しているはずだ。

 だからこそ。
 だからこそ、だ。

 騙されて欲しかった。
 この自分の詭弁に。
 気がつかないで欲しかった。
 この言葉のからくりに。

 今からお前を殺すのは、『素戔鳴』じゃない。『俺』なんだ。
『俺』ならば―――――お前を殺せない、はずだろう?
 例えその身体を粉々に吹き飛ばして爆殺したとしても、3時間後にはDG細胞自身の再生力によって、お前を生き返らせる筈なんだ。

(問題は……素戔鳴がDG細胞の特性を、どこまで把握しているか、なのだが……)

 その神通力によって、シュバルツの身体を構成している物の正体と禍々しさを、ある程度見抜いた素戔鳴。彼の視界には、シュバルツがどういうふうに映っているかが分からないから、ハヤブサは少しの不安を覚える。この身体に仕掛けている爆薬で、シュバルツの身体を充分粉々に砕く事は出来るだろう。だがそれで、素戔鳴がシュバルツを『死んだ』と認めてくれるかどうか――――総てはそこにかかっている、と、ハヤブサは思う。
 それで『死んだ』と判断してくれればよし。だが、もしも―――――細胞一つ一つが生きている、滅さなければ、と、素戔鳴が判断してしまったら。

 だからこれは、賭けなんだ。
 危険な賭け――――

 爆薬を作動させてしまったら、自分は確実に死んでしまう。死んでしまったら、もうその後は、どう足掻いてもシュバルツを守ってやる事が出来なくなってしまうのだから。
 だけどこの方法ならば、シュバルツの『死』へと向かう運命を、一瞬でも歯止めをかける事が出来る。そのまま素戔鳴がシュバルツの『再生』に気がつかなければ、この危地から逃れることも可能だ。

 だからお願いだ。シュバルツ。
 どうかこのまま、俺のこの言葉に騙されてくれ。
『共に死ぬ』と、頷いてくれ。
『俺ではお前を殺せない』その事実を、
 今だけでいい。どうか、思い出さないでくれ……!

 祈るように見つめる龍の忍者のその視線の先で、シュバルツが大粒の涙をポロポロと零し始めた。

「ハヤブサ……! ハヤブサ……!」
「シュバルツ……」
「嫌だ……! ハヤブサ……! 死なないでくれ……!」

 縋る様に懇願される。
 きっと、今この瞬間も――――彼の方も、考えてくれているのだろう。
 俺を、何か生かす手段はないか。何か、助ける方法はないか――――
 必死に、考えてくれているのだろう。

 でも、もういい。
 もう良いんだ、シュバルツ。
 お前を守って死ねるのなら―――――俺は、それでいい。

 だからハヤブサは、面に笑みを浮かべながらこう言った。
「嫌だ……。お前こそ……俺を、置いて逝かないでくれ」

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