農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 144 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/26 04:12   >>

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「襲われる!? この村が!?」
 ハヤブサの話を黙って聞いていたシュバルツが、思わず声を上げる。その言葉に、皆が頷いた。
「ああ。襲われる。このままこの村に留まり続けていれば全滅だ」
「…………!」
 ハヤブサの言葉に茫然とするシュバルツ。ただ、前に話した時と、シュバルツの反応が微妙に違っている。だからハヤブサは、その違いが何なのかを、少し確かめてみる事にした。
「何故襲われるか……分かるか?」
「………原因は、いろいろ考えられるが………」
(やはり………!)
 ハヤブサは確信した。やはりこの時間軸の村人たちとシュバルツは、かなりの危機感を持っている。『襲われる』と聞いても、それが絵空事ではないと、容易く想像できる環境に居るのだ。
(いけるか……?)
 自分が飛んできた時間軸が、前と同じ時であるのならば、襲撃を受けるのは今夜。前の時は、陽が沈んでからの脱出劇になってしまったために、かなりの犠牲が出た。しかし、今すぐにでも村人たちが行動に移してくれれば。
「ここの村人たちは、妖魔たちと交流を持っているのだな。やはり、妖魔の子供を助けたことがきっかけか?」
「ああ。怪我をした子供を助けた。もともとこの近くに住む妖魔たちは、人間との交流を望んでいた。だから、手を取り合う事は容易かった……」
 ハヤブサの質問に、シュバルツが答える。だが、ここから先のシュバルツの話は前の時間軸の物とは違っていた。妖魔たちと交流を重ねて行くうちに、村人たちの方が、妖魔の村で起きていたほかの部族からの嫌がらせに、気がついていたのだ。
「皆で話し合って対策を立てたりしたのだがな……。何せ、相手と話し合うことは難しいし、村人たちも妖魔たちも、戦う事を望んではいないし――――」
 しかも、嫌がらせは止む事も無く、日々悪化しているらしい。近頃では子供を村に置いておく事に危険を感じたのか、人間の村の方に我が子を預ける妖魔の親も増えていると言う。
「子供たちの世話は、ケイタ君がしているの?」
 甲斐姫の質問に、シュバルツが頷いた。
「ああ。ケイタを中心に村の子供たちが交代で妖魔の子供たちの遊び相手をしてくれている。母親たちの間にも交流が生まれて、料理のバリエーションが増えた、と、喜んでいる人もいたな」
 シュバルツは少し目を細めて語る。苦しみの中にも、ちゃんと喜びを見出している人間と妖魔たちを、誇らしく思っているのだろう。

「しかし、この辺りも戦の匂いがきつくなって来ていてな……。この村から行商に出た者が、戦禍に巻き込まれたりする事が増えてきた。それに、噂で聞いた話だが、山向こうにあった別の妖魔の村が、人間に襲われたりしたらしい。だから皆、ピリピリしているんだ。何時ここも襲撃されるか分からないから、ここから避難するべきか、それとも留まるべきか、連日話し合いが行われていて――――」
(こ、これは………!)
 3人は、思わず息を飲んでいた。
 既にこの村から『逃げる』ことも視野に入れている村人たち。これなら、こちらの呼び掛けに、素早く応じてくれるかもしれない。

 それにしても恐るべきは、太公望の策略だ。
 前の時間軸とは全く違う村人たちの動き。彼らがこう思うようになるまでに、一体どれほどの手を打ってきたと言うのだろう?

「シュバルツ、お願いだ。今すぐここから、村人たちを避難させる決断をしてくれ!」

 だからハヤブサは、迷わず呼び掛けていた。今――――今逃げだす事が出来れば、皆の生存確率がぐっと上がるのだ。生き延びるチャンスを、掴み取って欲しい、と、願った。
「ハ、ハヤブサ?」
「言った筈だ。俺たちは『未来から来た存在』だと。だから、この村がいつ襲撃されるか、ある程度予測ができるんだ」
「それは………何時だ?」
 息を飲み、問うシュバルツに、ハヤブサは言いきった。
「今夜」
「―――――!」
「今夜、この村は襲撃に遭う。襲ってくるのは百々目鬼率いる妖魔の軍団たちだ」
「百々目鬼……! やはり――――」
「百々目鬼の名を、知っているの?」
 問う孫尚香に、シュバルツは頷く。
「ああ。この辺り一帯で、今一番活発に動き回っている妖魔の軍団だからな……。何でも、『遠呂智』が復活するとかで、軍を大きくしたり、物資を調達するのに躍起になっているらしい。しかし………」
「しかし……何だ?」
 少し考え込むように腕を組んだシュバルツが、確認するようにハヤブサに問う。
「今夜襲われるのは……確かな情報なのか?」
「俺達を疑うのか?」
 ハヤブサの言葉に、シュバルツは首を振る。
「疑う訳ではない。ただ……確証が欲しい」
 村人たちを全員ここから避難させるとなると、それこそ一大事だ。皆この土地や場所に愛着がある。百姓なだけに、畑でやらねばならない事も山積している。それらを一旦断念させて避難を呼びかけるには、こちらにも確固たる確証が欲しい、と、シュバルツは思った。
「分かった……。俺たちが未来から来たと証明すればいいのだな? 造作も無い事だ」
 ハヤブサは頷くと、シュバルツの前に手を突きだした。
「ではまず一つ。俺たちは今この村に来たばかり。この村の者たちとは、ケイタの名を聞いた以外、ろくに話もしていない。にも拘らず、この村の事情を知っている」
「――――!」
「この村独自に伝わる儀式のせいで、お前が『神様』扱いされている事。あそこに居る村人は、神としてのお前の付き人だ。違うか?」
 シュバルツは思わず息を飲んでいた。「確かにそうだ」と頷くシュバルツに、「そうか」とハヤブサは答えた。付き人である村人は、前の時間軸に来た時と同じ人間だった。神事に関する人選は、だいたい当番制になっているのが基本だ。これは、どの時間軸であろうが、おいそれと変わらない事象なのだろう。
「二つ目。妖魔と交流を生むきっかけとなった事件を当ててやろうか? 桃の畑の裏山の崖から落ちて来た妖魔の子供を、お前が助けた。そしてその母親が、山菜を持って礼を言いに来た――――」
「その通りだ……」
「三つめ。この村の桃の畑には一本、妙に生りの良い桃の木があるだろう。その桃には薬効成分が含まれていて――――」
「分かった! もういい!」
 シュバルツは思わず叫んでいた。こうもずばずばハヤブサに村の事を言い当てられると、感嘆するを通り越して、思わず寒気すら感じてしまう。
「ハヤブサ……。やはり、お前は――――」
「分かってくれたか? シュバルツ……。俺がこれだけ知っているのは、既に一度聞いているからだ。これより少し先の、未来のお前から………。お前にとってはリアルタイムで進んでいるこの時間も、俺にとっては過去の時間――――一度、経験している時間なんだ」
 そして俺は、お前を助けられなかった。二度も、お前を死なせてしまった。

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