農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 147 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/30 01:17   >>

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「それでは、わしらは避難の準備をするべ!!」
「準備ができたものから、広場に集合だ! 急ぐべ!!」
 村人たちはそう言いながら、慌ただしく集会所を出て行く。
「親父さん。わしらも避難を手伝った方がいいんじゃ――――?」
「そうじゃな……。急いで村に帰って、若い物を連れて来よう」
 そう言って集会所から出て行こうとする妖魔たちを、ハヤブサが「待ってくれ!」と、呼び止めた。
「貴方がたの村も、避難した方がいい。百々目鬼軍の攻撃対象に、貴方がたの村も入っている。百々目鬼は人間と妖魔が交流する事を、極端に嫌っているから――――」
「―――――!」
「下手をすると、人間たちの村よりも、先にそちらが襲われるかもしれない。だから、村人たちと共に逃げた方がいい」
「……その情報は、確かなのか?」
 問い返す妖魔たちに、ハヤブサは頷いた。
「親父さん……」
「うむ………」
 ハヤブサの言葉に、しばし考え込んでしまう妖魔たち。
「どうかしたのか?」
 問うハヤブサに、妖魔たちは少し茶を濁したような返事を返してきた。
「いや………わしらが村人たちと、逃げたとして……」
「避難先の劉備殿は、それを受け入れてくれるか? わしらの存在が、却って皆の足を引っ張る事になるのなら……」
「………………!」
 妖魔たちとハヤブサの会話を聞いていたシュバルツの顔色が変わる。だが、ハヤブサは動じなかった。
「それは大丈夫だ。俺は言った筈だ。城に居る関羽殿には、総ての事情を説明したと。この村の人間が、妖魔たちと交流を持っている事を関羽殿は承知してくれている。共に避難しても、何ら問題はない」
「……その話は本当か?」

「………この首を、賭けても良い」

 妖魔たちの問いに、ハヤブサは視線を逸らさずに答える。
「たとえ兄者に反対されようと、軍師の命にそむこうとも、拙者は必ず城の門を開ける」
 そう言って送り出してくれた関羽の姿は、充分信ずるに値すると、ハヤブサは思っていた。
「……………」
 妖魔たちはしばらくそんなハヤブサを推し量る様に見つめていたが、やがて小さく息を吐き、顔を上げた。
「……分かった。では、わしらの村の者にも、避難を呼びかけよう」
「親父さん!」
「百々目鬼の奴らが襲ってくるのなら、この村とわしらの村、同時に攻撃を仕掛けてくることも十分あり得る。もうここらで、潮時なのかもしれぬ」
「…………ッ!」
 悔しそうに下を向く若い妖魔の肩を、『親父さん』と呼ばれている妖魔がポン、と叩いた。
「さあ、我らも人間たちの手伝いをしよう。そして……人間たちの『好意』に、甘えよう」
「分かりました」
「ではシュバルツさん、長老様、また後で――――」
 そう言い置くと、妖魔たちもまた、足早に集会所を後にしていた。

「……………」

 人気もまばらになった集会所で、ハヤブサは佇むシュバルツに声をかけようとする。だがそれより早く、長老と、それに近しい者たちが、二人に声をかけて来た。
「シュバルツ殿……そして、ハヤブサ殿……。此度は我らのために、尽力いただいて……この御恩、本当に、どう報いて良いのか分からぬぐらいじゃ。心より、感謝申し上げる」
 その言葉に対して、シュバルツは頭を振った。
「いや……私など、大して役には立っていない。それよりも、村を離れる決断をさせてしまった事……本当に、申し訳ないと思っている」
「これも時世じゃ。仕方があるまい」
 そう言って、長老は穏やかに笑う。その横で、老婆がにこやかに笑いながら口を開いた。
「それにしても……本当に、お前さんはよくこの村に来てくださったものじゃ。やはり、土地神様が、お前さんを呼んだんじゃろうなぁ」
「長老様……おばば様……何度も申しあげておりますが、私はそういう物ではなくて――――」
「いや………お前さんがここにいなければ、この村はもっと早い段階で滅びの道を歩んでいたやもしれぬ。それを、よくここまで保たせてくれた。この混乱した世界の中で、わしらがいつも通りの生活を送れたのも、お前さんがいればこそじゃ……。本当に、ありがとう……」
「……………!」
 その言葉に対して、シュバルツは歯を食いしばっている。ぐっと拳が更に握りしめられるのが、ハヤブサからは見えた。
「きっと、土地神様は今回の災厄を感じ取られておったのだろう。それをわしらに伝えるために、お前さんを選んだ―――――わしらは、そう思っておる」
「だからお前さんは堂々と――――今まで通り、わしらを導いてくれたらええ。お前さんは常に、わしらの事をよく考えてくれておる。わしらにはそれが分かっておるから、何も心配せんでええよ」
 そう言うと、老人たちも集会所から出て行った。シュバルツはそれを、頭を下げて見送っていた。

「………………」

 シン、と静まり返った集会所。その中で孫尚香は、横に居る友人にそっと声をかけていた。
「甲斐……私たちも、外に出ましょう」
「えっ? 何で? 尚香」
 疑問を呈する友人を、孫尚香は軽く小突く。
「馬鹿ね。こういう時は気を利かせてあげるものよ。あの二人は恋人同士なんだから――――」
「あ………!」
 孫尚香の言葉に、甲斐姫もようやく納得する。彼女たちはそのまま黙って、そっと集会所から出て行った。後にはシュバルツとハヤブサ――――二人だけが残された。

「シュバルツ」

 ハヤブサは、そっとシュバルツに声をかけた。ずっと硬い表情をしている愛おしいヒトが、心配だった。
「ハヤブサ……」

「大丈夫か?」

「――――!」
 ハヤブサの言葉に、一瞬はっと、息を飲むシュバルツ。
「ああ。大丈――――」
 その言葉と共に、シュバルツはその面に笑みを浮かべようとして、失敗していた。それどころか、彼の瞳からは堪え切れぬように涙まで零れ始めていた。
「シュバルツ……」
「済まない……! ハヤブサ……。泣くまい、と、思っていたのに――――」
 そう言いながら、必死に涙を拭う、愛おしいヒト。
「駄目だな……。お前の顔を見ると、変に緩んでしまって――――」

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