農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 128 無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/05 14:20   >>

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「―――何だと?」
 思わず素戔鳴は警戒してその足を止めていた。
 何故なら――――龍の忍者の眼差しが、まだ勝負を捨てていないように感じられたからだ。
(少し遠いな……)
 ハヤブサは、素戔鳴と自分達の距離が少し開いている事に苦笑する。この距離では、自分達の自爆に、素戔鳴を完全に巻き込むことは不可能だ。

 だが、それもいいか。
 二人の最期を、邪魔されたくない、とも思う。

「ハヤブサ……!」

 涙に濡れた愛おしいヒトから、縋る様に名を呼ばれる。
 そんな風に呼ぶな。
 キスをしたくなるではないか。

「シュバルツ……」

 想いを込めて、その名を呼ぶ。
 それをしながらハヤブサは、自身の懐をまさぐって、発火布と導火線を握り込んだ。これを強く引っ張れば――――自身に仕掛けてある火薬に引火する手筈となっていた。

(愛している……)

 最後に
「キョウジによろしく」
 それ位は言っても、許されるだろうか。
 そう思いながらハヤブサが、発火布を握る手に力を込めようとした瞬間。
 その場に一人の兵士が慌てふためきながら入ってきた。

「ご、ご注進!! ご注進申し上げます!!」

「何事か!?」
 振り向く素戔鳴に、兵士は膝をついて畏まると報告を始めた。
「この先の村人たちが逃げ込んだ城から、劉備軍が兵を出した模様です!! その数およそ五百!!」
「何っ!?」
「劉備軍は村人を追った我が軍を蹴散らしながら、こちらに鬨の声を上げながら進軍しています!! 我が軍と、敵対する模様です!!」
「何だとォ!?」

 その兵士の報告に、驚いたのはハヤブサたちも同じだった。
(援軍だと?)
 振り向くハヤブサの視界に、珍しく焦りの色を面に出している素戔鳴の姿が飛び込んでくる。
「援軍……彼女たちの援軍の要請が、成功したのか……?」
「…………!」
 自分の腹の下で茫然と呟くシュバルツの言葉に、ハヤブサもようやく得心する。
(そうか……! 甲斐姫と孫尚香たちが――――)
 ハヤブサの脳裏に「悲劇を書き換えてやっちゃいましょうよ!」と、明るく笑っていた彼女たちの姿が思い浮かぶ。そうだ。戦っていたのは俺独りではない。彼女たちの頑張りが、実を結んだのだと悟った。
「う………ッ!」
 それと同時に、クラリと感じる眩暈。ハヤブサは、自分が重傷であった事を思い出してしまう。
「ハヤブサ!?」
 シュバルツが身を起こして、ハヤブサの身体を抱きとめてきた。
(だ……駄目だ……! まだ、力を抜いてしまっては……ッ!)
 まだ危地を脱した訳ではない――――。ハヤブサはそう分かっているから、必死に身体に力を入れようとする。だが、一度力が抜けてしまった傷だらけの身体は、ハヤブサの気持ちとは裏腹に、なかなか力が入ってはくれなかった。

「して、劉備軍の将は誰か!?」
 問う素戔鳴に兵が答えようとする。
「はっ! 将の旗印は――――」
 その言葉を最後まで言いきるより前に、馬のいななきと共に、一体の人馬がそこに飛び込んできた。

「我こそは関羽!! 字を、雲長と申す者なり!!」

 燃えるような赤い毛色の馬に乗った、身の丈9尺の流れる様な髯をその面に湛えた偉丈夫が、大音声で名乗りを上げる。
「ここに村人たちの危機を救った義士二人が居ると聞き、救援に参上いたした!! その義士に至る道を開けよ!! 邪魔立てする者は容赦なく斬る!!」
 叫びながら関羽は、戦場を見渡す。そして、傷だらけになって倒れているハヤブサと、それを抱きかかえるようにして支えているシュバルツと、その二人の前に刀を構えて立っている、素戔鳴の姿を見つけた。
「あれか……! どうやら、間に合ったようだな……」
 飛ばしてきた甲斐があった、と、関羽は安堵のため息を漏らす。その主人の声に応える様に、赤兎馬がブルル、と、低く嘶(いなな)いた。
「すごいな……。関羽殿に救援に来ていただけるとは……!」
「……そうだな……」
 歴史上の有名人に会って、軽く感動しているシュバルツに、ハヤブサもその気持ちが分かって少し苦笑してしまう。しかし、まだ油断してはいけない、と、自身を強く戒めていた。何時でも自爆できるようにと、ハヤブサの手には、まだ導火線と発火布が握り込まれたままだった。
「素戔鳴様!!」
 仙界軍の兵士たちが、関羽から素戔鳴を守る様に、二人の間に割って入ってくる。
「どうやら其方が、この軍を率いる者であるようだな……。名を、聞いておこうか」
 関羽は赤兎馬から降りて、青龍偃月刀を構えながらゆっくりと歩み寄ってくる。それに対して、まず仙界軍の兵士たちが吠えたてた。
「黙れ!! 人の子の身でありながらその口利きは、無礼であるぞ!!」
「まず我らが相手だ!!」
 口々に叫びながら、兵士たちは一斉に関羽に襲いかかって行く。
「下がれと言っておる!!」
 一喝と同時に振り回される青龍偃月刀は、襲ってきた兵士たちを次々と跳ね飛ばしていく。蜀の五虎将の筆頭と謳われる関羽。その名に恥じないだけの強さを、彼は兼ね備えていた。
「ぬうう………ッ!」
 自陣の旗色の悪さに、素戔鳴はいつしか唇を噛みしめていた。
 何と言うことだ。
 あともう少しで、あの『化け物』を討滅する事が出来たものを――――

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