農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 129 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/06 14:24   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0


 兵士たちを一通り打ち払った後、関羽は素戔鳴の方に改めて一歩、踏み出した。
「手負いの身か――――」
 青龍偃月刀を構えながら、関羽は呟いた。目の前の仁王然とした男は、刀を握る右手と、左の肩口から腹にかけて傷を負っていた。

「……どうしてもここで戦うと言うのなら受けて立つが、出来ればここを引き上げる事を忠告する。もうすぐここに、我が直属の部下500騎が討ち入ってくる。見たところ、部下の消耗も激しい様子。退かれるのであれば、拙者も追いはせぬ」
 関羽の言葉が終わると同時に、彼の背後から激しい鬨の声と蹄の音が鳴り響いてくる。関羽軍がすぐ近くに迫っている事を、素戔鳴に知らせるものであった。
 関羽と言う人間は、およそ義人である。その武は弱気を助け、強きを挫くために振るわれる。「追わない」と言った彼の言葉通り、青龍偃月刀を構えてはいるが、手負いの素戔鳴に対して、それ以上踏み込んでくるような気配はないようであった。
「…………!」
 自分の状態、部下の消耗を考えても、関羽の忠告通り引き上げるしかない。そう感じて、素戔鳴は唇を噛みしめる。

 しかし――――

 素戔鳴の視界に、ハヤブサを抱きかかえたシュバルツが映る。

 あの『化け物』
 あの『化け物』を、そのまま人の子の傍に放置しておく訳には――――

 故に素戔鳴は見ていた。
 狙っていた。
 最後まで――――シュバルツ唯一人を。

 手負いの素戔鳴に対して、『追わない』と踏み込まなかった関羽。
「う………ッ!」
 自身の身体の痛みに耐えきれず、体勢が崩れてしまったハヤブサ。
「ハヤブサ!? 大丈夫か!?」
 その彼を気遣う様に、素戔鳴から視線を逸らすシュバルツ。

 その瞬間―――――『悲劇』は起きた。

「隙あり!!」


 素戔鳴の裂帛の叫びと共に、彼の強い意志を宿した刃が、シュバルツ達に襲いかかる。
「―――――!」
 既に刀を置いてしまっていたシュバルツ。
 しかし、シュバルツの脳裏には、「ハヤブサを守らない」と言う選択肢は存在しなかった。それ故に彼は、素戔鳴の刃の前にハヤブサを庇うようにその身を投げ出して――――


 ドンッ!!


 あまりにも総てが一瞬であったため、誰も何もできなかった。
「引き上げるぞ!!」
 素戔鳴は一声上げると、部下を引き連れて潮の様に撤退した。
「素戔鳴様!」
 声をかけてくる部下をちらりと見やると、素戔鳴は呟くように声を出した。

「手応えはあった……。あの『化け物』は、もう長くはあるまい」


(え………?)

 ハヤブサにとってそれは『無音』の中で起きていた。

(え………? え………?)

 何故
 何故

 はっきり分かるのは

 自分を『庇った』愛おしいヒトの身体が

 何 かに 斬られ テ


 力無くその場に崩折れる、シュバルツの身体。


「シュバルツッ!!」


 ハヤブサの悲鳴のような絶叫が、森にこだましていた。

「ハヤブサ………」
 その叫びに応える様に、愛おしいヒトが顔を上げる。その背中には、肩口から背の中央部まで、袈裟切りにざっくりと斬られた跡が走っていた。
「―――――!」
 衝撃を受けるハヤブサの耳に、パリ………パリ………と、小さな音が飛び込んでくる。
「何故………! 何故………!」
 この哀しい音は、シュバルツが『壊れていく』音――――そう悟ってしまっているハヤブサは、思わず絶叫していた。
「何故俺なんかを守った!? 何故あの攻撃を避けなかったんだ!! シュバルツ!!」
 そう。ハヤブサには分かってしまった。
 あの攻撃をシュバルツがもろに受けてしまったのは、シュバルツが自分を庇ってしまったから。
 その言葉に対してシュバルツは、その面に優しい笑みを浮かべる。
「あはは……。本当に、そうだな……。一番ベストだったのは、お前を抱えて飛べればよかったんだが――――」
 ドサリ、と、音を立てて、シュバルツの左腕が、地面に落ちる。
「もう………そんな力も……私には、残っていなくて……」
「な――――!」
 斬られた場所以外の所からシュバルツの身体が崩れて、ハヤブサは更に衝撃を受けた。

「どう言う、事だ………?」

 茫然と、呟く。

「どう言う事だ!? 何故だシュバルツ!! お前まさか――――既に斬られていたのか!?」
 ハヤブサの叫びに、シュバルツは微笑みながら「そうだ」と頷いた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
驚いた 驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 129 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる