農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 130 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/07 13:40   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

「い……何時だ……?」
 震えながら問うハヤブサに、シュバルツは淡々と答え続ける。
「最初に……お前を庇った、あの時に……」
「―――――!」
「避けきれなくて……少し、掠ったみたいなんだ……」
「シュバルツ……!」
「駄目だな……。確かに、お前が言った通り……全然、治せなかったよ……。ハヤブサ……」
「―――――ッ!」

 ここでようやく、関羽より遅れてきた部下たちが、この場所に到着していた。兵士たちの間に混じって、孫尚香も、甲斐姫も。
 そして、見てしまう。傷だらけになって倒れているハヤブサが泣き叫び――――その視線の先で、静かに壊れていくシュバルツの姿を。

(何てことなの……!? やはり……間に合わなかった………!)

 自分達の力が及ばなかった事に、甲斐姫は息を飲み、孫尚香は天を仰いだ。誰しもが、言うべき言葉を失っていた。

「もう……敵はいない……。だから……自爆なんて、考えるな。ハヤブサ……」
「シュバルツ……! 嫌だ……!」

 嘘だ。
 嘘だ。
 シュバルツは俺を助けた時点で、もう自分が助からない事を知っていた。

 それでも
 それでも彼が
 その事実を黙っていたのは

「お前を、守りたかった……。ハヤブサ……」
「シュバルツ……!」
「どんな手を使っても……後でどんなにお前に恨まれようとも…………お前を、守りたかったんだ………」
「…………ッ!」
「キョウジの時は………守れなかったから………」
「シュバルツ………ッ!」
「守れて、良かった……」

 ゆっくりと、壊れ続けていたシュバルツの身体。
 その事実を、もっと早くに明かされていたら。もっと早い段階で、俺がそれに気づいていたら。
 俺は絶望してしまって――――生きる気力も失せてしまっていた事だろう。
 シュバルツにはそれが分かっていた。だから彼は、その事実を隠して。
 与え続けてくれていた。俺が、生き延びるための――――『希望』を。

「だから、死ぬな………」
 微笑みながら紡がれるシュバルツの言葉。
「死なないでくれ、ハヤブサ……」

 その言葉に、ハヤブサはぐっと拳を握りしめる。
「馬鹿か……ッ!」
 自分に向かってハヤブサは、その言葉を吐きだす。

 結局
 結局俺は―――――

 シュバルツに、何もしてやる事が出来なかった。
 彼を助けるどころか
 彼が死ぬ原因の一翼を、担ってしまったんだ。

 どうして
 どうして
 どうして――――
 

「ハヤブサ……今まで、ありがとう……」

 同じ事を、言われる。

「嫌だ……!」

 せめてもの、否定の言葉を吐く。
 だけどそんなもので、目の前の『現実』が変わる訳でもなく。

「私は……これで、良いんだ……。だから……私の事は、もう―――――」

「よくない!!」

「―――――!」
 ハヤブサの絶叫に、シュバルツは瞬間息を飲む。
「良くない……! 独り残される、俺の気持ちは……! 俺の気持ちはどうなるんだ!!」
「ハヤブサ……」
 ハヤブサの悲痛な訴えに、どうしてやることもできないシュバルツの瞳が揺れる。
「……済まない、ハヤブサ……。でも、お前は独りじゃない。共に戦ってくれる仲間が――――」
「『仲間』はいるさ!! 確かに!! 支えてくれる仲間が!! 志を共にする同士が――――!!」
 ハヤブサはいつしか、拳を叩きつけて絶叫していた。
 どうして
 どうして目の前のこのヒトは、自分の『価値』が分からないのだろう。
 お前を失いたくない。
 失いたくないから、俺はこうして頑張ってきたのに――――!
「だけど……! 俺にとってのお前は――――『お前』しかいないのに………どうして、それが分からないんだ!! シュバルツ!!」
「ハヤブサ……」
「シュバルツ……ッ!」
 茫然と佇むシュバルツに向かって、ハヤブサはぐ、ぐ、と、手を伸ばす。

 何としても触れたかった。
 嫌だ。
 逝かないでくれ。
 消えないでくれ――――!

「ハヤブサ………」

 シュバルツの、もうほとんど動かなくなっているであろう右手が、ピクリ、と、動いた。

「ハヤブサ……あ、り……ガ――――」

 パリン、と、音を立てて、そのヒトは砕け散った。最期まで、優しい笑顔の残像を残したまま―――――

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
驚いた 驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 130 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる