農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 131 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/09 00:47   >>

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「あ……あ………! あ―――――!」

 やっとの思いで掴んだロングコート。だけどそこには、コートしか無かった。

 何故
 どうして
 どうして、シュバルツは――――

「―――――」

 ハヤブサは何事か短く言葉にならない叫びを上げたかと思うと、そのまま意識を手放してしまった。
「ハヤブサさんっ!!」
 孫尚香は彼を介抱しようと駆け寄って、傷だらけのその姿に絶句する。
(どうして……? どうして……? これだけ強く願って、これだけ頑張ったのに――――)
 叶えられない願いがある。
 止められない悲劇がある。
 甲斐姫にはそれが、哀しくてたまらなかった。自分の無力が、悔しくてたまらなかった。

「この世に神様は居ないの……?」

 彼女の呟きに、答えを返せる者は誰もいなかった。



「――――――!」
 幕舎の寝台の上でハヤブサは目を覚ます。
(ここは何処だ……? 俺は、確か戦いの途中で――――)
 ガバッと起き上がった瞬間に、全身に走る激痛。
「うあ………ッ!」
 堪え切れずに悲鳴を上げると「気が付いたかい?」と、声をかけられた。
「―――――!」
 驚いたハヤブサが顔を上げると、ねねがこちらを心配そうに覗き込んでいた。
「大丈夫かい? ここが何処で、今がどういう状況か、分かる?」
「あ…………」
 ねねに問われてハヤブサは、今までの状況を思い出そうとして――――手に握り込んでいた、シュバルツのロングコートに気づく。

「――――――ッ!」

 はっと、息を飲むハヤブサ。
 この空蝉の様なロングコートが、総てをハヤブサに伝えてきた。

「お前はまた、シュバルツを守れなかったのだ」と。

「あ…………!」
 コートを握りしめ、小さく震えるハヤブサに、ねねは静かに声をかけてきた。
「……その足の治療、『あの人』がしてくれたのかい?」
「…………!」
 目を見開くハヤブサの視界に、綺麗に添え木されて包帯を巻かれた、自分の足が映る。

(……済まなかったなハヤブサ。少し手荒くなってしまって……)

 そう言って微笑みながら、自分の足から手を離した愛おしいヒト。
 シュバルツ。
 あの時お前の身体は――――

 もう、壊れて行っていたのに。

「……綺麗に、手当てをしてくれているね……。薬師の方も褒めていたよ。『最初の応急手当てが無ければ、足を切断しなきゃいけなかったかもしれない』って……」

「あ………!」

(……死なないでくれ、ハヤブサ……)

 結局俺は――――
 シュバルツに、最後まで守られ て


「…………」
 暫くして、幕舎からねねが出てきた。それに気が付いたお市が足早に寄ってくる。
「あの……どうでした? ハヤブサさんは……」
「泣いてるよ」
 短くそう言って、幕舎の方に振り返るねね。お市もつられるように幕舎の中に視線を走らせて――――息を飲んだ。
 そこには寝台の上で、シュバルツのロングコートを抱きしめる様にして震えている龍の忍者の姿があったからだ。

「シュバルツ……! シュバルツ……ッ!」

 彼の悲痛な嗚咽が外まで漏れ聞こえてくる。ハヤブサのその姿と声に、お市まで貰い泣きしそうになってしまった。
「ああやって、ちゃんと泣いているんだ……。だから今は、そっとしておいてあげよう」
「ねね様……」
 うっすらとその瞳に涙を浮かべているお市に、ねねは優しい笑顔を向けた。
「涙は、自分の心を癒すんだ。だから、ああやって泣いているハヤブサは、いつかちゃんと、必ず前を向ける」
「…………」
 ねねのその言葉に、お市もついに泣き出してしまった。ねねは苦笑しながら、その肩を優しくポンポンと叩く。
「だから私たちは、それまでハヤブサを見守ろう? ね?」
「はい………」
 お市は、涙ながらに頷いた。


 一方太公望の前では、関羽と孫尚香と甲斐姫が、今回の戦の顛末の報告がおこなわれていた。
「……以上が、私たちの戦いの総てです……」
 そう、淡々と報告していた孫尚香であるが、報告が終わると同時に涙を流し始めた。堪えていた物が、溢れだしてしまったのだろう。

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