農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 148 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/01 15:29   >>

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「……………!」
 ハヤブサは思わず息を飲んでいた。

 今
 今、シュバルツは何て言った?
「俺の顔を見ると、気が緩む」
 そんな事を、言っていなかったか……?

 嬉しい。
 お前にとって俺がもう
 それほど、特別な存在になっている――――と、言うのなら。

「…………」
 ハヤブサはそっとシュバルツの頬に手を伸ばす。そこが、シュバルツの限界だったらしい。
「ハヤブサ……ッ!」
 ハヤブサの手が触れると同時に、シュバルツが彼の胸に飛び込んできた。
「ふ……! う………ッ!」
 そのまま縋りつく様に、腕の中で泣き始めるシュバルツ。肩を震わせ、声を殺すように泣くこのヒトが、堪らなく愛おしかった。
「シュバルツ……」
 ハヤブサはかのヒトを抱きしめて、その髪を優しく撫でる。すると、腕の中の愛おしいヒトが、堪え切れぬ想いを、ポツリポツリと吐き出し始めた。

「何故……! 何故だ……!」

「シュバルツ……」
「この村の人たちも……妖魔たちも……ッ! 慎ましやかに……穏やかに、交流していただけだ……! なのに、何故――――!」
「…………!」
「そのすべてが、『悪い』みたいに言われなくてはならないんだ……! どうして、理解……されないんだ……!」
「――――!」
 ハヤブサは、はっと気づく。
 この村に来た時から、とても危機意識が高かった村人たち。それは裏を返せば、この村がここに至るまでに何度も何度も危ない目に遭ってきた、と言う事に他ならない。そして、妖魔たちの村に起きていた他の部族からの嫌がらせにも村人たちは気付いていた、と言う事は。
 シュバルツがそれに、対処しなかった筈がない。この誠実な男が、他の部族の妖魔たちに、理解を求めなかった筈がないんだ。

 そのたびに踏みにじられ、罵詈雑言を浴びせられる。
 ―――どれほど辛かった事だろう。

 そして、神と祀り上げられたが故に、その孤独を誰にも吐き出す事が出来ずに――――

「揚句……村人たちにも、妖魔たちにも……『村』を捨てさせる決断をさせてしまった……。私は何も状況が変えられずに……! 結局私は……何もできなかっ………!」

 そのまま後は言葉にならずに、腕の中で咽び泣く愛おしいヒト。
「シュバルツ……!」
 ハヤブサはただ、震えるその身体を抱きしめるしか、術がなかった。

 違う。シュバルツ。
 違うんだ。

 お前は既に、この村と妖魔たちを守っている。
 ここに居る人たちにどういう悲劇が襲いかかってくるのかを
 お前が、俺たちに教えてくれた。
 その身を二度も犠牲にして
 お前が、教えてくれたんだ。

 だから――――『今』がある。
 皆を助けられる可能性のある『未来』の扉が
 開けられようとしているんだ。

 だけど、今のお前にそれを伝える術がない。
 あの時に死んでしまっているお前にとっては
 その経験自体『無かった事』になってしまっているのだから。

 自身が経験していない事を話されても、それには何の実感も伴わないだろう。

 こうしてシュバルツと認識している事実がずれ、彼に話せない事が増えて行く。時を遡るとは、そう言うことだ。
 自然の理を捻じ曲げている歪さを、痛感せざるを得なかった。

「シュバルツ……」
 だけど、このままシュバルツが傷つきっぱなしでいい筈がない。何とか慰めたくて、ハヤブサは必死に言葉を探した。
「シュバルツ……! 大丈夫だ……!」
「ハヤブサ………?」
「周りからどんなに罵倒されようとも、理解されずとも――――村人たちも妖魔たちも、交流を続けているのだろう?」
「ああ………」
 腕の中で、涙ながらに頷く愛おしいヒト。
「ならば、大丈夫だ。お前が選びとった道は、決して間違ってなどいない」
「…………!」
「『捨てる神あれば、拾う神あり』だ。シュバルツ……。お前たちの心を理解してくれる存在も、きっと現れる」
「ハヤブサ………」
「現に、俺たちがそうだ。そして、城に居る関羽殿も――――」
「――――!」

 それだけじゃない。
 この状況を作り出すために、あの陣屋に居た大半の人たちが動いてくれていた。
 そして、皆が願っていた。
『救いたい』と――――

 もう既にお前の心は
 あれだけの人たちの心を動かしているのだ。

「だから、大丈夫だ。シュバルツ……。お前は、堂々と胸を張って――――」
「でも……! でも――――!」
 シュバルツは、ハヤブサの言葉を遮るように叫ぶ。
「私は皆に、この土地から離れる選択をさせてしまった……! 私はここの土地神から、あれだけ熱心に祀ってくれていた村人たちを、取り上げてしまう事になるんだ……!」
「―――――!」
「それなのに……! どうして誰も私を責めないんだ!? どうして、こんな事をする私を、『神の代理』だなんて認めるんだ……ッ!」

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