農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 158 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/16 01:10   >>

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「駄目だ……! こんな時に………ッ!」

 肩を震わせるシュバルツが、必死に涙を拭っている。泣きやもうと努力しているのだろう。
(本当に、こんな時に……冗談じゃない)
 その後ろ姿を見ながらハヤブサは、悶々としてしまう。
(お前……! 俺を煽っているのか? 抱きしめたくなってしまうではないか! そんなお前の姿を見てしまったら――――!)
 だが今、それをする訳にはいかないとハヤブサも分かっている。触れてしまったら、止まる自信なんてない。絶対に最後まで突っ走ってしまう。そんな事をしている場合じゃない。まだ、誰ひとり助けられていないのだからと、ハヤブサは必死に自分に言い聞かす。
 だけど、彼の肩を震わせて立つ後ろ姿が、あまりにも可愛らしくて愛おしいものだからたまらない。それを抱きしめられないとか、自分にとっては最早拷問の様な空間だ。
「シュバルツ殿………!」
「…………ッ!」
 シュバルツのその姿を見て、妖魔たちと長老がうるうると涙ぐみ始めている。
(ああもう――――)
 何か、いろいろと堪え切れなくなってしまったハヤブサは、シュバルツの傍に行って、声をかける事を選択した。このまま独り悶々としていては、自分がおかしくなってしまいそうだったからだ。

「シュバルツ……」

「あ……ハヤブサ……」
 ハヤブサに気が付いたシュバルツが、懸命に涙を拭っている。
「少し、待ってくれ……すぐ、泣きやむから――――」
 そう言って無理やり微笑む愛おしいヒト。胸が締め付けられて、強くない理性がぐらぐらと傾ぐ。ハヤブサは、何かいろいろとあきらめたようにフッと、小さく笑うと、シュバルツの肩にポン、と、その手を置いた。

「今すぐお前に、キスをしても良いか?」

「は?」

「だから、お前にキスを――――」

 ドカッ!!

 いきなりハヤブサは、シュバルツに無言で殴り倒された。
「痛い!!」
 すぐにガバッと跳ね起きるハヤブサ。そこにシュバルツから怒鳴り声が降ってくる
「阿呆か!! こんな時に何を考えているんだお前は――――!?」
「仕方がなかろう。お前があまりにも可愛――――」

 ドカッ!! バキッ!!

 再びシュバルツから、容赦のない鉄拳制裁がハヤブサに飛んだ。
「全く……! 暫くそこで寝ていろ!!」
 そうぶりぶり怒りながら、シュバルツはその場からすたすたと歩いて行ってしまう。その一部始終を見ていた妖魔たちと長老は、ただ茫然とするしか無かった。
「……あの人でも、怒る事あるんだなぁ」
「当たり前だろう。よく考えれば『人間』なのだから……」
「いや、その括りはおかしいだろう。それを言うならあの人も生きている、『感情』があるんだ、と、言った方が正しい」
「そりゃあそうだな。我ら妖魔にも、『感情』はあるからなぁ」
 妖魔たちがそう議論している横で、長老が倒れているハヤブサに声をかけていた。
「そなた……大丈夫か?」
「いてて……。シュバルツの奴……容赦なく殴りやがって……」
 ブツブツ言いながら起き上るハヤブサを、長老はしばらく黙って見つめていたが、やがて探る様に声をかけて来た。
「……あのように怒らせる事を言うとは………そなた、もしやわざとか?」
「何の話だ?」
 それに対してハヤブサは、しれっと返事を返す。そんなハヤブサの様子を見て、長老はやれやれと苦笑するしか無かった。
(わざと怒らせて涙を止めてやるとは……やれやれ、不器用すぎる優しさを、持った御仁じゃな……)

「さて……我らも急ごう。襲撃をされる前に、ここから脱出しなければ」

 長老の言葉に皆は一様に頷いた。


「シュバルツさん! それに、ハヤブサさんも――――!」
 二人の姿を認めた甲斐姫が手を上げ、声をかけてくる。
「…………!」
 その言葉を聞いたシュバルツが驚いた様に振り向くと、ハヤブサが憮然とした表情で、シュバルツのすぐ後ろについて来ていた。
「もう立ち直ったのか?」
 そう言いながら浴びせられるシュバルツの冷たい視線を、龍の忍者は鉄面皮で跳ね返す。
「フ……あの程度の打撃、俺にとってはむしろご褒美だ」

「変態」

 しかし、ぼそっとシュバルツから言われたこの言葉は、さすがに跳ね返し損ねた。地面にめり込むように座り込んだ龍の忍者は、そのまましくしくと泣き出してしまっている。
「だ……大丈夫、なんですか?」
 そんな二人の様子に少々驚いた甲斐姫が、恐る恐ると言った按配で聞いてくる。それに対してシュバルツは、つっけんどんに答えた。
「そいつに対してそんな気は、使うだけ無駄だぞ」
「そ、そうなんですか?」
「ううう……。シュバルツが冷たい………」
「さっさと立ち上がれ! 鬱陶しい!」
「え〜っと、ハヤブサさん? 一応、報告しておいていい?」
 座り込んでいるハヤブサに対して、同じように座りこんで甲斐姫が話しかけてくる。「いいぞ……」と、ハヤブサが力無く言うと、「うん、分かった」と、甲斐姫も頷いて話し始めた。
「尚香が一足先に、劉備様の城に行ったわ。村人と妖魔たちを、それぞれ二人ずつ連れて行ったから――――」
「二人ずつ……『前と同じ』様にか?」
 顔を上げて問い返すハヤブサに、甲斐姫はにこりと笑う。
「ええ。『前と同じ』に」
「そうか………」
 これで、関羽が孫尚香の姿を城外に認めた時、迷いなく援軍を出せるだろう。そう確信したハヤブサは、立ち上がった。村人たちを避難させるための準備は、総て整ったと感じた。
「シュバルツさん! 全員揃いました!」
「こちらもだ! もう何時でも出発出来るぜ!」
 村人たちと妖魔たちから、それぞれ声をかけられる。周りを確認するように見渡すシュバルツに、皆が頷いた。

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