農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 161 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/20 01:47   >>

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「ご報告申し上げます!」
「どうした?」
 問い返す劉備に、兵士は畏まって拱手してから口を開く。
「はっ! 城外に孫尚香様がお見えです! 開門を呼びかけています!」
「尚香殿が?」
 怪訝な顔をする玄徳に対して、関羽は「来た」と、思った。少し早いと思いもしたが、孫尚香が自ら判断してこのタイミングで来たのだろう。

 もう、判断を誤る訳にはいかない。

 関羽は、強くそう決意していた。
「尚香殿が……どうしたのであろうか?」
「とにかく、行ってみましょう」
 孔明の言葉に皆が頷き、兵の案内に従って、部屋を後にした。


 門の櫓の上から城外を見下ろすと、馬に乗った孫尚香が、村人と妖魔数人を引き連れて、こちらを見上げていた。
「玄徳様!?」
 城外から玄徳の姿を認めた孫尚香が、驚きの声を上げる。彼女も、この城にまさか玄徳が居るとは、思ってもいなかったのだろう。
「尚香殿!? 如何為された!?」
 玄徳の呼び掛けに、孫尚香は声を張り上げた。
「玄徳様!! お願いがあるの!! この先に助けを求めている人たちが居るの!! だから、門を開けて、援軍を出して欲しいのよ!!」
(……………!)
 その孫尚香の姿に関羽は確信する。もう間違いない。自分はここで、出陣する事を躊躇ってはならないのだ。孫尚香もこちらの判断を誤らせないように、敢えて妖魔たちを連れて来てくれたのだろう。彼女のその心遣いに、関羽は感謝していた。

 さあ、自分は自分の役割を果たさねばならぬ。
 皆に救いの手を、差し伸べるために――――

 だから関羽は、玄徳に向かって大声で呼びかけた。

「兄者!!」

「ど、どうした? 関羽」
 関羽からいきなり大声で呼びかけられたので、玄徳は少しびっくりする。戸惑い気味に振り返る義兄(あに)に向って、関羽は膝をついて頭を下げた。
「お願いでござる。どうか、拙者に出陣の許可を――――!」
「……………!」
 関羽のいきなりのこの申し出に、玄徳は驚き、孔明は少し眉をひそめる。だが関羽は、もう後に引くつもりも無かった。例え出陣の許可が下りずとも――――強引に出て行くつもりで、関羽は頭を下げていた。
「あ、兄貴? いきなり何を言い出すんだよ?」
 いつもなら、血気にはやって出陣したがる自分を関羽は止める側に回っていたから、率先して出陣を願う関羽の姿に、張飛も少し戸惑い気味になっている。趙雲は、ただ黙ってそんな関羽を見つめていた。

「玄徳様!! お願い!!」
「兄者!! どうか――――!」

 玄徳は、しばらく思案するかのようにじっと押し黙って孫尚香と関羽を見続けていたが、やがて、おもむろに口を開いた。

「関羽………」

「兄者……!」
 玄徳は、見上げる関羽をまっすぐ見つめてくる。
「お前は……『城を開けて出陣するべき』――――そう、思っているのだな?」
 その言葉に関羽は頷いた。
「尚香殿の後ろで助けを求めて居る者たちは、間違いなく――――『救わねばならない者』たちです」
「そうか………」
 玄徳は関羽の言葉に一つ頷くと、躊躇うことなく言い放った。

「よし。出陣を許可する! ただちに城門を開けよ!」

「わが君! 少し、お待ちください!」
 だがこの玄徳の言葉に、反対の声を上げる者が居た。軍師孔明である。
「孔明?」
「わが君、門を開けるのは少々お待ちください。不審な点があります。それを、見極めねばなりませぬ」
「軍師殿? 不審な点、とは?」
 問いかける趙雲に孔明は穏やかな視線を向けると、白扇を揺らめかせながら言葉を続けた。
「尚香殿は確か――――今は孫呉の者たちと行動を共にしているはずです。なのに何故、いきなりここに現れたのでしょうか? 孫堅殿から伝言を預かっているふうでもなく、しかも、妖魔を引き連れて――――」
(……………!)
 孔明の言葉を聞きながら、関羽はギリ、と、歯を食いしばっていた。
 だが、孔明の気持ちも分かる。自分は前の時間軸で、まさしくそれに引っかかってしまっていたからだ。
 しかしもう、同じ過ちを繰り返す訳にはいかない。いざとなれば、たとえ軍紀違反の汚名を着ようとも――――関羽はそう思いながら、拳をきつく握りしめていた。

「確かにそうだな……」

 孔明の言葉に玄徳は一度頷く。しかし、次に玄徳の口から出た言葉は、その場に居る全員を驚かせた。
「だがな、孔明。私は決定を覆すつもりはない。関羽の出陣を、許可する」
「兄者――――!」
「わが君……!」
 息を飲む孔明を玄徳は正面から見つめ返すと、言葉を続けた。
「孔明……。関羽は、私の義弟(おとうと)だ。そして、尚香殿は私の妻だ。この二人の言葉を信じる事が出来ずして、この玄徳――――明日から何を信ずればいいと言うのだ?」
「しかし………!」
「それに、妖魔であろうが人間であろうが、この私に助けを求めて来ている者が居るのならば、それを受け入れるべきだ。そうでなければ、この玄徳を頼って来てくれる者が、明日から1人もいなくなってしまうぞ――――」
(…………!)
 玄徳の言葉を聞きながら、関羽は身体が震えてしまうのを感じる。

 そうだ。この人は、こういう人だ。
 こういう決断が、出来る人なのだ。
 もしもあの時間軸でも玄徳が自分の隣に居てくれたならば
 自分は、あんな過ちを犯さずにすんだであろう。

 ああ。やはり、間違っていなかった。
 自分が主と仰ぐのは、後にも先にもこの人しかいない――――

 関羽は強く、そう思っていた。

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