農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 164 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/24 23:27   >>

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 妖魔たちは敵も味方も、驚嘆の中に居た。

 前方にターゲットである村人たちの逃げる集団を捉えた百々目鬼軍は、そのまま何の問題も無く蹂躙できるものと信じて疑っていなかった。だから、目指す集団の最後尾に、剣を構えて立っている黒の忍者を見ても、特に何も警戒せずに突っ込んだ。
 だが、百々目鬼軍の妖魔たちは、すぐにそれを後悔する事になる。
 黒の忍者に斬りかかろうとした瞬間、ドン!! と、激しい音がしたかと思うと先頭の妖魔十数人が、何も出来ずに吹っ飛ばされた。
「――――!?」
 そのまま百々目鬼軍の妖魔たちは、黒い風になす術もなく斬り裂かれていく。あっという間に龍の忍者の前には、妖魔たちの屍の山が築かれた。
「えっ? えっ? 何じゃ? これは!?」
 ハヤブサの後ろで構えていた妖魔たちも、目の前で繰り広げられる龍の忍者の圧倒的なその強さに、ただただ呆然とするしか無い。
「これ全部、あいつがやっているのか? 強すぎじゃねえのか!?」
「て言うか、俺らの方に全然敵が回って来ないんだが――――」
「さすが、シュバルツ殿が認めただけの事はあるな……」
 シュバルツに修業をつけてもらっていた時も、その強さの底が知れないと思っていたが、今目の前に居る「ハヤブサ」と言う男の強さも、どれぐらいのものか計り知れない。自分たちも修行をして、いい加減強くなったと思っていたのだが、まだまだ世界は広いのだと認識せざるを得なかった。
「だが、いつまでも呆けている訳にはいかねぇな!」
「ああ! 俺たちもちゃんと、仕事をしねぇと――――!」
 ハヤブサの後ろで妖魔たちも改めて構えなおし、また、それぞれの戦いへと没頭して行くのだった。

「何をやっている!? 行軍がさっきから止まってしまっているではないか!!」

 先陣に続いて二の陣を進んでいた百々目鬼が焦れたように怒鳴り声を上げる。相手はろくに戦うこともできない府抜けた妖魔たちと村人たち。すぐに蹂躙できるものと信じて疑っていなかっただけに、思わぬ足止めは、百々目鬼のいらつきを倍増させた。そこに先陣から、ほうほうのていで軍使が百々目鬼の前に転がりこんでくる。
「も、申し上げます!」
「何だ!?」
「村人たちの殿に、やけに強い男が一人おりまして、その男のせいで我が軍は足止めを喰らっております!」
「……何だとォ?」
 百々目鬼は思わずその軍使を睨みつけてしまう。
「そんな馬鹿な話があるものか! あの村に居る連中は、戦うこともろくにせず、口先ばかりの府抜けた連中だと聞いていたぞ!?」
「し、しかし……! 現に我々は、足止めを喰らっておる訳ですから……!」
 軍使はたじたじになりながらも、何とか云い返す。とにかく百々目鬼に現実を認識してもらわなければ、手の打ちようがないと感じていた。その軍使の言葉に、百々目鬼はチッと、軽く舌を打ちならす。
「何処だ!? その男は――――! 案内しろ!」
 忌々しそうに言う百々目鬼の言葉に、軍師は少し胸を撫で下ろしながら、「こちらです!」と、案内を始めた。

 ハヤブサが戦う戦場から少し離れた小高い丘に、その軍使は百々目鬼を導く。そこで百々目鬼が目にした光景は、丁度龍の忍者が『飯綱落し』を炸裂させた瞬間であった。
(リュウ・ハヤブサ……!)
 その技を見た瞬間、百々目鬼は黒の忍者の正体を看破する。百々目鬼は妖魔軍の中でも好戦的な部類に入り、たびたび遠呂智討伐軍の者たちとも事を構えていた。それ故に、よく戦場に出てきていたハヤブサとは、変な顔なじみになっていたのだ。
「なるほどな。奴ならば、こちらの軍を蹴散らしてもおかしくはないかもしれぬ」
 戦うハヤブサの姿を見下ろしながら腕を組み、独りごちる百々目鬼であったが、少し納得しかねるところもあった。
(それにしても何故……リュウ・ハヤブサほどの者が、こんな無名の村の奴らを守るために、わざわざ出張ってくる? 奴らの軍には神仙界の者もいる。こんな僻地の仙桃を求めずとも、その供給源はいくらでもあるだろうに……)
 そう感じて首を捻っては見るが、考えた所で答えなど出ようはずもない。
「百々目鬼様……」
 周りに居る部下たちから上がる情けない声に、百々目鬼ははっと我に帰った。一つ大きなため息をつくと、百々目鬼は部下たちに指示を出す。
「お前たちは阿呆か!? 数ではこちらが圧倒しているのだ!! リュウ・ハヤブサがいくら強いと言っても所詮は1人だ! 奴を避けて、三方向から包み込むように人間共を粉砕しろ!!」
「は、はっ!!」
 百々目鬼の言葉を受けて、部下たちが三方向へと散って行く。その後ろ姿を、百々目鬼は忌々しそうに睨みつけていた。


「むっ!?」

 百々目鬼軍の動きに現れた変化に、気づかぬハヤブサではなかった。
(しまった――――! 奴ら、三方向から――――!)
 殿である自分を避け、百々目鬼軍はこちらを包み込むように、側面へと回り込もうとしている。
(どうする!?)
 龍の忍者は懸命に考える。しかし、いくらハヤブサの足が速いと言っても、自分が動き回れる範囲には限界がある。数に任せて三方向から一斉に攻め立てられてしまっては、それを完全に防ぎきる事など不可能だ。
 良い策が浮かばない事にギリ、と、歯を食いしばるハヤブサ。すると、戦場の右側の方から、ドカン!! と言う轟音と共に、巨大な火柱が上がった。
(シュバルツ――――!)
 その火柱を見た瞬間、ハヤブサは何が起こったのかを即座に理解した。だから叫んだ。
「お前たち!! 腕に覚えがあると言ったな!?」
 後ろで戦っていた妖魔たちに呼びかける。すると彼らも、戦いながらもすぐに返事をしてくれた。
「へ、へい!!」
「あんたほどじゃねぇですが、あんな連中に後れを取る俺たちではありません!」
「シュバルツ殿に鍛えられていますから――――!」

「ならば、左翼の方へ行ってくれ!!」

「左翼ですか!?」
 聞き返す妖魔たちにハヤブサは頷く。
「ああそうだ。右翼の方はおそらくシュバルツが守ってくれている。だから、左側の守りの方を厚くして欲しい」
「分かりやした!」
 ハヤブサの言葉に妖魔たちも納得する。
「しかし、ここの守りはどうするんです?」
「ここは、俺独りで充分だ」
 問う妖魔たちに、ハヤブサは即答した。恐ろしく傲岸な物言いだが、それに納得できるだけの強さをこの龍の忍者は発揮していた。確かに、ここを守るハヤブサを突破できないからこそ、百々目鬼軍は迂回を選択しているのだから。

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