農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 165 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/27 00:55   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

「分かりやした! では、我々はそちらへ向かいます!」
「ハヤブサ殿も、御気をつけて!!」
 妖魔の一団はそう言葉を残して、踵を返して走り去っていく。
「さあ、来い!!」
 一人残ったハヤブサは、刀を正眼に構えなおしていた。


 ドンッ!!

 ドンッ!!

 シュバルツが投げた焙烙玉があちこちで弾け、襲いくる百々目鬼軍を撃退する。あちこちから悲鳴と怒号が上がり、逃げ惑う村人たち。
「大丈夫だ!! 走れ!!」
 パニックになりそうな村人たちを、シュバルツが懸命に支え、導く。その声を受けて、妖魔たちも村人たちも、互いに支え合いながら戦場を走り抜けた。
「みんな! 頑張って!!」
 ケイタも大人たちの間に紛れて、妖魔の子供たちや友達に声をかけながら走る。不意に、そのうちの妖魔の子供の1人が、つまづいて転倒してしまった。
「大丈夫!?」
 ケイタは足を止め、妖魔の子を助け起こしに戻る。
「死ねい!!」
 そこに迫りくる百々目鬼軍の刃。
「―――――!」
 ケイタは咄嗟に、妖魔の子を庇うように抱きしめた。自分の身体に刃が刺さろうが、とにかく腕の中の子だけは助かって欲しい、と願った。

 ドスッ!!

 何かが切り裂かれる音がする。
 だが、自分の身体には何時まで経っても痛みが襲ってこないから、不思議に思ったケイタが顔を上げると、そこには百々目鬼軍の妖魔を倒したシュバルツの姿があった。
「大丈夫か!?」
 手を差し伸べ、真っ直ぐ問うてくるシュバルツに、ケイタは茫然としながらも頷く。そのままシュバルツは「立てるか?」と、ケイタ達の手を引いて、立ち上がらせてくれた。
「あ、ありがとう」
「礼はいい。とにかく走れ!」
 そう言っている間にもシュバルツは、かかってくる百々目鬼軍を次々と撃退していた。
「わ、分かりました! 行こう!」
 ケイタは妖魔の子供の手を引くと、再び走り出していた。

 シュバルツの動きは速く、視野も広い。そして、彼は目に見える総てを救おうとしていた。その為に自分の身体が多少傷つこうが、まるで頓着していないようだった。
「く、くそっ!」
「なんだ!? こいつの強さは……! 化け物か!?」
 ハヤブサ以外は対して強い者はいないだろう、とタカをくくっていた百々目鬼軍の面々は、シュバルツの八面六臂なその動きに、ひたすら翻弄されるしか無かった。
「逃げろ!! 早く!!」
 戦いながら助けた村人たちに呼びかける。
「あ、ありがとうございます……!」
「礼は良いから、早く!」
 守る。皆を守る。
 その願いを乗せて、その刃は振るわれた。
 だが、弱い者をその背に守る戦いは、彼の身体に徐々に大小さまざまな傷を刻みつけて行く事になる。

 腹立たしい。
 傷を負うことで、動きが鈍くなってしまうこの身体が。
 反応が、一歩遅れてしまうことが。
 どうせ治るのなら、今治れ。
 皆を守れるのなら、このまま真に『化け物』になってしまっても良い。

 視界の隅で、転ぶ幼子の姿を見つける。そのすぐ傍に、百々目鬼軍の妖魔が迫っている。
「駄目!」
 母親が子供を守ろうとその身を投げ出す。

「く………!」

 シュバルツの身体が、考えるよりも先に動く。
 理屈じゃない。
 自分の目の前で、自分以外の誰かが傷つくのはもう嫌だ。

 守る。
 絶対に。

 ドンッ!!

 地に倒れ込んだ母子を斬ろうとした妖魔に向かって、シュバルツは体当たりをする。当たられた妖魔は、そのまま物も言わずに吹っ飛ばされた。
「立てっ! 早く!!」
 母子を助け起こそうとするシュバルツに向かって、尚も百々目鬼軍の妖魔たちが殺到する。母子には、シュバルツの背後に迫る刃が見えてしまったが故に、その顔色が変わった。
「――――!」
 当然その凶刃には、シュバルツも気づいていた。だが、この母子を助けない限り、自分がここから退くことはあり得ない。守るために、肉を切らせて骨を断つ覚悟を決める。
 まさにその時。

「このぉ!!」

 叫び声と共に、金拵えの鞭の刃がしなりを上げる。ドカッ!! と、物と物がぶつかり合う音がしたかと思うと、シュバルツに襲いかかっていた妖魔たちが、軒並み吹っ飛ばされていた。
「君は………!」
 自分と妖魔の間に飛び込んできた人物に、シュバルツは少し驚く。何故ならそれは、村人たちを先頭に立って案内していた筈の、甲斐姫であったから。
「……………っ!」
 甲斐姫はしばらく無言で肩で息をしていたかと思うと、もの凄く険しい目つきをシュバルツに向けてきた。それはもはや『睨んでいる』と、言っても良かった。
「…………?」
 助けてくれた礼を言いたいのだが、彼女が睨んで来る理由がさっぱり分からないので、シュバルツはしばし、首をかしげる。そんな彼に向かって、甲斐姫は金拵えの鞭をビシッと向けた。

「……貴方は知らないかもしれないけれど、私は前の時間軸で同じように皆を守ろうとして………でも、守り切れなくて―――――役に立たなかった自分が、心底悔しかったの」

 唐突に始まった彼女の独白を、シュバルツは無言で見守っていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 165 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる