農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 167 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/29 16:52   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0


 その頃、走り続ける村人たちの先頭の方でも変化が起こっていた。目指す劉備の城の方から、土煙が上がっているのが見えたからである。
「何だ?」
 訝しむ村人たちと妖魔たちの視界に、一騎の赤毛の馬に乗った武将の姿が入ってくる。その武将は、見る間にこちらの集団の方に近づいてきた。豊かな髯を湛え、身の丈9尺の偉丈夫はこちらの集団を確認すると、大音声で呼び掛けて来た。

「その方らは、我が主、劉玄徳に庇護を求める者たちか!?」

「関羽将軍!!」
 先頭に立って皆を案内していた村人が叫ぶ。彼は劉備の統治する城の城下町に行商によく出ていたが故に、関羽を多少なりとも見知っていたのだ。
「そうです! わしらは今――――百々目鬼軍の襲撃を受け、追われています!」
「この妖魔たちは、おらたちを助けてくれて――――!」
 村人たちが口々に、関羽に向かって現状を訴える。その横で、妖魔たちが少し申し訳なさそうに、身を固くしていた。
 その様を見た関羽は、哀しみ故に少し表情を曇らせる。
 この妖魔たちは『妖魔である』と言うだけで――――人間からどう言うふうに見られ、どう言う誤解を受けてしまうのかを、理解してしまっているのだと感じた。現に、前の時間軸でまさに自分が、妖魔の存在故に村人たちや孫尚香を、誤解してしまった内の1人なのだから。

「心配するな。我々はそなた達の事情を、承知いたしておる」

 だから関羽はまず、皆にそう呼びかけた。村人たちや妖魔たちが、安心して城に逃げ込めるように。行く道すがら、孫尚香と二人がかりで、張飛と趙雲にも、事情は説明済みだった。
「この辺りはまだ――――戦闘に巻き込まれてはおらぬな?」
 問う関羽に、村人たちは頷く。
「へぇ。我々の方にまで敵は来てはおりませぬが、後ろの方の人たちが敵に襲われているようです」
 その言葉が終わらぬうちに、後方から火柱が上がる。激しい戦闘が行われている事を、伺わせた。
「承知した。皆はこのまま走って逃げよ。間もなくここに、我が軍が援軍としてやってくる。その者たちと合流して、城へ逃げ込むのだ!」
「わ、分かりました!」
「おい! 皆、走るべ! もうひと頑張りだ!」
 関羽の言葉に皆が頷き、互いを励まし合いながら走りだす。関羽は少しの間それを見送ってから、再び愛馬赤兎に拍車を入れた。
(助けなければ……! 今度こそ――――!)
 前の時間軸に比べたら、逃げて来ている村人たちも妖魔たちも、その数がずっと増している。太公望の手助けが、うまくいった証拠なのだろう。

 助けなければならぬ。
 種族を越えて、手を取り合う者たちを。
 それを助けようとしている者たちを。

 関羽の脳裏に、傷だらけのハヤブサを抱きかかえていたシュバルツの姿が甦る。
 前の時間軸では、シュバルツはハヤブサを庇って、跡形もなく崩れ去って消えてしまった。
 およそ人間らしからぬ死に方――――彼もまた、『妖魔』かそれに類する物の類(たぐい)なのだろう。
(だからどうした)
 関羽は思う。弱き者を守ろうとする者に、その出自の正邪など、問われるべきではない。関係ないではないか。

(間に合わせる……! 今度こそ――――!)

 その決意を伝えるように、関羽は己の得物である青龍偃月刀を馬上で改めて構えた。


「おい! 大丈夫か!?」
 ハヤブサから左翼を任された妖魔たちは、互いに声を掛け合いながら戦い続ける。何とか村人たちの犠牲は出さずに今のところは守り切ってはいるが、何と言っても多勢に無勢だ。数に任せて押してくる百々目鬼軍に、徐々に押されつつあった。
「ちぃっ! きりが無いぜ!!」
 戦い続け、屠り続け――――もう皆が疲労困憊だった。だが、自分達から崩れる訳にはいかない、と、妖魔たちは必死になって武器を上げ続ける。
「頑張れ!! 泣きごとを言うな!!」
「しかしよ……」
「何だ? 蛟(みずち)」
「本当に、劉備軍からの援軍なんて来るのか? もしも、俺達の事で誤解されてしまっていたら――――」
「―――――!」
 その言葉に話を聞いていた妖魔も一瞬息を飲む。しかしすぐに、頭を振った。
「それでも……ここの人たちを、見捨てられないだろう?」
「それもそうだな」
 そう言って、泣きごとを言った妖魔も苦笑する。彼らは理解していた。ここは、自分達が崩れてしまったら終わりなのだと。
 だから、歯をくいしばって耐え続ける。しかし、押し切られるのも時間の問題と思われた、まさにその時―――――

「うおおおおおおっ!!」

 咆哮と共に、一等の燃えるような赤毛の馬に乗った武将が、青龍偃月刀を唸らせながらその戦場に飛び込んでくる。ドカッ!! と、派手な音を立てて、その武将は周りの百々目鬼軍の妖魔たちを一掃した。

「我が名は劉皇叔が義弟、関羽!! 字を、雲長と申す者なり!!」

「げえっ! 関羽!!」
「関羽だと!?」
「おお! 関羽将軍……!」
「あれが――――!」
 関羽の名乗りに、敵からも味方からも、ざわめく様な声が上がる。百々目鬼軍の中にも、『関羽』の名は知れ渡っているようであった。

「皆の者!! もう少しで、我が軍の援軍がここに来る!!」

「―――――!」
 関羽のその言葉に、戦場の空気が一気に変わる。それまで押され気味だった難民たちの妖魔軍の方に、俄然勢いが戻ってきたのだ。
「援軍だって!?」
「おお……!」
「助かるの!? 私たち……!」

「だから、今少し走れ!! もう我が援軍は、目と鼻の先だ!!」

 関羽が青龍偃月刀で指し示す先に、はっきりと土埃が上がっているのが見える。関羽の言葉の通り―――劉備軍の援軍がそこまで来ている事が見て取れた。
(ハヤブサは、何処だ―――?)
 関羽は民達を誘導し、百々目鬼軍を撃退しながら黒の忍者の姿を探す。援軍が来た事を、彼に知らせなければと思っていた。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 167 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる