農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 168 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/31 18:16   >>

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 そうしてしばらく敵を蹴散らし、援軍が来ている事を叫び、民達を誘導しながら戦い続けていた関羽であったが、やがて、1人の青年に声をかけられた。
「貴殿が、関羽殿か!?」
 振り返る関羽の視界に、こちらに向かって走って来ているシュバルツの姿が飛び込んでくる。
「そなたは……!」
「私の名はシュバルツ・ブルーダーと申します。劉備殿が、援軍を出してくれたのですか!?」
「ああ………」
 関羽はうっかりシュバルツの名前を呼びそうになったのだが、先にシュバルツの方から名乗ってくれたので、ほっと胸を撫で下ろしていた。
「そうだ。孫尚香殿の要請を受けて、兄者が決断を下してくださったのだ」
「そうですか……」
 そう言葉を紡ぐシュバルツの後ろから、1人の女性が走ってきた。彼女はシュバルツに追いつくと、手を膝について前かがみの姿勢になって立ち止まり、苦しそうに肩でぜえぜえと息をしていた。
「大丈夫か?」
 そう気遣うシュバルツに、彼女はきっと顔を上げる。
「まだまだぁ!!」
「…………!」
 その目つきがあまりにも険しい物だったので、関羽は思わず身を引きそうになる。流石に『甲斐の熊姫』と異名を取るだけの事はある。ものすごい迫力だった。
「シュバルツ、ハヤブサは何処に居る?」
「ハヤブサですか?」
 関羽の問いかけに、一瞬小首を傾げたシュバルツであるが、すぐに得心した。ハヤブサは戦う前、「関羽殿は総てを承知してくれている」と、語っていた事を思い出したからだ。きっと関羽とハヤブサの間には、この戦いに入る前に、事前に打ち合わせができているのだろう。
「ハヤブサは殿で戦ってくれています」
「そうか……」
 シュバルツの言葉に頷くと、関羽は青龍偃月刀を構えなおした。自分が―――劉備軍の援軍が来たと、早くハヤブサに知らせねばならぬと思った。
「では拙者はハヤブサの所に参る。シュバルツ、そなたは―――」
「私は皆を誘導しつつ、援軍と合流致します」
 打てば響く様な答えを返してきたシュバルツに、関羽は感心した。この青年は弱き者をその背に庇うだけでなく、その場の状況を判断して動く事が出来る。なかなか機転も利く様だ。典韋が曹操にこの青年を推挙しようとした、という話を聞いた事があるが、なる程、と、頷く事が出来る。きっと曹操も、彼の様な武将は気に入る事だろう。そして我が主玄徳も――――
「では、頼んだぞ」
 関羽はシュバルツにそう言い置くと、赤兎馬に拍車をかけ直した。
 シュバルツは赤兎馬と共に関羽に頭を下げてから、甲斐姫に振り返った。
「聞いての通りだ。援軍がこちらに向かっている様だぞ」
「はい! ……そっか……尚香が、やってくれたんだ……」
 シュバルツの言葉に、甲斐姫が嬉しそうに微笑む。すると彼女の表情は、先程の睨みつけていた物とは一転して、柔らかい印象を人に与えた。
(ああ、可愛いな)
 それを見つめるシュバルツの表情も、自然と柔らかいものになる。だが、彼はすぐにその表情を引き締めた。
「後もう一息――――ついて来れるか!?」
「行きます!!」
 シュバルツの問いかけに、甲斐姫は噛みつかんばかりの表情を浮かべる。シュバルツはそれににやりと笑みを返すと、また前を向いた。
「では、行くぞ!!」
 そう叫ぶや否や、シュバルツの姿がまたフッと見えなくなる。

「負(むぁ)けるもんかああああっ!!」

 彼女もまた、村人たちや妖魔たちの間を、猛然とダッシュを開始していた。


 手を取り合って走っていた村人たちと妖魔たちの前に、やがて軍隊が合流して来た。その軍隊には劉備軍の旗が掲げられ、その先頭で孫尚香が手を振っている。
「みんな、無事!?」
 呼び掛ける孫尚香に、村人たちが走り寄っていった。
「我らは大丈夫です!」
「でも、早く助けて下せぇ! 後ろの方が戦闘に巻き込まれているみたいで……!」
「そうみてぇだな。鬨の声と戦いの音が、ここまで響いて来ていやがるぜ」
 村人たちの懇願に、張飛が後方を覗き込むような仕種をする。
「だけど安心しな! 俺たちが来たからには、お前達にはもう指一本触れさせやしないからな!」
 張飛の言葉に横にいた趙雲も頷き、村人たちからどよめきと歓声が上がる。中には、涙を流している者もいた。
「張飛どの! 我らは我らの役目を急ぎ果たしましょう!」
 張飛の横にいた趙雲が、声をかけて来た。
「おう、そうだな」
 趙雲の言葉に張飛は頷くと、後ろの自軍の兵士たちに声をかけた。
「よしっ! 野郎ども!! 自分がやるべきことは分かっているな!? 関羽の兄貴の兵士たちも――――!!」
 その言葉に兵士たちから「おおっ!!」と、力強い返事が返ってくる。
「じゃあ、行くぜ!!」
 張飛の号令に合わせて、兵士たちは一斉に駆け出した。
「走れない者はいないか!? この荷車に乗ってくれ!!」
「荷物も! 遠慮なく乗せてくれよ!!」
「馬の余分もある!! 疲れた者は乗ってくれ!!」
「女子供を優先しろよ!! 年寄りもだ!!」
 兵士たちは村人たちの間に入って行くと、大声で呼びかけ、難民たちの手を取って行く。
「走る準備の出来た者たちから走れよ!! 村人たちを怪我させねぇ様にな!!」
 兵士たちは手際よく、村人たちの誘導を始めた。あっという間に村人たちが逃げるスピードが、格段に上がり始めた。
「て、手慣れているわね………」
 孫尚香がその様を、半ば茫然としながら見守る。
「慣れてるんだよ」
 その声を聞いた張飛が、苦笑しながら答えた。
「玄徳様は、決して民を見捨てられる方ではありませんから――――」
 趙雲も、孫尚香の言葉に答える。
「民が兄者を慕ってついてくるものだからな。俺たちも何度も民と一緒に逃げるうちに、要領を得てきちまったんだ」
 良い事何だか悪い事なんだか――――そう言って頭をかく張飛に、孫尚香も笑顔を見せた。
「フフ……玄徳様らしいわね……」
 そう、常に民に寄り添おうとする玄徳。為政者には大切なことだが、なかなかそれを実行できる人間は少ない。そんな玄徳だからこそ、自分は好きになったのだと孫尚香は強く思った。何故か、涙が出てくる。彼女はそれを、慌てて拭った。

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