農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 150 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/04 00:24   >>

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「……………」

 やがて落ち着いたのか、シュバルツはハヤブサから身体を離した。
「……落ち着いたか?」
「ああ……。済まなかったな……。醜態をみせた……」
「謝るな。何度言わせる気だ」
「いや、しかし……迷惑を――――んう!」
 ハヤブサが強引にシュバルツの唇を奪ったから、シュバルツはこれ以上言葉を紡げなくなってしまう。
「ん……う………」
 口腔を深く弄られ、舌を強く吸われ――――呼吸が奪われる。長い長い口付けから解放された時、シュバルツは酸素を求めて喘がなくてはならなくなった。
「迷惑ではない――――と、何度言ったらお前は分かってくれるんだ?」
 ハヤブサは、シュバルツを逃がすものかとでも言わんばかりに彼の首の後ろに手を回し、シュバルツの利き腕を捕まえてがっちりと固定している。
「ハヤブサ……」
「お前が俺の前で泣く事を――――俺が嫌がるとでも? お前の心を、俺が欲しがらないとでも、思っているのか?」
「いや、そう言うつもりでは……」
 何か危険な物を感じて、シュバルツはハヤブサから一歩、身を引こうとする。だが彼がそうする事を、ハヤブサが許す筈もない。捕まえている腕を、彼は更に強く握った。
「あっ!」
 その小さな悲鳴を聞いた瞬間、ハヤブサの中で何かがぶち切れそうになってしまう。
「俺は欲しいんだ……! お前の心も……! その身体も――――!」
「ハ、ハヤブサ……!」
「シュバルツ――――」

 押シ、倒シタイ

 抗いがたい欲望が、鎌首をもたげてくる。
 無理もない。
 もう2カ月以上も―――――シュバルツの最奥に触れていないのだから。
 枯渇して、もう死にそうだ。

 だがまだ――――シュバルツを完全に悲劇から救えている訳ではない。
 ハヤブサはそう感じて、己が理性を必死に総動員する。

 今は、まだ駄目だ。
 シュバルツを、完全に自分の手に取り戻すまでは――――!

「……………」
 僅かに、腕の力を緩める。だが、シュバルツは逃げなかった。
「ハヤブサ……?」
 それどころか、こちらを気遣うように呼びかけられ、そっと手が触れてくる。「ハヤブサからは逃げない」と言う、明確な意思の表れだった。それを見てハヤブサは、ようやく落ち着く事が出来た。シュバルツの心の所在を、思い出したからだ。

 シュバルツの心は、常に俺に寄り添っている。
 だから、恐れるな。
 目の前のこの愛おしいヒトは
 俺がどう触れようとも、絶対に拒絶などしないのだから――――

 意を決して、シュバルツを解放する。
「……とにかく、俺の前で泣いたぐらいの事で、いちいち謝らなくて良い。俺は別に構わないのだから」
 寧ろ嬉しいぐらいだ――――そう言ってそっぽ向くハヤブサに、シュバルツは思わず苦笑してしまう。
「ああ。分かった……。済まな――――」
「…………」
 ジロリ、とハヤブサに睨まれて、シュバルツは慌てて口を塞ぐ。

「いや……。ありがとう……」

「よし」
 シュバルツのその言葉に、ハヤブサは頷いて踵を返す。だが内心は――――飛び跳ねまわって叫びたい気持ちでいっぱいだった。
(ああもう可愛い! 可愛すぎる! 俺のシュバルツ……! 今すぐ抱きしめて、押し倒してしまいたい!)
 ハヤブサが内心そう言いながらじたばた転げまわっている事に気づいているのかいないのか――――シュバルツが苦笑しながら声をかけてくる。
「さあ、皆を避難させないといけないな。ハヤブサ……また、力を貸してくれるか?」
「無論だ」
 そう言って、二人が手入り口の方に顔を向けた時、中をおずおずと覗き込んでいた女性陣二人と目が合った。
「…………!」
 変な所を見られたのではないかと、少し顔を強張らせるシュバルツ。ハヤブサはそんなシュバルツを女性たちから庇うようにその前に出ると、「どうした?」と、声をかけた。尤も、自分の気持ちはもう彼女たちにはばれているので、それでどう思われようが、自身は全く頓着しないのだが。
「あ………えと………」
 女性たち二人は、少し逡巡するようにこちらを見ていたが、やがて意を決したように、孫尚香の方が声をかけて来た。
「シュバルツさん、あの……」
「………? 私に用か? どうした?」
 ハヤブサの後ろから出て来て、シュバルツが近寄ってくる。
「はい……。あの……ちょっと、外に、見てもらいたい物が――――」
「……………?」
 孫尚香に導かれるままにシュバルツは外に出て、彼女に示された方を見て――――息を飲んだ。

「………! これは――――!」

 シュバルツが驚くのも無理からぬことであった。何故なら、彼の目の前の広場には、綺麗に設えられた祭壇と、そこに整然と祀られた、お供え物の山があったからである。
 祭壇に向かって拝んでいた村人の1人が、集会所から出てきたシュバルツに気がついて、声をかけて来た。
「あ、シュバルツさん」
「これは、どうしたんだ……? 避難の準備は――――」
 問うシュバルツに、声をかけてきた村人は微笑みかける。
「何時でもすぐ逃げられるように、避難の準備は出来ていただ……。ただこれは、今までお世話になったこの土地と、土地神様に――――感謝の心を捧げたい、と、思って……」
「これは本当なら、明日の感謝の祭りで供えられる筈の物だったのだがのう」
 シュバルツに気が付いた別の村人が、話に入ってくる。
「わしらがここまで無事に生活出来て、良い桃を収穫できたのも、土地神様の御加護があっての事じゃ……。だから、礼を言わねば、罰が当たると言うものじゃ」


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