農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 176 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/14 15:32   >>

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「素戔鳴は『神』と言うだけあって、雨と風と雷を――――その手で自在に操る。多少の攻撃を受けても怯まない。そして、素戔鳴の雷には、気絶効果を伴う物もある様だ」
「なるほど……」
「手ごわそうですね……」
「ああ! 早く手合わせをしてみてぇなぁ!」
 張飛のその言葉が、関羽や趙雲の気持ちを代弁しているのだろう。二人ともがうんうん、と頷いていた。
「素戔鳴の性格は、どのような感じなのでしょうか」
「性格か………」
 孔明の質問に、ハヤブサは暫し考え込む。
「剣を合わせた印象でしか語れないが、構わないか?」
「充分です」
 確認するハヤブサに、孔明は頷き返す。それを見て、ハヤブサは再び口を開いた。
「素戔鳴は『神』であるが故に、その剣は強く、傲岸だ。だが、太刀筋に迷いはない。綺麗で、真っ直ぐな剣だ」
「傲岸で、真っ直ぐ……」
「そして、とても部下を思いやる一面も持っていた。兵士たちも、素戔鳴をとても慕っていたな」
「なるほど、よく分かりました」
「……? もう、良いのか?」
 意外にも早く話を切り上げられた事に驚いて、ハヤブサは少し確認してしまう。それに対して孔明は、にこりと微笑んだ。彼にとって『情報』は、もうその程度で充分なようだった。
「作戦は決まりました。素戔鳴は今宵、その村に現れると言うのならば――――そこで雌雄を決しましょう」
「おっ! そうこなくっちゃ!!」
 孔明の一言で、場の空気にピン! と、心地よい緊張が走る。張飛が待ってましたと言わんばかりに快哉を上げた。
「して、軍師殿はいかなる作戦で望まれるおつもりか?」

「罠を仕掛けましょう」

 関羽の言葉に孔明はにこりと笑って答える。
「『傲岸で真っ直ぐな太刀筋』を持つ、ということは、存外根が単純な方なのかもしれません。挑発して誘い込む作戦が、有効でしょう」
(なるほどな……)
 孔明の言葉にハヤブサは納得する。確かに、前の戦いのときも素戔鳴は、彼を挑発した自分を執拗に追いかけて来ていた。この『挑発』という手段は、素戔鳴には非常に有効に効くのかもしれない。
「少々お待ちください。この周辺の地形図を取ってきます」
 孔明がそう言って場を外そうとした時、ハヤブサが待ったをかけるように声を上げた。

「作戦に入る前に――――申し訳ないが、一つ、俺の願いを聞いてくれないだろうか?」

「はい。何でしょう」
 場を外そうとした孔明が、立ち止まってハヤブサの方に向き直る。
「実は次の戦いは、こいつを外して作戦を立てて欲しい」
 そう言ってハヤブサがシュバルツの方を指さすから――――一同は驚いてしまう。玄徳にとってもこれは意外だった。ハヤブサに指さされた青年は、かなり有能な将であるように見受けられたのに。
「それは……何故ですか?」
 それは孔明にとっても同じだったのだろう。ハヤブサに疑問を投げかけてくる。
「すまない。こちらにもいろいろと事情があるんだ」
「ハヤブサ!? 何故だ!!」
 シュバルツにとってもそれは心外であったのだろう。ハヤブサに突っかかる様に問い返していた。
「シュバルツ――――」
 ハヤブサは一つ小さく息を吐くと、いきなりシュバルツを押してきた。
「ハヤブサ!? ………あっ!」
 そのままハヤブサに勢い良く押され続け、シュバルツは部屋の壁際まで追い込まれてしまう。そのままドンッ! と、壁に身体を押しつけられ、その首元に鞘のままの龍剣を押し当てられる。
 そのまま殺気だった眼差しでハヤブサに睨みつけられるから――――シュバルツは激しく戸惑ってしまう。
「ハ、ハヤブサ……?」
「いいか、シュバルツ……! 今度の戦い、お前は絶対に出てくるな……!」
「だ、だから何故――――ウッ!」
 グッと更に壁に押し付けられ、シュバルツは低く呻く。
「お前を、死なせたくないからだ……!」
「―――――!?」
 ギョッと目を見開くシュバルツに、ハヤブサは更に言葉を続けた。
「前の時間軸で、お前は死んだと言っただろう! あれは、素戔鳴の仕業なんだ!」
「な………!」
「素戔鳴に限らず、神仙界の者は皆――――DG細胞を滅する能力を持っている。つまりお前は、仙界軍の者と戦ったら、その身に矢が掠めただけで死ぬんだぞ!?」
「…………!」
「だから絶対に、次の戦いには出てくるな……! いいな?」
「し、しかし………!」
「…………ッ!」
 ハヤブサを茫然と見つめ返しながら、まだ何事かを反論しようとするシュバルツを、ハヤブサはギリ、と睨みつける。

 どうして
 どうして分からないんだ、こいつは
 俺はお前を死なせたくないから、何度も時間をやり直して、こうしてここにいるのに――――!

 龍剣を押し当てる手に、知らず更に力が入る。
「う……う……ッ!」
 シュバルツが苦しそうに呻くが、ハヤブサは自分で自分が止められなかった。
 いくらこちらが止めようとしても、『死』へと転がって行きそうになるシュバルツ。一体、どうすれば良いと言うのだろう。
 このままここでこいつの息の根を止めれば、その運命も変えられるのだろうか――――

「ハ、ハヤブサさん……!」
「…………!」
 いつの間にか甲斐姫がハヤブサのすぐ傍まで来て、泣きそうな顔をしてこちらを見ていたから、ハヤブサははっと我に返る。シュバルツを絞め殺さんばかりに押し当てていた龍剣を、スッと退けた。
「――――! ゴホッ!!」
 いきなり肺に流れ込んできた大量の空気に、シュバルツは思わず噎せる。
 ハヤブサはしばらくそんなシュバルツを無言で見つめていたが、そのまま黙って踵を返すと、すたすたと歩きだした。
(これで、俺を守るために戦いに出よう、などとは思わないだろう)
 歩きながらハヤブサは、そんな事を考えていた。
 これをしたことでシュバルツに嫌われようが恨まれようが――――一向に構いはしなかった。
 要は、シュバルツが生きていてくれさえすればいいのだ。
 もう二度と、その身体には触れられずとも、その優しさが自分に向けられなくなろうとも。
 生きて、キョウジと二人、幸せそうに笑っていてくれさえすれば、自分はどう思われようともどうなろうとも――――それでよかった。

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