農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 178 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/16 13:58   >>

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 妙にうず高く積み上げられたそれを見た時、最初素戔鳴はそこに異形の者が居るのかと思った。だがすぐに、そうではないと気づく。

 それは、村人たちが土地神のために設えられた祭壇と、供物の数々だった。

 所狭しと祭壇に並べられた野菜や酒、料理の数々。
 その周りに、綺麗に供えられた花々。
 これらを見ているだけで、この村人がどれだけ土地神を大切に祀っていたかが分かる。
(………………)
 素戔鳴とて『神』の端くれ。これらの心のこもった供物の数々に、何かを思わないでもなかった。
 だがしかし――――
 素戔鳴は、一つ大きく息を吐いて、再び顔を上げる。

 人の子とは誠に度し難い。
 何故、神をここまで見事に崇められるのに、同じように妖魔も受け入れてしまうのか。
 善にも悪にもふらふらと行き来する様は、まるで節操のない悪女の如しだ。
 何故こうも弱く、不安定な存在がこの世にいるのか――――

 そんな事を思い巡らせている素戔鳴の耳に、いきなり

「阿呆か――――――ッ!!」

と、大音量の怒鳴り声が飛び込んできたから、彼は思わずひっくり返りそうになってしまっていた。


 時は今から数刻ほど遡る。
 闇の中、足音も立てずに軽快に走る一つの黒い影があった。
 リュウ・ハヤブサその人である。
 彼は、素戔鳴を罠の地点まで誘い込む役を引き受けていた。その為に、村へと続くこの夜道を、1人駆けていたのであった。

「……………」

 辿り着いた村は、当たり前の話だが、もぬけの殻状態になっていた。ただ意外だったのは、村が妖魔たちの手によっても荒らされていない事だった。敗走した百々目鬼軍はどうやらこの村に立ち寄ることなく、自分の拠点へと引き上げて行ったらしかった。
(村が無事なのを皆が知れば、喜ぶだろうな……。しかし、また元の場所に帰って来られるのだろうか? 同じような事が再々起きるようなら、この場所に住むのは不可能になるだろし……)
 どちらにしろ、ここを戦場にする事は自分も避けねばならない、と、ハヤブサは思いを巡らす。
 と、その時。

「―――――!?」

 僅かだが、また何かの気配を感じて、ハヤブサは後ろを振り返る。だが、やはり誰もいない。
(気のせいか……? しかし……)

 妙だ。
 この気配は、森の中を独り走っている時から感じていた。
 誰かが
 何かが………
 自分を『尾(つ)けている』様な―――――

(いや、まさか――――)

 そんな筈はない、と、ハヤブサは懸命に、自分の考えを打ち消す。

 あいつが来る筈はない。
 軍議の席で、きっぱりと斬りつけてやったんだ。
『出てくるな』と強く忠告した。
 それを押してまで出て来ているのだとしたら、それはよほどの『馬鹿』がやることだ。
 あいつがそんな―――――
 そんな………

「…………!」

 しかし確かに、何かが『いる』
 微かだが―――――何かが、こちらを伺っているような気配。
(……………)
 ハヤブサは、小さくふっと息を吐く。
 これは、確認、しなければ。

 不意に小さく身を屈め、胸の前で印を結びながら、何事かを小さく唱え出す、龍の忍者。

(……………?)
 その様子を、ハヤブサの読み通り、木の上から眺めていた者が居た。『彼』は、龍の忍者の呪文の詠唱が気になり、つい、聞き耳を立ててしまう。
「………………………」
 そして、彼の優れた聴力が、龍の忍者の文言を捉えた時、その張り巡らされた『罠』に気づいてしまう。

「怨婆沙羅転達磨怨婆沙羅転達磨怨婆沙羅転達磨怨婆沙羅転達磨………」

(しまった――――! これを聞いては駄目だ! 離れなければ――――!)
 気づいた時にはもう遅かった。彼が身を翻そうとするよりも早く、龍の忍者の必殺の呪文が、炸裂してしまう。

「達磨惨牙(ダルマサンガ)………虎崙焚(コロンダ)―――――――ッ!!」

 べシャッ!! と、木の上から落ちてくる、追尾者。それを見た龍の忍者は、勝ち誇ったように笑った。
「フ……。キョウジや子供たちから聞いていたこの呪文が、これほど貴様に有効だとはな……!」
「ひ、卑怯だぞ!! それを聞いたら私が出てこざるを得なくなるのを知っていて――――!」
 ハヤブサの言葉にシュバルツがガバッと、跳ね起きて答える。
「何が卑怯だ!! て言うか何でこの呪文がそんなにも有効なんだ!? 貴様……! 忍者のくせに乗りが良すぎるぞ!!」
「仕方がないじゃないか!! 子供たちから呼ばれたら、出て行くのが礼儀だ!!」
「そんな阿呆な礼儀があるか!! 忍者なら少しは忍べ!!」
「お前にだけは言われたくはない!! お前だって忍んでいないくせに――――!!」
 およそ忍んでいない忍者二人の口論が、辺りに響き渡っていた。

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