農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 186 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/24 09:21   >>

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「ぐ………!」

 地面に叩きつけられた素戔鳴が、ゆっくりと起き上がる。
(何だ? 今のは………偶然か……?)
 起き上がりながら、今の自分の動きと龍の忍者の動きを反芻する。おかしい。今のタイミングで攻撃を仕掛けられたと言う事は、こちらの雷撃を『避けられた』としか――――
(馬鹿な……!)
 素戔鳴は、頭を振って今の自分の考えを否定する。

 あり得ない。
 こんなにもあっさりと――――自分の攻撃を見切られてしまう、など。

(もう一度だ!)
 素戔鳴は、天叢雲を改めて構える。龍の忍者も、それに合わせて無言で構えた。
 再び二人の間に満ち始める、殺気と気迫。
 それが飽和状態になった時――――再び二人が、同時に強く踏み込んだ。

 ガキンッ!!

 交錯する影。ぶつかり合う剣撃――――
 互いに一歩も引く気の無い戦いは、風を巻き起こし、その周りに火花を散らした。
 雷鳴が轟き、雨が降り始める。文字通り、嵐を呼ぶ戦いとなった。その息の詰まる様な攻防を、いつしか敵も味方も自身の戦いを忘れて見入っていた。周囲には、ただ二人の剣撃と息遣いと、踏み込む音だけが響いていた。

(おかしい――――)

 素戔鳴は戦いながら首を捻る。
 剣の技量はほぼ互角。互いに拮抗した打ち合いをするが、決定打を与えるまでには至らなかった。ならばと素戔鳴から放たれる雷撃。これがどうしたことか、目の前の忍者に一向に当たらない。間一髪のところで、避けられてしまう。
(何故だ……?)
 素戔鳴は思わず考えてしまう。
 この忍者の動きは、吾の雷撃が『見切られている』としか――――

(馬鹿な……!)

 素戔鳴はもう一度、自身の脳裏に浮かんだ考えを、強く否定した。
 そんな筈はない。
 初見の相手が簡単に見切れる程、雷撃の動きは甘くはない筈なのだから。
 だが一度脳裏に浮かんでしまった考えを、簡単には否定できない現実。いつまでたっても忍者を捉えきれない自身の攻撃に、素戔鳴に焦りの色が浮かび始める。
 その刹那――――
 龍の忍者の姿が、フッと消えた。

「――――!?」

 誰もが虚をつかれて、龍の忍者の姿を求めて視線を走らせる。
 ただ、シュバルツだけは上を見ていた。ハヤブサが龍が駆け上がるが如く飛び上がった空を。
「―――――!」
 シュバルツから一瞬遅れて素戔鳴も、ハヤブサの姿を視界に捉える。
(真上だと――――!? 愚かな!! 避けようも無い上空で、吾の攻撃を真正面から受けようと言うのか――――!?)

 ―――舐められている。

 素戔鳴の心が、ざわ、と、波だった。

 良いだろう。
 汝が望むとおり
 引導を、渡してくれる――――!

 怒りを乗せた雷撃が、天叢雲に満ちる。後はそれを、上空から突っ込んでくる龍の忍者めがけて、振り抜くだけだった。

「はああああああっ!!」

 裂帛の気合と共に、龍の忍者が上空から迫って来る。

「うおおおおおおおっ!!」

 それに向かって素戔鳴が、天叢雲を振り抜こうとした瞬間。
 上空から降ってきた稲光が、轟音を伴って、二人の近くの木を切り裂く。激しい光と衝撃が、辺りを席巻する。それ故に、その瞬間を見た者は、誰もいなかった――――

 ストン、と音も無くハヤブサが地面に降り立つ。
 そのまま暫し、互いに動かぬ残心状態が続いた。
 回転して落ちて来た何かがドスッと地面に突き刺さり―――――

「うぐッ……!」

 先に素戔鳴の体が崩れる。それを確認してからハヤブサは立ち上がり、振り返った。
「おのれ………!」
 ガクッと膝をついた素戔鳴の右肩には、クナイが突き刺さっていた。
 雷撃を放とうとした瞬間、天から走ってきた雷鳴。それとともに、このクナイは自分の右肩に襲いかかってきた。それに気を取られてしまった僅かな隙に、龍の忍者に右腕を切り裂かれ、天叢雲を奪われてしまったのだ。
 そんな素戔鳴にハヤブサはつかつかと歩み寄ると、チャッ、と、音を立てて龍剣を向けた。
「悪いが俺は、お前と戦うのは初めてではない」
「な――――!」
 驚き息をのむ素戔鳴に、ハヤブサは更に言葉を続けた。
「『前の時間軸』で、お前の攻撃を散々見せつけられているのだ」
「何だと!?」
「故に俺には、手に取る様に分かる。お前がどのような攻撃を繰り出すのか、どのように雷撃が走るか――――」
「…………!」
 ぶるぶると小刻みに身体を震わせていた素戔鳴が、拳をぎゅっと握りしめた。
「……時を遡った……と、言う事は、巫女かぐやが、貴様たちに手を貸したのか……?」
「そうだ」
 ハヤブサの肯定の言葉に、素戔鳴はギリ、と唇を噛みしめた。

「……何故だ……?」

 絞り出されるように、素戔鳴は声を発した。
「巫女かぐやが……何故だ……!」
 素戔鳴が何を言わんとしているのかをハヤブサは測りかね、その様子を静観する。すると素戔鳴は、弾かれたように顔を上げて叫んだ。

「人の子よ!! 汝らに問う!! 何故だ!? 何故その後ろに居る『化け物』を守ろうとするのか!? 時を巻き戻してまで――――!!」

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