農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 188 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/25 23:03   >>

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 太公望の言葉を受けて、諸将は村人たちの間に入って行く。関羽もそれに倣い、入って行った。
 こうして関羽は聞き続けた。
 村人たちの話を。シュバルツがあの村で、どのように過ごしていたのかを――――
 そして、最後には必ずこう言われた。

「必ず、シュバルツさんを助けてください!」

 老若男女問わず、皆が口をそろえてこう言った。
 そのたびに、関羽もこう答えた。

「あい分かった。必ず助ける」

 1人1人と、そう『約束』をして、関羽は村人たちと別れた。

 時を渡った今、あの城の中に逃げ込んできた村人たちの中には、そんな記憶などかけらも残っていないだろう。当たり前の話だ。村を襲撃され、命からがら逃げてきた事自体が、村人たちの中では『無かった事』になってしまっているのだから。
 だが、関羽は覚えている。
 村人たちの涙を。握ってきた手の強さを。
 彼らの必死な願いを。

「必ず助ける」

 そう交わした約束を。

 覚えている以上、それは守らなければならぬと関羽は思う。例え相手に忘れられてしまった『約束』であろうとも、『無かった事』になってしまっている物だとしても。自分が一度引き受けた物ならば―――――それは、果たされなければならぬと思うのだ。
 そうする事が自分の『信義』だ。
 それ以外に生きて行く術を、自分は知らない。

 それに――――

「……この者の出自や成り立ちがどうあれ、この者は村人たちを助けていた。弱き者を慈しみ、守ろうとする者であることを、少なくとも拙者は知っている!」
 関羽はもう一度、その柄で地面をドンッ!! と、叩いてから、青龍偃月刀を構えた。

「なれば、拙者はこの者を守る!! これ以上の理由は必要ない!!」

「…………ッ!」
 ギリ、と歯を食いしばる素戔鳴に向かって、張飛も口を開いた。
「俺も、関羽の兄貴に従うぜ!」
「…………!」
 驚くシュバルツの目の前で、張飛も素戔鳴に向かって蛇矛を構える。
「細かいことはよく分からねぇが、関羽の兄貴について行けば間違いはないからなぁ!!」
「我が槍も、関羽殿の『信義』のために!」
 そう言いながら趙雲も、素戔鳴に竜胆を向ける。
 その光景を見ながらシュバルツは茫然としていた。

(皆……何故だ……? 何故――――)

 素戔鳴の言う通り、『自分』と言う存在は罪に塗れているのに。
 身体に刻まれた、『邪悪』な匂いは消えないのに――――
 どうして――――

 茫然と周りを見回していると、素戔鳴に剣を向けているハヤブサと視線が合う。すると、彼はひどく優しくシュバルツに微笑みかけて来た。

(良かったな……)

 成り立ちがどうこうなんて、本当に問題じゃない。
 ちゃんとお前の心を見て、為してきた足跡を見て――――受け止めてくれる人たちが必ずいるんだ。

「う…………!」

 あまりにも優しくハヤブサに微笑みかけられたものだから、シュバルツは何となく落ち着かない気持ちになる。ばつが悪そうにハヤブサから視線を逸らした時、後ろの茂みから女性の声が響いてきた。

「あっ! 尚香! シュバルツさん居たよ!!」

 その声のした方にシュバルツがはっと振り返ると、甲斐姫と孫尚香が茂みの中からかけてくる姿が視界に飛び込んできた。彼女たちは、あれからしばらくシュバルツと共に村人たちの世話をしていたが、夜半になってシュバルツの不在に気づき、慌ててあちこちを探し回っていたのだ。
「シュバルツさん……! 良かった……!」
 シュバルツの姿を認めた孫尚香が、ポロポロと大粒の涙を零し始める。
「ちょ、ちょっと、尚香! 泣くのはまだ早いよ……!」
 慌ててそう言う甲斐姫。しかし、孫尚香の涙はすぐには止まらなかった。
「ご、ごめん……! でも……! 無事な姿を見たら、つい……!」
(……………!)
 彼女のその涙を見て、シュバルツもようやく気付いた。自分の勝手な行動が、どれだけの人を心配させてしまったのだろうと。

「尚香殿? 見つかりましたか?」

 そう言いながら、彼女たちの後に続いて劉備も茂みの中から出てくる。その後から、諸葛亮の姿も続いた。
 そして更に――――

「甲斐様……」

 たおやかな女性の声が響く。その正体に気付いた甲斐姫は、思わず素っ頓狂な声を上げていた。

「か、かぐちん!? どうしてここに!?」

 甲斐姫の言葉に、巫女かぐやはにっこりとほほ笑む。
「はい。太公望様のお力をお借りして……ここに参りました」
「フン―――全知全能の私の能力を以ってすれば、これくらいの事は、造作も無いことだ」
 少し傲岸な物言いをする白髪の青年の横で、左慈が頭を下げる。彼は『事の顛末を見届けたい』と、太公望に強く願い出て、その供を許されていたのだった。元はと言えば自分の『ミス』のせいでこの二人は引き離され――――今に至っているのだから。


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