農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 189 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/26 15:46   >>

驚いた ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

「素戔鳴様……」

「かぐや……!」

 素戔鳴に名を呼ばれたかぐやは、丁寧に頭を下げる。どうやら二人は、知り合いの様であった。
「かぐや……! 汝ともあろう者が、何故このような者を守ろうとするのか!?」
 素戔鳴の問いに、かぐやは穏やかに答える。
「総ては……『友人』のためにございます。素戔鳴様」
「友人だと?」
 鋭く問い返してくる素戔鳴に、しかしかぐやは怯まなかった。
「はい……。私は此度の戦いを通して、初めて『友人』と呼べる方達を得ました」
 穏やかに、しかし、きっぱりと答える。
「その方々の願いを、私は叶えたいのです」

「その者たちの願いが――――あのような『魔物』を守りたい、ということでもか!?」

 素戔鳴の叫びに、かぐやたちははっとシュバルツの方に振り返る。
 シュバルツはただ、静かにそこに佇んでいた。穏やかだが、少し憂いを含んだ眼差しでこちらを見つめている。
「……………」
 太公望やかぐやがじっと検分するようにシュバルツを見つめても、彼は瞳を逸らさなかった。自分が『魔』であることを隠さない。認めているのだと言う彼の姿勢が、見て取れるようであった。

「……なるほど。確かに『魔』だな」

 太公望が手の中で打神鞭を弄びながら、ポツリと呟く。
「だが、そんなに気を回し過ぎるほどの物でもあるまい。この者が持つ『邪気』など、微々たるものだぞ?」
「私もそう思います。素戔鳴様」
 太公望の言葉を受けるように、かぐやも続いた。
「この方は確かに、人間ではありませんが、かように邪悪な気配を感じる者でもありません。この方の気配は、寧ろ清々しく澄み切っていると――――」

「だが、この者の持つ『邪気』が封を破られ表に出れば――――どれほど人のこの世に害を為すか――――分からぬ汝らではあるまい!? それでも、それを放置しろと言うのか!?」

 素戔鳴の叫びに、しかし太公望はめんどくさそうに頭をかく。
「考えすぎだ! すぐにどうこうなることもあるまい。それに素戔鳴――――お前は少し、人の子を見くびり過ぎだ!」
「何?」
 ジロリ、と睨んでくる素戔鳴に、しかし太公望も負けてはいない。傲岸な眼差しで見つめ返す。
「人の子は確かに弱いかもしれぬが、強いぞ? それこそ、こちらが想像している以上にな……」
「そうです、素戔鳴様」
 かぐやも、懸命に言葉を続ける。
「人の子の力は、確かにか弱き物ではございますが、時に、こちらが驚くほどの力を発揮する事がございます。私もこの戦いを通じて、何度もその様な経験をさせていただきました。人の子たちは、確かに――――不可能を可能にする力を持ち得るのだと」
「しかし……!」
 まだ納得しかねるような素戔鳴に、太公望はフフフと笑った。
「見た所お前は戦いに負けているようだが………お前を破った『龍の忍者』も――――『人の子』ではないのか?」

「――――!」

 その言葉に虚をつかれたかのように、素戔鳴はハヤブサの方を振り返る。すると、酷く冷たい眼差しでこちらを見下ろしている、龍の忍者と視線が合った。
 実際ハヤブサは、ブチ切れる寸前であった。
 先程から黙って聞いていれば、素戔鳴はシュバルツを傷つける言葉しか吐いていない。本当ならば今すぐにでも――――黙らせてやりたいところだ。
 今それをしないのは、素戔鳴に対して懸命に説得を続けている太公望やかぐやの顔を立てているからであった。それが無ければ、ハヤブサはとっくに素戔鳴を斬り捨てていただろう。

「素戔鳴殿」

 それまで後ろで黙って話を聞いていた劉備が、前に進み出て来た。
「素戔鳴殿……。確かに我らの力は、貴殿にとっては取るに足らぬものかもしれぬ……。だが、少しでもいい。我らの力を、認めていただく訳には参りませぬか?」
「…………!」
「我らが力を合わせれば、どのような困難も乗り越えられる――――私は、そう信じているのです」
「むむっ」
 劉備の言葉に、素戔鳴は少し難しい顔をする。確かに、自分は『人の子』たちと戦って負けた。だから太公望の言葉も劉備の言葉も、理解できない事ではなかった。
 しかし――――

「……………」

 素戔鳴はシュバルツと、その周りの人の子とを見比べる。確かに、ぱっと見人の子のそれと変わらず、寧ろ清々しい『気』をその身から漂わせているシュバルツ。だが、その奥底に潜む禍々しい程の邪悪な気配が、素戔鳴の『軍神』としての部分を刺激する。
 この『魔』が封を破られ、世に放たれた時――――果たして人の子は、それに対抗し得るのか?
 人のこの世界は、秩序は、どうなってしまうのだろうか。
 それを考えると――――
 とても看過など、出来なかった。
 だから叫んだ。

「駄目だ!!」

「素戔鳴様……!」
 かぐやが哀しそうな声を上げるが、素戔鳴は構わず続けた。
 やはりその『魔』は滅すべき者――――彼はそう叫ぼうとした。だが、それは叶わなかった。何故なら――――背後からいきなり龍の忍者に、思いっきり殴り飛ばされてしまったからだ。
「ぐうっ!!」
 地面に叩きつけられた素戔鳴の上に、龍の忍者が押さえつけるように乗って来る。起きあがろうとする素戔鳴の喉元に向かって、龍剣をつきつけた。

「お前、もう死ぬか?」

 凄まじい殺気を、龍剣に伝える。事実、龍剣も喰らいたがっていた。『素戔鳴』と言う神の御霊を。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
驚いた
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 189 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる