農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 191 無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/27 14:50   >>

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「引き上げるぞ!!」

 素戔鳴は、そう号令を発する。生き残った兵士たちも、素戔鳴の号令に諾々と従った。
(終わったのか……?)
 素戔鳴の後ろ姿を見送りながら、ハヤブサは龍剣を構え続ける。素戔鳴の姿が完全に見えなくなるまで――――龍の忍者はそれをし続けた。
(つ………!)
 構えを解いた瞬間、龍剣を握っていた手にしびれを感じる。流石は素戔鳴―――――鋭い一撃だった。

「……終わったのかな……?」

 甲斐姫が、信じられない、と、言った感じで茫然と呟く。事実、まだ夢見心地だった。村人たちも妖魔たちも、シュバルツも皆無事で――――こうしてここに立っていられるだなんて。
「そう……みたいね……」
 孫尚香も同じ想いの様で、茫然と言葉を紡ぐ。その横で巫女かぐやも「甲斐様……」と、微笑みかけて来た。
(やれやれ。やっと終わったか……)
 太公望もそう感じて、小さく一つ息を吐く。それにしても今回の案件は、少々手惑いはしたが、『素戔鳴に人の子の力を認めさせる』という点においては、収穫があったと言って良いだろう。これであの石頭も、少しは考えを改めてくれれば―――――と、太公望は思った。
 関羽も無言で構えを解く。そこに張飛が「兄貴!」と、手を上げながら寄ってきた。
(やれやれ……小生は結局、何の役にも立てなんだな……)
 左慈もそう感じて、苦笑しながらため息を吐く。二人には本当に申し訳ない事をしてしまったが、『悲劇』からあの青年を取り戻せたのなら、心の底から良かったと感じる。

「ハヤブサ!」

 シュバルツが今度こそ、関羽の影から飛び出して、こちらに走り寄って来る。

「シュバルツ……!」

 ハヤブサは驚くほど柔らかい笑みを浮かべて、それを迎えた。

 良かった。
 今度こそ『悲劇』を、終わらせる事が出来た―――――

 誰もがそう確信して

『油断』した

 その一瞬だった。

 音も無く飛来して来た、一本の 矢

 それがシュバルツの脇腹に、突き刺さって いた。

「え………?」

 茫然と見つめるハヤブサの目の前で、崩折れるシュバルツの 身体。
 矢が飛んできた方に振り返ると、瀕死の仙界軍の兵士が弓を構えていた。
 彼は最期の力を振り絞って――――矢を放っていたのだ。

「総ては……素戔鳴……様、の……御為に……!」

 それだけを言って、その兵士は息絶えた。

「シュバルツッ!!」


 ハヤブサは悲痛な声を上げながら、愛おしいヒトの傍に走り寄っていた。

「シュバルツ!! シュバルツ……! しっかりしろッ!!」
 ハヤブサは叫びながら、愛おしいヒトの脇腹から矢を引き抜く。すると、ハヤブサの腕の中で愛おしいヒトがふっと瞳を開けた。
「ハヤ……ブサ……」
「シュバルツ――――」
 懸命に見つめるハヤブサに、シュバルツは優しく微笑みかけた。
「済まないな……ハヤブサ……。確かに、全然……治せない、みたいだ……」
 そう言う愛おしいヒトの身体から、パリ……パリ……と、哀しい音が響いてくる。この音はシュバルツが『壊れて行く音』だと、ハヤブサは知っていた。もう二度と――――聞きたくないと、祈っていたのに――――!
「嘘でしょう!? ここまでやって――――!!」
 甲斐姫の悲鳴の様な声を聞きながら、太公望も呆然とするしかない。
(これが……! これが、『運命の悪意』か……!?)
 この作戦、誰にも何も落ち度など無かった。にも拘らず、理不尽にまた命を奪われようとしている青年。これが『運命の悪意』と言わずして――――何だというのだろう。

「どいてください!! ハヤブサ様!!」

 珍しい巫女かぐやの大声に、ハヤブサははっとシュバルツから手を離す。
「微力ながら、治癒の法を試してみます!」
 そう言うや巫女かぐやは、シュバルツの傍に座り玉串を構えながら祝詞を詠唱して行く。玉串に金色の光がポッと灯る。それをシュバルツの身体にそっと当てた。
「う………!」
 シュバルツが苦しそうに呻き、巫女かぐやの顔色も変わる。
「駄目だわ……! 治せない……! 何故――――!?」
 命に代えてもと思っているのに―――! と叫ぶかぐやに、シュバルツは優しく微笑みかけた。
「いい……。そんな事……するな……。その気持ちだけで……もう、充分だから………」
「――――ッ!」
 シュバルツの言葉を聞きながら、ハヤブサは天を仰ぐ。もしもシュバルツが『人間』であったなら――――かぐやの治癒の法も効いたであろうに。

 だがシュバルツは人間ではない。
『人間』ではないのだ。

「でも……! 駄目……! 駄目です……! 貴方は『生』を、望まれているのに――――!」
 悲痛な声を上げながら、それでも懸命に治癒の法を続けるかぐや。誰もが為す術も無く、ただ繰り返される『悲劇』を見守るしかない――――まさにそう思った、刹那。

 まず最初に諸葛亮が、『それ』に気付いた。

(おや……何でしょう? あれは……)
 シュバルツとかぐやの傍に――――うっすらと存在を感じる『何か』がそこにいる。
 これは正体を確認した方がいいかもしれない。そう感じた諸葛亮は、かぐやの傍に歩み寄ると隣に座り、印を結んで呪文を詠唱しだした。
(うん? あれは……!)
 その様子を見ていた左慈も、諸葛亮の目的に気づく。これは自分も手助けした方がいいと感じた左慈は、その場に座ると同じように印を結んで呪文を詠唱しだした。
 やがて、二人の祈祷に応えるかのように、1人の人物がふわり、とその姿を現す。
 その姿を認めた瞬間、ハヤブサは思わず大声で叫んでいた。

「キョウジ!!」


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