農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 171 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/08 00:30   >>

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「シュバルツ……」
「ハヤブサ……彼女が、急に――――」
 そう言いながら心配そうに甲斐姫の様子を伺っているシュバルツ。その様があまりにも可愛らしいものだから、ハヤブサの中で本当に何かが切れそうになってしまう。「シュバルツ!!」と叫んで抱きしめそうになるのを、彼は懸命に堪えなければならなかった。

 落ちつけ。
 落ちつくんだ、リュウ・ハヤブサ。
 まだ戦いは終わっていない。
 今は――――まだ、その時じゃないんだ。
 シュバルツを完全に、悲劇から取り戻せている訳ではないのだから。

 ハヤブサが必死に自分を落ち着かせている横で、甲斐姫の方にも孫尚香が近寄ってくる。
「ほら……甲斐……。大丈夫? ちゃんと立って!」
「ははは……尚香、大丈夫よ……」
 乾き切った笑いが、彼女の大丈夫じゃなさそうな加減を伝えてくる。孫尚香は苦笑すると、脱力し切った甲斐姫の腕を引っ張った。
「大丈夫か?」
 そんな二人にシュバルツが心配そうに声をかけてくる。
「あ……はい! 大丈夫です。すぐに立ち直ると思うんで………」
 孫尚香はシュバルツに返事をしながら、脱力し切った友人をずるずると引っ張って行く。
「ほらっ! しっかりしなさい! いい? 貴女には友人として忠告する事がたくさんあるんだからね?」
「そうなの………? あは……あははは………」
 そのまま二人は、シュバルツ達の前から去って行った。

「どうしたんだ? 彼女は……」

 甲斐姫が落ち込んだ原因が、全く分かっていないシュバルツの肩を、ハヤブサがポン、と叩く。
「『彼女』……そう、彼女は『女性』なんだ」
「ハヤブサ……」
「シュバルツ……。俺が言わんとしている事、分かるな?」

「えっ?」

「えっ?」

「………………」
 ハヤブサは思わず、目をしばたたかせながら、シュバルツをまじまじと見てしまう。
「いや、だから、彼女は女性だから――――」
「ああ。女性だな。あの娘を見て、『男だ』と、言う奴はいないだろう?」
「…………」
「どうした? 何か問題でもあるのか?」
「いや、だからその――――」
 そのまましばし、忍者二人の間に奇妙な沈黙が下りてくる。天然ボケなシュバルツの、きょとん、と見つめ返しているその眼差しが、あまりにも可愛らしいものだから、ハヤブサは思わず――――

「今!! 何をしようとした!?」

 ハヤブサの手がシュバルツの顎に触れた瞬間、シュバルツはハヤブサを殴り飛ばしていた。だが腐っても龍の忍者なだけに、彼はすぐに起き上がってくる。
「いててて……。何も、殴る事はないだろう!?」
「いいや! 今お前、絶対に何かやましい事をしようとしただろう!!」
「ご、誤解だ!! 俺はただ――――!」
「じゃあ、さっき私の顎を捉えて――――その後、何をするつもりだったんだ?」

「えっ?」

 きょとん、とするハヤブサを、シュバルツがじと〜っと睨み据えている。
「え、えっと………つまりだな……」
「……………」
「つまりお前が―――――」
「……………」
 言い訳をしようとするハヤブサに対して、降ってくるシュバルツの視線は冷たい。その冷たい眼差しを浴び続けたハヤブサは、何かをあきらめた様にフ……と、笑った。
「仕方がなかろう。お前があまりにも可愛らし」

 ドカッ!!

 再びシュバルツのきつい鉄拳制裁が、ハヤブサを襲うのだった。


「御二方とも、無事か?」
 忍者二人がそうやってじゃれ合っている所に関羽が声をかけてくる。
「関羽殿」
 関羽の姿を認めたシュバルツが、その姿勢を正した。ハヤブサもそれに合わせて身を起こし、関羽の方に向き直る。
「救援、心より感謝申し上げます。本当に助かりました」
 シュバルツはそう言って、丁寧に頭を下げる。
「いや……此方こそ、間に合って良かった……」
 関羽はそれに対して、柔らかい笑みを浮かべながら軽く会釈を返した。前の時間軸では傷だらけだった二人の姿。それを思うと、二人が傷を負うことも無くまっすぐ立っている姿を見るのは、関羽にとっては少し感慨深くもある。
「さあ、城に帰りましょう。きっと、殿もお待ちです」
 趙雲にそう声をかけられ、皆はそれに従うことにした。


 城に帰ると、広場で村の人たちと共に避難して来た妖魔たちが、丁度炊き出しのご飯を食べているところだった。
「あ、シュバルツさん!」
 劉備軍と共に帰ってきたシュバルツの姿を認めたケイタが、嬉しそうにシュバルツの傍に駆け寄ってくる。
「みんな、大丈夫だったか?」
 問うシュバルツに、ケイタは元気良く頷く。
「うん! みんな無事だよ! ちっとも怖くなかったよ!」
「お兄ちゃんが手を引っ張ってくれたもん!」
「兵隊さんたちも、みんな優しかったよ!」
 口々にそう言ってくる子供たちに、シュバルツも「そうか」と、優しい笑顔を向ける。とても平和な景色――――ハヤブサはそれを、少し離れた所から見守った。子供たちに優しい笑顔を向けるシュバルツを見るのが、彼はとても好きだった。
「シュバルツ殿! ハヤブサ殿!」
 劉備軍の中から二人の姿を見つけた村長と長老が、手を振りながら駆け寄ってくる。
「御二方とも無事でよかった……! 本当に、此度の事でどれだけ助けられたか……いくら礼を言っても足りないぐらいです。かたじけのうございました……!」
 そう言って村長が頭を下げようとするのを、シュバルツは慌てて止めた。
「どうか、御手をおあげください! 第一、私は何もしていません。総ての手配はハヤブサが――――」
「いや、俺だけの力じゃない。これは皆の力で、勝ち取った勝利だ」
 ハヤブサはそう言ってから、村長の方に視線を向ける。
「村長………村人の方に犠牲者は、出ていないのか?」

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