農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 172 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/09 14:32   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

「ええ。出ていません。全員無事に、逃げ切る事が出来ました」
「わしらの方も、多少怪我人が出たが、全員生きているぞ」
 そう言いながら妖魔の長もこちらに歩いてくる。その言葉を聞いたシュバルツはホッと胸を撫で下ろし、ハヤブサは小さくガッツポーズを作っていた。太公望はその言葉の通り、『全員』を救った事になる。本当に――――すごい事をやってくれた。

 だが、まだだ。
 まだすべてが終わった訳ではない。
 まだ最大の難関が――――一つ残っている。

「劉備様だ!」

 炊き出しをしていた兵士の間から上がる声に、皆がそちらに視線を向ける。すると、避難してきた村人たちに声をかけながら、確かに劉備その人が、こちらに向かって歩いて来ていた。その後ろからもう1人―――白羽扇を持ってついて来ている人物が見えた。

(うわ……! 諸葛亮殿だ………!)

 その姿を認めた瞬間、シュバルツの中で機械の駆動モーターの回転数が跳ね上がり、その瞳が憧れと尊敬故にきらきらと輝きだした。無理もない。シュバルツ――――というかキョウジは、「諸葛亮」という歴史上の人物をかなり尊敬していた。その人物に直に会えるとか、まして話をするなど、それこそ天にも昇らんばかりの心地になってしまうのだろう。
「……………!」
 当然シュバルツがそうやって舞い上がっている気配を、ハヤブサは敏感に感じ取ってしまう訳で。何となく『もやっ』とするハヤブサは、シュバルツの後ろにぴったりとくっつくと、ぼそりと小声で呟いた。

「………サインください、だなんて、叫び出すなよ?」

「………言わないよ。そんな事は」

 ハヤブサの多少揶揄を含んだ物言いに対して、シュバルツの声が意外にも少し沈み気味だった。
(ああ、そうか………)
 ハヤブサはシュバルツが沈んだ理由をすぐに理解した。つまり彼は、孔明に会った事をキョウジに話そうと思って――――それを、話す事がもう出来ない事を思い出してしまって、落ち込んでしまっているのだ。
(仕方がない奴だな……)
 ハヤブサはポリポリと頭をかく。
 そうやって孤独に震える姿を見てしまうと、こちらとしても抱きしめて、慰めてしまいたくなる。だけど、それは今すぐには不可能だから――――
 ハヤブサはシュバルツの肩にポン、と手を置くと、もう一度その耳に囁きかけた。
「淋しいのなら、キスしてやろう―――――でッ!!
 シュバルツに、いきなり足を思いっきり踏んづけられたが故に、ハヤブサから悲鳴が上がる。

「……礼を言うぞ、ハヤブサ。おかげで、冷静になれた」

「ど……どういたしまして……!」
 シュバルツの冷たい眼差しを浴びながら、涙目になってのたうちまわるハヤブサ。そうやってハヤブサが転げまわっている所に、劉備の方から「大丈夫なのか?」と、声をかけられた。
「劉備殿」
「劉備様!」
 劉備の方から声をかけられた格好になった村長と長老と妖魔の長は驚いて、一様に膝をついて頭を垂れる。シュバルツとハヤブサもそれに倣った。
「ああどうか、そのように畏まらずに――――御手をおあげください」
 穏やかな声に諭されて、村長たちが顔を上げると、劉備の笑顔がすぐそこにあった。彼も皆と同じように膝をついて、こちらを覗き込んでいたのだ。
「此度は大変だったな……。よく、我が城まで避難して来てくれた」
「そ、そんな……! 滅相もございません!!」
「わ、我々こそ、助けていただいて――――!!」
 劉備のそんな対応に、長老も、妖魔の長たちも却って畏まって恐縮しまくっている。
(ああ、なるほどな)
 ハヤブサはその光景を見て、1人苦笑しつつも納得していた。普通、一国一城の主という者は、雲の上の存在の筈だ。それが、こんな風に声をかけられてしまったら、かけられた方はすっかり舞い上がってしまって「この人は素晴らしい!」と、なってしまう。計算づくでやっているのか、それとも天然でやっているのかは分からないが、大した人心掌握術だ。
「住んでいた村が無事であれば良いのですが、もしそうでなかった場合、新しい村を開墾する事も含めて考えなければなりませんね……。これからの貴方がたの身の振り方なども」
 劉備の横で、軍師孔明が同じように膝をついて口を開く。主君に合わせているのだろう。
「あ、ありがとうございます!!」
 村長が、嬉しそうに頭を下げる。
「このままここで話すのも何ですから……少し、落ち着いた所で話しませんか? 貴方がたの方の話も聞きたいですし、これからの方針なども話し合いたいので」
「ああ、そうだな」
 孔明からの提案に、玄徳も頷いた。村長や長老たちも頷いて、立ち上がる。

「その話し合い――――俺も同行させてもらって良いか?」

 その時、それまで黙っていた龍の忍者が口を開いた。皆の注目が、一斉にハヤブサに集まる。
「そなたは?」
 問うてくる玄徳に、ハヤブサは名乗りを上げる事にした。
「俺の名はリュウ・ハヤブサ。そして、こちらにいるのはシュバルツ・ブルーダー。共に『忍者』を生業としている者だ」
 ハヤブサの言葉に、シュバルツは玄徳に向かって軽く頭を下げる。
「忍者………」
 考え込むような仕種をする玄徳に、孔明が補足説明を加えた。
「服部半蔵殿と一緒ですよ」
「おお、そうか……。家康殿の傍にいた――――」
「半蔵を知っているのか?」
 玄徳の口から出た意外な名前にハヤブサが驚くと、玄徳がにこやかに答えてくれた。
「ああ。先の遠呂智討伐の折りに、共に戦ったのだ。あの後家康殿は、この国作りも手伝ってくれてな」
(ああ、そうか………)
 確か、今の妖蛇討伐軍が結成されるより前に、人間たちと遠呂智は既に2度、戦っている。この時間軸も時代もバラバラなこの世界では、普通ではあり得ない人間同士のつながりが出来ていても、それは不思議ではなかった。
「このシュバルツ殿もハヤブサ殿も、我らのために非常に尽力してくださったのじゃ」
 長老の言葉に、玄徳も「なるほど」と頷く。
「そう言うことならば、貴方がたもぜひ――――話に加わってください」
 玄徳の言葉に、皆は素直に従った。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 172 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる