農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 173 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/10 22:50   >>

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「ここならば、落ち着いて話もできよう。狭い所だが、入ってくれ」
 玄徳が案内してくれたのは、炊き出しの広場のすぐ近くに設えられた幕舎の中だった。どうやらここが避難して来た者たちへの対応をする仮本部の様な物になっているらしかった。
「それにしても驚いたな………。妖魔と人間が、本当に手を取り合えているとは――――」
 席に着くなり、玄徳が一番にそう口を開く。それに対して妖魔の長と村の村長は、嬉しそうに互いの顔を見合わせた。
「『妖魔』と言ってもいろいろいる。何も、人間に敵対心を燃やす部族ばかりとは限らぬ」
 妖魔の長の言葉に村長も頷いた。
「んだ。この方たちと交流を持てて良かったと、わしらも思うておる。いろいろと農作業を手伝ってくれたし、わしらが知らない山菜や植物の事を、教えてくださった」
「じゃが……他の部族の妖魔たちは、わしらが人間と共生する事を選んだ事が、気に入らなかったようで――――」
 そう言って哀しそうに眼を伏せる妖魔の長に、玄徳は「そうか……」と、労(ねぎら)うように声をかけた。
「貴方がたがこれから先も交流を望むのならば、我等としても出来得る限り協力しよう。新しい村を作るにしても、貴方がたと妖魔たちが、それぞれ行き来できるようにして――――」

「………その『先』の話をするのは、少し待ってくれないか?」

 玄徳の言葉を遮る様に、龍の忍者が声を上げる。
「ハヤブサ?」
 シュバルツが驚いた様にハヤブサの方に振り向き、玄徳も怪訝そうに眉をひそめた。
「それは、何故だ?」

「実は、この戦いはまだ終わってはいない」

 玄徳の問いに、龍の忍者は明確な答えを返す。

「ここの村人たちや妖魔たちを襲撃しようとしている者が、まだ居るんだ」

「ええっ!?」
「本当だか!? それは……!」
「……………!」
 ハヤブサのその言葉に、幕舎の中にいた者全員が息を飲む。
「それを撃退するまでは、この戦いが真に終わったとは言えない。だから、村人たちの身の振り方を考えるにしても、次の敵を撃退してからにして欲しい」
「そ、そんな……!」
「敵は、百々目鬼だけではなかったのか?」
 長老たちの問いに、龍の忍者は頷く。
「残念ながら、そうだ」

「……その情報は、確かなのですか?」

 それまで黙っていた孔明が、ハヤブサをまっすぐ見つめながら口を開く。穏やかながらも鋭い眼光。その光の前にはいかなる嘘もごまかしも、通用しないだろう。
 未来で、自身が経験して来た事がらだから、この情報はこれ以上ないと言う程確かな物だ。だが、それを目の前の軍師孔明に、どのような言葉で以って説明すればいいと言うのだろう。
「…………」
 ハヤブサが説明する言葉に窮していると、そこに思わぬ助け船が入ってきた。

「その者の言っている事は、真実(ほんとう)ですぞ。軍師殿」

 そう言いながら身の丈9尺の流れる様な髯を湛えた大男が、幕舎の中に入ってくる。
「関羽殿!」
 入ってきた関羽に、というよりも、関羽の発した言葉に驚いて、シュバルツが声を上げる。関羽はそれに軽く頭を下げて答えると、玄徳の方に向き直った。
「兄者。こちらにおいででしたか」
 幕舎の中に入ってきた関羽の後に続いて、張飛、趙雲も入ってくる。
「関羽、張飛、趙雲、ご苦労だったな」
 玄徳のねぎらいの言葉に、張飛が手を上げて答える。
「おう! 俺としてはちょっと物足りないぐらいの戦いだったがな!」
「民たちも大分落ち着いています。今、仮の寝屋になる幕舎を増設中です。夜には、皆幕舎の中で休めるようになるでしょう」
「うむ」
 張飛たちの報告を聞き終わってから、玄徳は改めて関羽の先程の言葉の意を問うた。
「ところで関羽。先程のお前の言っていたことだが―――――それは、本当なのか?」
「そうです」
 玄徳の問いに、関羽は迷うことなく頷いた。そして、ハヤブサの方に振り返る。
「ハヤブサ。先の戦いでは、あの仁王然とした男がいなかったが――――やはり、あれは百々目鬼とはまた別の勢力なのか?」
「ああ、そうだ。あれは……仙界軍の将だ」
 ハヤブサは、関羽に答えながら心の中で強く感じていた。

 力を借りねばならぬ。
 素戔鳴と戦うために。
 シュバルツを悲劇から、取り戻すために。
 劉備軍の将たちの力を
 稀代の天才軍師の知略を
 立ち向かうために、借りねばならないのだ。

 今、俺の目の前にこれだけの将がそろっている意味を考えろ。
 将たちの後ろから、太公望が手を差し伸べている姿が見える。
 彼は、こちらに投げかけているのだ。
 生き延びたければ―――シュバルツを助けたければ、この手を取れと。

「その仙界軍の将が、村人たちと妖魔たちを討たんとしているんだ」

「…………!」
 ハヤブサのその言葉に、妖魔の長と村長が同時に息を飲み、シュバルツが小声で「何故……!」と、呟いていた。彼らからしてみれば、この情報は本当に寝耳に水で――――仙界軍の将に命を狙われる理由など、全く思い当たらないのだろう。
「何度も確認して申し訳ないが………それは、確かなのか?」
 玄徳の言葉に関羽が頷く。
「はい。兄者。細かな説明はここでは省かせていただくが、拙者とこのハヤブサは、確かに『見た』のです。その仙界軍の将の姿を。そして、彼の者が確かに、村人たちや妖魔たちを襲撃して来た所を――――」
「な…………!」
 関羽の言っている事が俄かに信じ難くて、シュバルツは思わず関羽の方をじっと見てしまう。何か、辻褄の合わない様な事を言われた気がしたからだ。それは、玄徳や孔明の方も同じなのだろう。何かを推し量る様に関羽の方をじっと見つめていた。
「……………」
 だが、当の関羽は全く動じる気配もなく、じっと玄徳の方を見つめ返していた。自分の言っている事に、絶対に嘘偽りはない――――それを、胸を張って証明したいのだろう。
 だから、ハヤブサもそれに倣い、同じように玄徳をまっすぐに見つめた。必要とあらば、己の首すらも差し出す覚悟を決めていた。

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