農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 174 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/12 17:38   >>

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 しばし、幕舎の中を奇妙な沈黙が覆う。
 先にそれを破ったのは軍師孔明の方であった。
「………何やら、込み入った事情がある様ですね……」
 彼は一つ小さく息を吐くと、玄徳の方に振り返った。
「殿、少し場所を変えましょう。ここではどのような目や耳があるか分かりませんので……」
「それもそうだな」
 孔明の提案に、皆は従うことにした。


 こうして話し合いの場所は、城内の一室へと移された。だがこの話し合いは、最早軍議の様相を呈している事に、誰もが気付いていた。
「それでは関羽」
 孫尚香や甲斐姫もその部屋に招かれ、皆がそろった所で、改めて玄徳が口を開いた。
「お前は、先程仁王然とした男が村人たちを襲撃したのを『見た』と、言ったな?」
「はい、兄者。確かに」
「どう言うことだ? ここの村人たちを襲ったのは百々目鬼軍のはず。それ以外に襲ってきた部隊など、居ない筈だが――――」
「恐れながら兄者。兄者の疑問はごもっとも。しかし拙者は見たのです。今とは別の時間軸で、村人たちを襲撃するためにやってきた、素戔鳴という武将を」
「……どう言うことだ?」
 関羽の言っている事がいまいち理解し切れないのか、まだ眉をひそめ続けている玄徳。関羽は、そんな主に、ストレートな言葉を選ぶことにした。
「兄者。今、兄者の目の前にいる拙者は、ここより少し後の時間軸である、未来から来た存在です」
「!?」
「拙者だけではない……。ここにいるハヤブサも、そして、そこにいる尚香殿も甲斐殿も―――皆、拙者と同じように、未来から時を渡ってきた存在なのです」
「何と………!」
 驚き、周りを見回す玄徳に、孫尚香が声をかけて来た。
「そうです、玄徳様……。私たちは、未来から来た存在なんです」
「かぐち……ええと、かぐやという巫女の能力で、それが可能になりました!」

「かぐや……というのは、仙女ですか?」

 孔明の質問に、ハヤブサが頷く。
「そうだ。彼女は神仙界からこの世界に入ってきた巫女だ。彼女は、人一人の時間を、巻き戻すことができる能力を持っている」
「時を、巻き戻す……」
 少し、難しい顔をして白扇を見つめる孔明に向かって、ハヤブサは更に説明を重ねた。
「神仙界の者たちが、この世界には彼女の能力が必要だと判断したが故に、彼女はここに送られてきたそうだ」

「―――――!」

 ハヤブサのこの言葉に、孔明の切れ長の瞳が驚嘆故に見開かれる。流石は天才軍師。今の一言で、いろいろと察してくれたようだ。
「『時を遡る能力が必要』ということは………我々の未来は、暗雲に閉ざされていた――――と、言うことですか?」
「そうだ。近い将来、この世界に出現する『妖蛇』が、この世界を破滅へと追い込んで行く」
「それに対抗するために……時間を遡れる巫女の能力が必要であった……。そう言うことですか?」
 孔明の言葉に、ハヤブサは「そうだ」と頷く。
「兄者。その妖蛇に対抗するために、人間達は勢力を越えて、討伐軍を結成しつつある。このハヤブサも、尚香殿も甲斐殿も、皆、討伐軍の一員なのだ」
「………なるほど、それで、ようやく納得がいきました」
 関羽の言葉を受けて、孔明が顔を上げた。
「何故、尚香殿がいろいろと説明のつかないタイミングで、ここに現れたのかも………関羽殿が素戔鳴という、我々が邂逅していない筈の武将の名を知っているのも―――――皆、貴方がたが時を越え、未来から来た存在であるからだ、と、言うことですね?」
「そうだ。兄者や軍師殿にとって今、普通に流れているこの時間も、拙者にとっては過去――――つまり、一度経験した時間軸、という事でござる」
「俺たちはこの村の村人や妖魔たちを、何としても救いたい。前の時間軸では全員を救うことができなかった。だが今は――――こうして全員無事に城に逃げ込めた。今度こそ、皆を救うチャンスなんだ!」
「……………!」
 ハヤブサの言葉に、シュバルツも村長も妖魔の長も、それぞれに息を飲む。
「ど、どう言うことですか? ハヤブサ殿……」
「我々は前の時間軸では……死んでいた、ということですか?」
「ああ……。『全員』を助けるために、俺は既に2度、この時間軸をやり直している」
 一度目は全滅。二度目は救えた人数は3割に満たなかった。
「ハヤブサ……。その話の流れで行くなら、まさか、私も………?」
 信じられない、と、言った表情で問うてくるシュバルツに、ハヤブサは頷いた。
「そうだ。お前は時を越えていないだろう。それで総てを察してくれ」
「な…………!」
 絶句するシュバルツを、ハヤブサは黙って見つめる。
「その戦いで……私は、『死んだ』のか……?」
「そうだ」
「…………!」
 シュバルツはもう一度小声で「信じられない」と、呟く。無理も無い、と、ハヤブサは思った。『キョウジの死』という制約が外れた今、シュバルツは完全に『不死』の存在である筈なのだ。それが、覆されてしまったのだから。

「……なるほど、分かりました」

 孔明の、静かな声が響く。
「わが君」
 孔明の呼び掛けに、玄徳も頷いた。
「孔明。我々が救いの手を差し伸べるのに、躊躇う理由はない。出陣を、許可する」
「ありがとうございます」
 孔明は一礼をすると、改めて皆の方に振り返った。
「では関羽殿、そしてハヤブサ殿……。皆を救うために、我々は『素戔鳴』という武将を倒す必要があるのですね?」
「そうだ。素戔鳴もまた、ここの村人たちと妖魔たちを狙っている。村人たちがここに逃げ込んだと知れば、素戔鳴は間違いなくこの城に兵を向けてくるだろう」
「何故、素戔鳴がこの者たちを狙うのか……その『理由』は、分かりますか?」
 ハヤブサの言葉に、孔明が問い返してくる。ハヤブサはシュバルツの方をちらっと見た後、その問いに答えを返した。
「理由は簡単だ。ここの者たちは、『素戔鳴』という神の怒りを買ったんだ」
「何ですと!?」
「そんな、馬鹿な!」
 全く覚えがないのだろう。村長と妖魔の長が、同時に声を上げる。それはシュバルツも同様だったようだ。
「何故だ……?」
 問うてくるシュバルツに、ハヤブサは少し苦い眼差しを向ける。出来れば――――ここから先の話は、シュバルツには聞かせたくなかった。だが、この状況でそう言う訳にもいかないから、ハヤブサはあきらめたように目を閉じた。

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