農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 175 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/13 15:44   >>

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「素戔鳴は仙界軍の将だ。だがその思考は、少し偏っている」
「と、いうと?」
 シュバルツの問いにハヤブサは淡々と答える。
「人間は、取るに足らぬもの。妖魔は、徹底的に殲滅すべきものだと思っているんだ」
「―――――!」
「何だとォ!?」
 ハヤブサの言葉に、その場にいた者は皆息を飲み、張飛はいきり立ちだした。
「俺の意見じゃない。素戔鳴の物だ」
 噛みつかんばかりに睨みつけてくる張飛に対して、ハヤブサは少し鬱陶しそうに返す。関羽に「張飛、止めんか!」と、たしなめられて、張飛はブツブツ言いながらも後ろに下がった。
「そしてシュバルツ。あの村には一本、妙に生りの良い桃がある、と、言っただろう?」
「ああ」
 シュバルツが頷くと、横から村長や妖魔の長も話に加わって来た。
「確かにあるな……。一本、とてもよく生る桃の木があった」
「あの桃の木の実は、おいしかったなぁ」
「その木になる桃は『仙桃』と言って、本来ならば、神仙界にしか生えぬ筈の物だ……。それが、この世界が作られる時のごたごたで、一本だけ村に紛れ込んでいたのだとしたら」
「…………!」
「その仙桃の持ち主が、素戔鳴であったとしたならば」
「あ…………!」
 この説明だけで、シュバルツはいろいろと事情を察したのだろう。彼の顔色が、見る見るうちに、蒼白な物になって行く。
「シュバルツ殿? どうされた?」
 対してまだ事情を飲み込めていないのであろう村長と妖魔の長が、心配そうにシュバルツの顔を覗き込んできた。
「あ……いや、大丈夫だ」
 気を使われていると察したシュバルツが、懸命にその面に笑みを浮かべている。だが、蒼白な顔色はなかなか元には戻らなかった。

「なるほど、事情はだいたい分かりました」

 そこで、それまで黙って話を聞いていた孔明が口を開いた。
「村長殿と妖魔の長殿は、とりあえず皆の所に戻り、人心を落ちつけてあげてください。この戦いを終わらせてから、今後の方針を改めて話し合いましょう。こちらの縻竺(びじく)と関平を、貴方がたにお付けします。何か不具合や、足りない物があれば、遠慮なくお申し付けください」
 孔明の言葉に従って、関羽の息子である関平と、文官一人が前に出て、軽く頭を下げる。
「や、やはり……戦いは、避けられぬのじゃろうか?」
「もしや、我らのせいで――――」

「大丈夫ですよ」

 心配そうに聞いてくる長たちに、孔明はにっこり笑顔を見せて答えた。
「戦いに関しては、貴方がたは何も心配する事はありません。とにかく今宵はゆっくり体を休めてください。もしかしたら、戦勝の宴で少し周りが騒がしくなるかもしれませんが――――」
「へっ?」
 この孔明の物言いに、さすがに長たちもあんぐりと口を開けるしか無かった。まるで戦う前から100%こちらが勝つことが決まっている様な物言い。普通は、あり得ない。
「うちの軍師殿がこう言っているんだ。絶対、大丈夫だからな!」
 張飛が笑顔で声をかけてくれれば、関平も苦笑しながら長達に近寄ってきた。
「さあ、行きましょうか」
 朴訥な若者の案内に従って、長達はキツネにつままれたような顔をしながら部屋から出て行った。

「シュバルツ。お前は出て行かないのか?」

 長達が出て行った後、ハヤブサはシュバルツにそう声をかける。しかしシュバルツから「えっ? 何故だ?」と、当然のごとく疑問形で返された。ハヤブサは口の中で小さく「チッ!」と、舌打ちをする。彼としては出来れば、シュバルツは戦いからは外れて欲しいと願っていた。

「では、改めて軍議を再開させましょう」

 長達が出て行ったのを見送ってから、孔明は改めて口を開いた。
「まず……ハヤブサ殿」
「何だ?」
「貴方は『未来』から来たと言った……。と、言うことは、素戔鳴がどう動いてくるのか、ある程度は読める、ということですね?」
「ああ」
 ハヤブサが頷くのを確認してから、孔明は質問を続けた。
「では……素戔鳴の襲撃がいつあるのか、分かりますか?」
「民達と共にこの城に逃げ込めたのは今回が初めてだ……。だから、この城に何時素戔鳴軍が押し寄せてくるかは分からん。だが、あの村にいつ襲撃に来るかは分かっている」
「それは……何時ですか?」

「今夜」

「……………!」
 ハヤブサの言葉に、皆が息をのむ。
「村の皆が寝静まった夜半過ぎに、素戔鳴軍は襲ってきた。前の時間軸では、それが百々目鬼軍の襲撃と重なってしまったがために、大半の村人たちが死んでしまったんだ……」
 そう言いながらハヤブサは、拳を握りしめていた。
 前の時間軸も、その前の時間軸も――――百々目鬼軍と素戔鳴軍に同時に襲われたこの村は、敵も味方も分からない状態になって、大混乱に陥った。
 この時間軸で、百々目鬼と素戔鳴の襲撃が別々な物になってくれて本当に良かったとハヤブサは思う。もしも同時に襲われていたら、素戔鳴軍に粉砕された百々目鬼軍の妖魔たちが、こちらに助けを求めて来るが故に、戦場はまた混乱状態になっていただろう。シュバルツみたいにお人好しな奴が、命乞いをしてくる妖魔たちを放っておく筈がないからだ。皆を助けようとして――――余計な傷を負ってしまうか、最悪『死』にまで追い込まれるに決まっている。
「なるほど」
 白扇を揺らめかせながら、天才軍師の質問はなおも続く。
「では、ハヤブサ殿……。『素戔鳴』という武将の人物像を、分かる範囲で教えてください」
 その言葉にハヤブサは軽く頷くと、腕を組んで答え始めた。
「素戔鳴は、仙界軍の将だ。そして、その『武』は神懸かって強い」
「『強い』とは……どのくらいだ?」
 「強い」という単語に反応して、張飛が前のめりの姿勢になって聞いてくる。
「お前たちに分かりやすく伏犠の言葉で例えて言うなら……こちらの世界で言うところの『呂布』に匹敵するらしい。……俺は直接『呂布』という武将とは戦ったことはないから、その例えがふさわしいかどうかも分からんがな」
「呂布……!」
 その言葉に、武将たちは皆息をのむ。だが、関羽と張飛と趙雲の瞳には、怖じ気るどころか挑戦的な光が宿っているのを、ハヤブサは見逃さなかった。流石は五虎将。皆がそれぞれ己の武に、かなりの自信を持っている様が見て取れた。

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