農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 207 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/10 00:30   >>

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「その話は、時間がある時にでもゆっくりさせてもらいます。ちょっと、いろいろと複雑な事情があるので……」
「そうか? ……まあ、無理に話したくない事ならば、吾も敢えて聞きはせぬが……」
 そう言う屁舞留に、キョウジもまた、笑みを返す。
「しかしキョウジ……あの状況から、どうやってシュバルツとやらを村に飛び込ませるのだ?」
「話は簡単です。あのままだとシュバルツは、結界の中の二人を守るために、おそらくあの手を離します」
「何っ!?」
 驚き、息を飲む屁舞留に、キョウジは穏やかな眼差しを返した。
「時空の乱流の中にその身を放り出すなど、神仙界の者ですらやらぬ事ぞ……!? それを、あの者はやると言うのか!?」
「――――やります。シュバルツは、そう言う人です」
「…………!」
 言葉を失う屁舞留に、キョウジは微笑みかけた。
「さあ、あまり時間が無い。シュバルツの身体が流れている方向からして、手を離した後、おそらくこちらに向かって流れてきます。それを捕まえるか方向転換させるかして、貴方の村に彼の身体を放り込む」
「う、うむ」
「出来ますか?」
「旨く出来るかどうか分からぬが――――出来るだけの事は、やってみよう」
 そう言いながら、屁舞留はその手から蔓性の植物を編み出すように生やしている。それでシュバルツを捕まえるつもりなのだろう。

「来る!! 構えて!!」

 キョウジの言葉に弾かれるように、屁舞留は蔓性の植物をネットの様に広げ、結界より外に出した。
「キョウジ! 吾の身体を押さえておいてくれよ!!」
 結界の外にネットを出している屁舞留から、悲鳴の様な声が上がった。それだけ時空の乱流から受ける抵抗は、凄まじい物があるのだろう。それにキョウジも「はい!」と答えて屁舞留の身体を押さえる。しかし、時空の乱流に引きずられ、ともすれば二人の身体は結界の外に引っ張り出されそうになった。
 そんな中、ハヤブサたちから手を離したシュバルツが、猛スピードでこちらに向かって流れてくる。それを、屁舞留の張ったネットが、バシン! と、音を立てて受け止めていた。

「屁舞留!!」

「ク……ッ!! こ、この……ッ!!」

 ズズ、と、引きずられる屁舞留の身体。屁舞留は最初、シュバルツを捕まえた後、一度結界の中に引き込もうと思った。だが何故か、結界の中に引き込もうとする動きを拒否される様な抵抗を感じた。それが凄まじ過ぎて、屁舞留は結局シュバルツを結界に引き込む事を、断念せざるを得なくなる。
 こうなればと、シュバルツの身体をただ村に叩きこむ事だけに専念する事にした。

「こ、この……! これで……どうだあああああっ!!

 何とかネットを村の方向に転換させて、シュバルツの身体を強引にそこから叩き出した。それと同時に屁舞留の作り上げた蔓のネットがバシン! と、音を立てて砕け散る。
「うあっ!」
「屁舞留!!」
 弾き飛ばされて倒れそうになった屁舞留を、キョウジが支えた。だが反動が強すぎて、二人揃って尻餅をついてしまう。
「屁舞留! 大丈夫か!?」
「あ、ああ……。何とか、な……」
 屁舞留はそう呟きながら、ゆるゆると身を起こす。
「それよりもキョウジ………」
「何だ? 屁舞留」
「あ奴は……無事に、村に着いたか?」
「――――!」
 その言葉にキョウジが村の方を覗き込むと、丁度シュバルツが村に落下している最中だった。

「うわ……ッ! ちょっ……! 退いてくれええええええ!!」

 落下地点に人の姿を認めたシュバルツが、悲鳴のような叫び声を上げる。それに気がついた村人たちも、慌ててそこから蜘蛛の子を散らすように逃げて行っていた。

「……無事、着いたみたいですよ?」
 キョウジの言葉に、屁舞留もほっとしたような笑みを浮かべる。
「そうか……。いささか荒っぽい手段を取ったので、どうかと思うておったが、大丈夫だったようじゃな……。良かった……」
 それから屁舞留も村の方を覗き込んで、何故かにやにやと笑い出した。
「おっ、丁度村は『儀式』の最中であったようじゃな……。キョウジ、見ておれ。中々に面白い物が見れるぞ?」
「儀式ですか?」
 きょとん、とするキョウジに屁舞留はくすくすと笑いながら頷く。
「そうじゃ。毎年桃の花の季節に、あの村の者たちは、吾に今年1年の豊作を祈願する儀式を行うのだが………そのしきたりがなかなか面白くての。吾も気に入っておるのじゃ」
「儀式の、しきたり………と、言うと?」
「別に、血なまぐさい物ではないぞ? 吾は、平和主義者じゃからのう」
 いささか嫌な予感を感じながらも問い返すキョウジに、屁舞留は、実に楽しそうに答えてくれた。
「実はのう……。儀式の最中に、一番初めに祭壇の上を通った『生き物』を、今年の『吾の代理の者』として崇めると言うしきたりがあるのじゃが――――」
「えっ?」
「ああ、案の定、今年の『吾の代理』は、あのシュバルツとやらに決定したようじゃ」
「えっ?」
 茫然と見守るキョウジの目の前で、シュバルツが皆に「神様!」と、崇められだしている。それをシュバルツが必死に恐縮したり遠慮したり、逃げだそうとしたりしているのだが、村人たちに強引に押しとどめられていた。
「まあ、実際あの村にあの者を送り込んだのは吾の様なものだし、正真正銘『吾の代理』と言う事で間違いはないな。うん、何の問題もないじゃろう!」
「え〜〜〜っと…………」
 うんうん、と、1人納得したように頷いている屁舞留の横で、キョウジが顔をひきつらせながら頭をかいている。
「屁舞留……あの……」
「何じゃ? キョウジ」
「ちょっと確認させて欲しいんだけど……『貴方の代理』と言う事は、その……シュバルツはあの村で――――」
「うむ。『吾の代理』であるから、『神』として崇められる事になるじゃろうな」
「…………!」
 ズバッと屁舞留に言い返されて、キョウジは言葉を失ってしまう。
「それにしても、『言葉』をしゃべる者が吾の代理になるのは初めてじゃ。今までは、虫や蛙と言った、ささやかな者たちばかりであったからのう!」
 そう言って、からからと笑う屁舞留の横で、キョウジは頭を抱えてしまっていた。
(あちゃ〜! どうしよう……! 『村に放り込む』と提案したのは確かに私だけれども、こんな大事になってしまうなんて――――)

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