農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 208 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/11 00:27   >>

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 どうしよう……。こんな事シュバルツにばれたら、絶対に恨まれるか怒られるかする――――と、ここまでキョウジの回想が進んだ所で、目の前に居るリアルタイムのシュバルツから「ほう!」と、声が上がった。嫌な予感しかしないキョウジが目を開けると、目の前のシュバルツが、その面にひきつり笑いを浮かべている。


「そうか……。私があの村に飛び込んだのは、裏にそう言うからくりがあったのか……」

(あ、あれ? やばい……! これは確実に、最低1時間以上の説教コースが用意されていそうな気がする……!)
「キョウジ―――――」
「あ〜はははは! シュバルツ! お話は後で聞くから、今は続きを見ようよ。続きを〜☆」
「……………!」
 明るく笑って切り返してくるキョウジに、シュバルツもとりあえず黙ってくれた。しかし、自分に対して言いたい事が大量に心の中で浮かんでいるのか、そのこめかみに怒筋が浮かび、彼の背負っているオーラが黒く淀んで行っているのが分かる。
(あはははは……。いやだなぁ、書きかけの論文の事もあるし、何だかだんだん、生き還りたくなくなってきた……)
 などと阿呆な事を考えるキョウジなのであったが、その回想はノンストップで続いて行く。


「で、でも……! 屁舞留―――!」
「ん? 何じゃ? キョウジ……」
 シュバルツが自分の『代理の者』となっても特段気にもせず、のんきに構えている屁舞留に、キョウジは少し心配になってしまう。
「シュバルツをあのまま『神』として村人たちに拝ませておいていいのか? 下手をしたらあそこの人たちは、シュバルツの言う事なら何でも聞いちゃうって事になるだろう?」
「おお、そう言えば……そう言う事になるな」
「だったら、この状態は危険すぎないか!? シュバルツがもしも、とんでもなく極悪人だったら――――!」

「何を言っておるのじゃ? キョウジ。あの者が極悪人な訳無かろう」

「えっ?」

 ずばりと屁舞留に真顔で切りかえされて、キョウジは瞬間、頭が真っ白になってしまう。
「い、いや……だって――――シュバルツがどう言うヒトか、貴方はまだよく知らな――――」
「他人のために、いとも簡単に自分を犠牲にする者なのだろう?」

「えっ?」

「お主、吾にそう言ったではないか。時空の道で、結界の中の二人を守るために、自分を犠牲にすると――――」

「……………!」

「そう言う人間を、お主の尺度では『極悪人』と言うのか?」

「え、えっと……それは、その………」
 キョウジは返す言葉に困窮してしまう。そんなキョウジを暫くじっと見つめていた屁舞留であったが、やがてポツリと口を開いた。
「しかし、あのシュバルツと言う者………少し変わっておるな……」
「えっ?」
「『中身』が、普通ではない……。人間ではないのだな?」
「―――――!」
 屁舞留の言葉に、キョウジは表情を硬くする。
「それに、あの魂の『波動』……あれはキョウジ、完全にお主の物だぞ? これは一体――――」
 ここまで言葉を紡いでいた屁舞留が、ようやくキョウジのその硬い表情に気づく。
「……済まぬ。吾は、出過ぎた事を言ってしまったか?」
 おろおろとしながら謝って来る屁舞留に、キョウジは少し哀しげな笑みを浮かべて首を振った。
「いえ……。ただ、見事な慧眼だと思って……」
「……………!」
 思わぬキョウジの褒め言葉に、屁舞留は思わず顔を赤らめながらそっぽを向く。
「わ、吾とて一応神仙の端くれの者だ! この程度の事は、見るだけの能力を持っておるぞ!」
 そう言いながら屁舞留はキョウジの方に、ちらりと視線を走らせる。キョウジは微笑んでいたが、その瞳には相変わらず哀しげな色を湛えたままだ。

「……キョウジよ。事情を聞いても良いか?」

 だから思わず屁舞留は、そう口走っていた。

「吾で良ければ、話を聞くぞ?」

「……………」
 その言葉にしばらく押し黙っていたキョウジであったが、やがて、何かを吹っ切ったかのように、フッと笑みを浮かべた。
「そうですね……。時間もある事ですし、聞いてもらいましょうか……。馬鹿な男の懺悔を――――」
 こうしてキョウジは話し始めた。ただ淡々と、事実だけを、その唇は紡いでいく。DG細胞と、デビルガンダムと――――シュバルツが誕生する話を。そして、そこに起きた『悲劇』を。

「ううむ………」

 話を聞き終わった屁舞留が、唸り声を上げている。
「……まるで哀しい神話かお伽噺を聞いていたようじゃ……。吾の理解の範疇を越えるところも多々あるが――――」
 やがて屁舞留は、組んでいた腕を解き、その膝をポン、と叩いた。
「じゃが、シュバルツとやらの正体は、だいたい分かったぞ? あ奴は機械(からくり)人形の様な物で――――キョウジ、お主の『影』と言っても、差し支えのない物なのだな?」
「ええ、そうです……。私は、『シュバルツ・ブルーダー』と言う人の死体と、DG細胞を使って――――自分の全人格を、シュバルツに移し込みました……」
 そう言ってキョウジは、拳を握り込む。
 本当に――――シュバルツを誕生させる過程こそが『悲劇』 そして、紛う事無き自分の『罪』の証なのだ、と、キョウジは感じていた。だからそこから、自分は目を逸らしたり、誤魔化そうとしたりしてはいけないのだ。
 まして、今話した相手である屁舞留は『神』だ。ならば――――自分の『罪』を裁かれたって、文句は言えない。そう思った。
「………………」
 だが屁舞留は、しばらく考え込むような仕種をした後に、その面に『にかっ』と笑みを浮かべた。
「うん――――。ならば、シュバルツが『吾の代理の者』を務めても、本当に、何の問題もないな!」

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