農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 209 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/11 20:45   >>

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「えっ?」
 きょとん、とするキョウジをよそに、屁舞留はうんうん、と独り頷いていた。
「なるほど……あ奴に触れた時に感じた違和感は、あ奴が人間ではなかったからだな……。この結界は、神仙の者と、人間以外は拒む仕様になっておる故――――」
「……と、言うと、やはりシュバルツは『魔』の類になるのか?」
 キョウジの問いに屁舞留は頷く。
「分類せよと言われたら、そうなるのであろうな……。尤も、あ奴から感じる『魔』の気配は微々たるものだが、その身体を構成している物が『違う』という点が、やはり大きく作用してしまう様じゃな……」
 屁舞留の言葉に「なるほど……」と、しばらく考え込むようにしていたキョウジであるが、やがて、はっと何かに気が付いた様に顔を上げた。
「ええと、屁舞留?」
「何じゃ? キョウジ……」
「貴方の代理の者が『魔』の類の者でいいのか? ほらやっぱり、何かとまずいんじゃ……!」
「別に問題なかろう。あの者がお主の『影』というのなら、人格的にも問題なかろうし、ますます吾も安心と言うものじゃ」
「いや、だから」
「ん? 何じゃ?」
「そんな簡単に、私を信用していいのか? ほら、私は『悪人』かもしれないし……!」

「は? 何を言っておるのじゃ? キョウジ。 寝言は寝て言えよ?」

「……………!」
 またも屁舞留にズバッと切りかえされて、キョウジは言うべき言葉を失ってしまう。
「お主こそ、あまり吾を見くびるな、キョウジ。お主が悪人かそうでないかぐらい、この屁舞留にも見分けはつくぞ?」
「し、しかし……」
「だいたい、お主が悪人であるならば、そんな風に見ず知らずの他人の死を、そこまで丁寧に悼んだりはせぬし、吾と吾の村の事も、嘲笑う事はあっても、懸命に何とかとしようとしたりはせぬではあろう? こんな事、どちらかと言えば面倒事だ。避けて通ったり、関わり合いになろうとせぬのが普通と思うぞ?」
「いや、でも……!」
「あきらめろキョウジ。お主は『馬鹿』がつくほどのお人好しの善人じゃ。今更――――悪ぶろうとするな」
「そ、そんな筈は……! 私だって人並みに、悪い事しているはずなのに……ッ!」
 そう言いながらよろめくキョウジに、屁舞留は興味深そうに声をかけてくる。
「ほう? 例えば、どんな悪い事をしておったのじゃ?」
「小さい頃は、よく弟をからかって遊んでいたし……」
「まあ、普通男子(おのこ)は、年下の者をからかうものだの」
「学校の授業が退屈だったから、よく窓から外を見てぼーっとしていたり……」
「そう言う事をせぬ輩などおるのか?」
「研究に夢中になると、父さん母さんが『ご飯だよ〜!』って、呼びに来ても気がつかなかったり、すぐに行かなかったり……!」
「それはいかんな。食事はちゃんと摂らねばならん」
「最近だと、面倒くさい事は何かと口実をつけて、全部シュバルツにやってもらったりしているのに―――!」
「その件は、後でシュバルツとやらに懺悔して、たっぷり説教をしてもらうが良いぞ?」
「嫌だ―――ッ!! シュバルツが説教を始めると、長いから嫌だ――――ッ!!」
 そう言って寝っ転がってじたばたと暴れるキョウジに、屁舞留は呆れたように笑う。
「いい加減、あきらめよ、キョウジ……。その程度の悪事など、微々たるものじゃ。お主が『善人』である事実は動かしようがない。そして、その『影』も、また然りじゃ」
「ううう……そんな筈は……!」
 まだえぐえぐと泣き続けるキョウジに屁舞留は苦笑すると、その顔を村の方へと向けた。
「それよりもキョウジ……見てみよ。まだ、村の上空には、あの『闇』が鎮座しておる」
「……………!」
「お主の『影』があの村に入った事……そして、村の『場所』が変わった事……それで、あの村の運命が変わればいいのだが……の」
(シュバルツ……!)
 屁舞留の言葉に、キョウジは明確な答えを返せなかった。ただ今は、見守るしか術が無いのが現状だった。
 そして、キョウジ達が見守る目の前で、シュバルツが井戸や道具を改良して、村人たちにありがたがられ、伏し拝まれたりしていた。
「ほう! 素晴らしいのう! 本当にそなたの『影』は、神様の様じゃな!」
 そう言って満足そうに頷く屁舞留の横で、キョウジが頭を抱え、シュバルツが「私を拝むんじゃなあい!!」と、怒鳴り散らしていた。こうして、キョウジと屁舞留の『闇を払う戦い』が、静かに幕を開けたのだった。


 闇を払う戦い――――その『奇跡の瞬間』は、割と早く訪れた。
 一段と暗い闇を背負ったケイタが、材木を束ねた山の傍を通る。その瞬間、魅入られたように材木を束ねていた紐が切れた。
「――――!!」
 その先の悲劇を予感して、キョウジと屁舞留が息を飲む。だが、材木の束が、ケイタを襲う事はなかった。

「大丈夫か?」

 材木の束を片手で押さえ、涼しい顔をしてケイタを覗き込んでいるシュバルツ。
 その瞬間。
 ケイタの肩に張り付いていたどす黒い闇が、サアッ、と音を立てて彼から離れて行ったのだ。

「―――――!!」

 自分達の見た物が俄かに信じられなくて、キョウジも屁舞留も呆然としてしまう。
「キ………キョウジ……」
「な、何だ……? 屁舞留……」
「い、今の……見たか………?」
「ああ……。見た……。見ました……」
「吾らは、夢か、幻を見ておるのではないのか……? どれ、ちょっとつねってみようか……」
 そう言いながら屁舞留は、キョウジの太腿を思いっきりつねる。

「痛(いて)――――――ッ!!」

 キョウジから、当然のごとく大きな悲鳴が上がる。それを見て、屁舞留はホッと胸を撫で下ろした。
「ああ、痛いのか……。やはり、夢ではないのだな? 良かった……!」
「いてててて……。どうせなら、自分の身体をつねってくれれば……!」
 涙目になって抗議するキョウジに、屁舞留はしれっと答えを返す。
「仕方がなかろう。吾は、痛いのは好かん」
「そうですか……。あは……あはははは………」
 自分のわがままを苦笑しながら許してくれるキョウジに、屁舞留の顔にも笑みが浮かぶ。やはりキョウジは、底抜けのお人好しだと屁舞留は思った。

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