農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 210 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/12 22:00   >>

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「でもキョウジ……。あの闇を、確かにお主の影は払った……。と、言う事は……」
「そうです。運命は変えられる……!」
「変えられるのか……? 本当に、そうなのか……?」
 茫然と呟く屁舞留の手を、キョウジは強く握る。
「ええ、そうです……! 現に、あの少年の闇は、払えたじゃないですか!」
「キョウジ……」

「信じましょう、屁舞留」

 揺れる屁舞留の瞳を、キョウジの優しいが力強い眼差しが見つめる。

「必ずあの闇は――――打ち払う事が出来るのだと」

 しばし呆然と、そのキョウジの瞳を見つめていた屁舞留であったが、やがてフッと、その面に笑みを浮かべた。
「そうか……そうじゃな……」
「屁舞留……」
「信じねば、奇跡も起きぬと言う……。信じてみようか、吾も。その奇跡とやらを」
 屁舞留の言葉に、キョウジも笑顔で頷く。
「それではキョウジ、村の見回りに行くそ! 吾らにも、何か為せる事があるやもしれん!」
 そう言いながら屁舞留は、強引にキョウジの手を引っ張る。キョウジも、苦笑しながらもその後に続いた。


 それから月日はたって行くが、あの闇を払った奇跡はあれ以来見られない。村の上空にも、相変わらず『闇』は、鎮座したままだ。
(一体、何が原因でこの村は滅びるんだ……? 『天災』なのか、それとも『人災』故なのか……)
 キョウジもその原因を考えて首を捻るが、一向に答えが見えてこない。
「キョウジ……。やはり、この辺りの地盤は安定しておる。地震とか、噴火と言った災害が起こる事は無さそうだぞ?」
 この辺り一帯の地盤を調べていた屁舞留が、そう声をかけて来た。
「はやり病の気配もない……。この辺りは平和そのものじゃ。なのに何故、あの闇は消えぬのじゃ?」
 屁舞留のその問いに、キョウジも明確な答えを返す事が出来ない。互いにう〜ん、と考え込んでいる所に、ちょっとした事件が起こった。シュバルツが、怪我をした妖魔の子供を助けていたのだ。

「これが、『妖魔』と呼ばれる類の者か……。初めて見た……」

 シュバルツに手当てをされている妖魔の子供を、屁舞留が興味深そうに眺めている。
「初めて見るのか?」
 少し意外そうに聞いてくるキョウジに、屁舞留も振り向いて答える。
「ああ。この村が前あった世界でも、もしかしたら狐狸妖怪の類はおったかもしれぬが………こうして、目の前でじっくり見るのは初めてじゃ」
「そうですか……」
 そう応えるキョウジの前で、シュバルツが手際よく妖魔の子の足の手当てを終えると、「元居た場所に返してくる」と、妖魔の子供を抱きかかえた。そのままひょい、ひょい、と、器用に崖を上って行っている。

「……お主の『影』は、本当に何でもできる、優秀な奴じゃのう! あ奴こそ本当に、『神』ではないのか?」

 感心しながらそう言う屁舞留にキョウジも「止めてください!」と、怒鳴る。その周りで村人たちが、シュバルツに向かってこっそり手を合せて拝んでいた。
(ああもう………!)
 この誤解が誤解を招く様な状況に、キョウジも頭を抱えるしかない。何てことだ。シュバルツは、自分が出来る事をしているにすぎないのに。
 やがて崖の上から、シュバルツが帰ってくる。ストン、と、綺麗に着地したシュバルツを、村人たちが嬉しそうに迎えた。だが、そんなシュバルツを見た屁舞留は、何故か表情を硬くする。
「どうした? 屁舞留……」
 そんな屁舞留の様子に気が付いたキョウジが声をかけると、屁舞留がどうしたらいいのか分からないと言った表情を浮かべて、こちらに振り向いた。
「キョウジ……」
「どうした? 顔色が悪いぞ?」
「……………」
 しばし、何かを逡巡しているような様子を見せた屁舞留であったが、やがて、意を決したように顔を上げた。

「キョウジ……お主の『影』に、闇が貼り付いている……」

「えっ?」

 キョウジは瞬間、屁舞留の言っている言葉の意味が分からなくて、きょとん、としてしまう。そんなキョウジに理解を促すように、屁舞留はもう一度叫んだ。
「シュバルツの背後に――――他の村人たちと同じように、闇が貼り付いておるのじゃ!!」
「ええっ!?」
 その言葉が俄かに信じ難くて、キョウジは思わず叫んでしまう。それに対して屁舞留が縋るように言葉を続けた。
「本当じゃ!! 今から術でその様を見せてやるから、お主の目で確かめてみると良い!」
 屁舞留が印を結んで呪を詠唱する。すると、特殊なレンズの様な物がキョウジの目の前に浮かんで来て、それを通すと、キョウジにも屁舞留と同じように『闇』を見る事が出来るようになった。そして、キョウジもそれを通して見てしまう。村の皆と同じように、シュバルツの背後に貼り付いている『死の闇』を。

「馬鹿な……! シュバルツは、不死の筈なのに――――!」

「『不死』だと?」
 驚く屁舞留に、キョウジは頷いて返事をする。
「ええ。シュバルツはその身体を『DG細胞』と言う特殊な物で構成されている。だからシュバルツは、腕が千切れようが足が千切れようが、首が飛んでしまおうが――――DG細胞の『自己再生』によって組織が再生してしまう。だから、彼は死なないと言うか、死ねない筈なんだ……!」
「おお、そう言えば、『DG細胞』について、お主はそんな事を言っていたな」
 キョウジの話を聞きながら、屁舞留もまた、DG細胞とシュバルツとキョウジとの関係を、キョウジ自身から説明された事を思い出す。
「なのに何故……? まさか、シュバルツも村の皆と共に、死んでしまう可能性がある、と、言う事なのか……?」
 茫然と呟くキョウジ。シュバルツが『死ぬ』可能性を考えてはみるものの、いくら考えても、明確な答えなど浮かぼうはずがない。

「キョウジ……」

 心細そうな屁舞留の声に、キョウジははっと我に返る。すると、屁舞留が縋るような眼差しで、キョウジを一心に見つめていた。
「大丈夫だよ」
 優しい笑顔を、キョウジはその面に浮かべる。
「たとえ今、あの闇が浮かんでいたとしても、運命は変えられるかもしれないじゃないか。あの、ケイタ君の様に――――」

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