農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 215 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/17 12:44   >>

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 そのまま小さく身を振るわせる屁舞留の横で、キョウジもペタン、と、座り込んでしまった。
「何で……!」
 このままではいけない、立ち上がらなくては――――と、キョウジは己を叱咤する。
 だが、度重なる自分の無力さへの痛感は、彼から立ち上がる気力を奪うのに充分すぎた。

「何で―――――!」

 そのまましばらく、キョウジの嗚咽が響く。屁舞留は、ただ黙って空を見上げた。

 このキョウジは、そのまま自分の姿だ。
 村を失って、ただ泣くしかなかった自分の姿。
 どうすればいいのだろう。
 このキョウジのために、何を自分はしてあげればいいのだろう。

 不意に、ドンッ!! という大きな音が響いて、屁舞留の思考は中断させられてしまう。
「な、何じゃ!?」
 驚いて、顔を上げる屁舞留の目の前で、シュバルツの身体が木の幹に叩きつけられ、ずるずると力無く地面に滑り落ちて来ていた。それを見た瞬間、屁舞留は思わずキョウジに呼びかけてしまっていた。

「キ、キョウジ……! お主の『影』が……ッ!」

 そう言ってキョウジの方に振り返る屁舞留。その視線の先で、キョウジは涙を流しながら首を横に振っていた。

「……治せないんだ……! シュバルツの身体が……!」

「キョウジ……!」
 茫然と、呼びかける屁舞留に、キョウジはもう一度哀しげな声を上げた。
「治せないんだ……! 治せなくて……!」
「…………!」
 屁舞留は反射的に、そんなキョウジの手を握る。すると、キョウジから問いかけられた。
「屁舞留…………あの人たちは『神仙』の類の者なのか?」
 キョウジの言葉に屁舞留が戦場の方を見ると、刀を構えるシュバルツの視線の先に、先程桃畑を焼いた、『素戔鳴』がゆらりと姿を現している。二人は戦っているようであるが、どう見ても、素戔鳴の方が圧倒的優位を保っていた。
「ああ。吾は生まれてすぐ人間界に落ちた故、神仙界の事はよく分からぬが――――あれは、おそらく神仙の将であろうな。それも、相当上位の者だ……」
 屁舞留の言葉を黙って聞いていたキョウジであったが、やがて、小さなため息と共に口を開いた。
「……シュバルツが、『死ぬ』原因が分かった……」
「何?」
「神仙の者の力だ……。その力が宿る刃を受けると、DG細胞はその再生能力を失う。そのまま、壊れて行くしかないんだ……」
「――――!」
「シュバルツの傍にいて……何度も、何度も、治そうと試みてみたけど……ッ!」
 シュバルツが仙界軍の矢をその身に受けた瞬間、身体に走った青白い『ひび』が、キョウジの目にははっきりと視えた。
 この傷は『普通』じゃない。治せない――――そう悟ったキョウジは、シュバルツの身体を何とか治そうと試みる。だが、シュバルツの身体に触れることすら出来ないこの状態では、キョウジの伸ばした手はシュバルツの身体を、空しく通り抜けて行くばかりで。
「……何故……! どうしてだ……! シュバルツは『今』苦しんでいるのに――――!」
 頭を抱えて、小さく丸くなってしまうキョウジ。

「こんな時に……! どうして私は……! シュバルツに対して……何も、してやる事が出来ないんだ……ッ!」

 そのまま、キョウジは泣き伏してしまう。小さく丸くなった背中が、酷く痛々しかった。
「キ、キョウジ……!」
 屁舞留は知らず、キョウジの背に手を伸ばしていた。
「キョウジ――――!」
 何とかキョウジを、慰めたいと願う。だけど屁舞留も、この青年にかけるべき言葉を見つける事が出来ない。ただその背をさする以外に―――――術を持たなかった。

 更に、そんな二人に追い打ちをかけるかのように、ドンッ!! と、音を立てて火柱が上がる。そこが、村人たちが隠れていた洞窟の方角だと悟った瞬間、キョウジは絶句して息を飲み、屁舞留はただ、哀しそうに瞳を伏せた。

「汝が、何かを懸命に守ろうとしていたのは、分かっていた!」

 シュバルツに対して、仁王、素戔鳴の怒声が響く。
「だが――――残念だったな……。汝が守ろうとした最後の者たちも、灰燼に帰した。後は……汝だけだ」
「ああ……!」
 仁王の言葉に打ちひしがれたのか、シュバルツはガクッと、膝をついてしまう。その瞳から、きらきらと光る物が零れ落ちていた。

「……何故だ……!」

 シュバルツから、絞り出される様な声が発せられる。
「『神』とは、人を守るものだろう!? それなのに何故――――このような事を………!?」
「『神』とは――――『人を裁く者』だ!!」
「な…………!」
 仁王の言葉に、シュバルツが息を飲む。だが屁舞留は、その言葉に『違和感』を覚えた。

『神』とは、『人を裁く者』なのか?
 本当にそうか?
 でもそれは、自分が感じていた『神』の在りようとは、酷く違う様な気がする。
 神とは――――『人を見守る者』ではないのか?

「少なくとも……吾の『神としての役割』は、そうだ」
「…………!」
 シュバルツは、ギリ、と、歯を食いしばっている。屁舞留も、ある程度「そうなのか」と、納得せざるを得なかった。一言に『神』と言っても千差万別。その役割も、おのずと違うものになって行くのだろう。
「ここの村人は……罪を犯した。なれば、罰を与えられなければならぬ!」
 傲然と言い放つ仁王に、しかしシュバルツも反論する。
「何故だ……! ここの村人たちは、真面目に土地神を崇めていた……! 野心も抱かず、無益な殺生もせず――――平和に暮らしていた筈だ! それなのに、何故――――!?」

「『妖魔』と交わっていたであろう!! この村は―――!!」

「な――――!」
 この仁王の言葉には、シュバルツも屁舞留も、そしてキョウジも絶句する。

 それは、『罪』なのか?
 ただ、その『種族』が違っている、と言うだけで――――!?
 

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