農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 219 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/20 14:53   >>

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「だから、泣くな、キョウジ……。お主は本当に、ようやってくれた」
「違う、私は――――!」
 頭を振って泣き続けるキョウジの髪を、屁舞留は優しく撫でる。
「それに、キョウジ……。吾も、そなたに謝らねばならぬ」
「えっ……?」
 意外そうに顔を上げるキョウジに、屁舞留は申し訳なさそうな顔を向けた。
「お主の『影』を、犠牲にしてしまった事だ……。お主にとって、あれは『大事な者』であったのだろう?」
「―――――!」
「それなのに、あんな形で死なせてしまって………吾はそなたにどう言って、詫びれば良いのか……」
「そんな………!」
 屁舞留にそんな事を言われてしまっては、キョウジはますます涙が止められなくなってしまう。
「『失った物』の多さで言うのなら……屁舞留、貴方の方が、はるかに多くて、大きいのに―――――!」
 そのまま屁舞留の着物の裾を掴んで、泣き伏してしまうキョウジ。その涙を止める術を知らない屁舞留は、ただ、キョウジの髪を撫でながら、天を仰いでいた。
(もう少し、吾に『神力』があったのなら……)
 思っても詮の無い事だ、と、屁舞留は分かってはいても、この時ばかりはそう願わずにはいられなかった。ただ、独りで涙を流していた自分の、その涙を止めたいと願って―――――この目の前の青年は、それこそ何の見返りも求めずに、自分に力を貸してくれたのだと言うのに。
 それをこんなに傷つけて泣かせてしまって――――本当に、酷い事をしてしまったと、思う。
 それでも、起こってしまった事の事実は動かしようが無いから、これはこれで受け入れて、前に進んで行くしかないのか、と、屁舞留が思おうとした時。

「よくない!」

 自分達のすぐ近くで、力強い女性の声が響く。
 驚いた二人が同時に顔を上げると、自分達のすぐ近くで、黒と赤を基調とした戦装束を身に纏った1人の女性武将が、腰に手を当てて叫んでいた。

「よくない! よくないでしょ! 何なのよ? これはぁ!!」

「か、甲斐……ど、どうしたの?」
 そんな彼女に、他のショートヘアーの女性が、恐る恐る、と言った按配で声をかけてくる。彼女の言葉から、今叫んでいる女性の名前が『甲斐』と言う名であると分かった。
「どうしたもこうしたもないわよ尚香!! このままでいい訳が無いって言ってんの!!」
 問うてきた女性に、その甲斐と言う女性は、まるで噛みつく様にくってかかっている。
「だ、だから……何が?」
「誰か一人が哀しいままで――――先に進んじゃ駄目だって、言っているのよ!!」
「――――!」

「何よ!! この哀しい雰囲気!! こんなままで――――あの妖蛇に立ち向かえるって、まさか本気で思っているの!?」

「……………?」
 この叫ぶ甲斐と言う女性が、何を言わんとしているのかを瞬間的に測りかねたキョウジと屁舞留は、互いに目を見合わせて首を捻る。だが、その女武将は陣屋の真ん中で、尚も叫び続けていた。幸せになるのなら――――皆で幸せにならなければ、駄目なのだと。

「ねえ! また、いつもみたいに、かぐちんの力を使って過去に帰って、あの人を救う事は出来ないの!?」

「な……! 『過去』に帰るじゃと!?」
「そんな事が出来るのか!?」
 驚くキョウジに、屁舞留は少し首を捻りながら答える。
「かなり強い『神力』を持つ、上位の神仙の者であれば、そんなことも可能なのかもしれぬな……。吾には想像もつかぬ事だが……」
 そんな二人の視界に、1人の神々しい『気』を纏った1人の巫女が、楚々と歩み出てくる姿が飛び込んできた。どうやら彼女が――――過去に帰る術を持つ者であるようだった。

「確かに……素戔鳴様の襲撃に遭われる前の村とあの方に接点のある方を見つける事が出来れば――――村も、あの方も、御救い奉る事が出来るやもしれません」

 巫女がそう言い切った事に、キョウジも屁舞留も驚いて息を飲む。
 本当に、そんな事が可能なのだろうか。
 あの戦を、あの悲劇を
『否定』するために、やり直す事が出来ると――――?

 だが問題は、過去のシュバルツと接点のある者が居るかどうか、と、言う事であった。
 1人、典韋と言う武将が名乗りを上げたが、彼の『縁』では妖蛇の力が邪魔をして――――シュバルツの過去に戻る事が出来ないと言う。

「何と言う事じゃ……! せっかく『道』が見えておるのに――――!」
 歯がゆそうに叫ぶ屁舞留の横で、キョウジはポツリと呟いた。

「いや………。1人だけ、居る」

「何っ!? 誰じゃ!? それは!!」
 いきなり屁舞留にくってかかられる様に迫られたから、キョウジの方もかなり面食らってしまう。
「うわっ!! 屁舞留!?」
「誰じゃ!? キョウジ!! 誰なんじゃ!! もったいぶらずに教えんか!!」
「ちょっ……! 屁舞留! 痛いって!! これじゃ話せないから離してくれ――――ッ!!」
 キョウジの叫び声に、はっと我に帰った屁舞留。自分がかなりキョウジの襟首を乱暴に掴んで揺さぶっていた事に気がついて、慌ててその手を離す。手を離されたキョウジは、軽く咳き込んでいた。余程苦しかったらしい。
「す、すまんの。キョウジ……」
 はにかみながら、顔を赤らめて謝って来る屁舞留に、キョウジも「いえ……」と、苦笑を返す。キョウジは呼吸を整えると、おもむろに話しだした。
「一人だけいるんです。あの村と過去のシュバルツに接点を持ち、なおかつ、妖蛇の魔力の影響も受けずに、過去に戻ることができる縁を持つ者が……」
「うん。だからそれは、誰なんじゃ?」
 先を促すように聞いてくる屁舞留に、しかしキョウジは何故か、少し躊躇うような表情を見せた。

「だけど私は……その子の『縁』を使うのは、ちょっと考えてしまいますが……」

「その子?」
 首を捻る屁舞留に、キョウジは頷いて答えようとする。だがそれよりも早く、その『縁』を持つ人物が、陣屋の広場に現れていた。

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