農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 220 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/21 23:50   >>

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「ぼ……僕の――――」

『子供』の声が、そこに響く。

「ぼ、僕の『過去』では……駄目、ですか………!?」

「使える『縁』とは――――まさか、ケイタか!?」
 おずおずと進み出て来たケイタに、屁舞留が驚きの声を上げる。それに対して、キョウジは頷いた。
「そう。ケイタ君ならば、あの村の住人だし、過去のシュバルツとの接点もある。だから、過去を戻るために必要な『縁』を持っている、という点では、これ以上ないと言うくらい、うってつけの人物だ。ただ――――」
「ただ―――――何じゃ?」
 問い返す屁舞留に、キョウジは少し難しい表情をする。
「考えてみてくれ、屁舞留。ケイタ君が『過去』に戻ると言う事は――――」
「うん」

「もう一度、あの『戦』を、経験する事になるんだ」

「――――!」
 キョウジの言葉に、屁舞留ははっと息を飲む。キョウジは、少し哀しそうに瞳を伏せた。
「自分で戦えて、身を守る術もある『戦士』であるならばまだいい。だけど、ケイタ君はそうではない。今回は運良く助かったけど、今度はもしかしたら死んでしまうかもしれないんだ」
「あ…………!」
「それでも屁舞留は……『もう一度命をかけて過去に戻ってくれ』と、あの子供に言えるか………?」
「…………ッ!」
 キョウジのその言葉に、屁舞留も答えに窮してしまって唇を噛みしめる。
 自分達が命をかけて、ケイタを守れるのならばまだいい。
 だが自分達では――――現世の人間たちに関わる事が出来ない。ただ、傍観するしか出来ないのだ。
 本当に、何も出来ないに等しい自分が、歯痒かった。

 ケイタの声を聞いて、それまで幕舎の中で悄然としていたハヤブサが、広場の方に飛び出してくる。手には、シュバルツのコートを握りしめたまま――――
「ハヤブサ……!」
 キョウジはハヤブサに声をかけるが、当然ハヤブサの方は気付かない。ただ、食い入るように一心に――――ケイタの方を見つめていた。
 だがそれ以上踏み出さない、龍の忍者。
 感じている躊躇いは、おそらく一緒なのだろう。
 優しい人だな、と、キョウジは思った。
 だからシュバルツも、ハヤブサの事を――――

 この状況を見て独りの武将がケイタに問うていた。

 良いのか?
 本当に、良いのか。
 お前は死ぬ事になるかもしれない。
 それでも過去に、戻るのか。

 その『願い』に――――命を賭すだけの覚悟が、お前にはあるのかと。

 ケイタは叫んだ。
 震えながら。

「僕は死んでも良いから、皆を助けて!」

 その声に、龍の忍者が応えた。

「ケイタ……! お前の望みは、そのまま俺の望みだ。だから俺は……それを叶えるために、最善を尽くす……!」

 そう言いながら、涙を流してケイタに頭を下げるハヤブサ。その姿を見ながら、キョウジもまた――――つられ泣きしそうになってしまって、慌てて涙を拭っていた。
 本当に――――自分は霊体になってから、泣いてばかりだ。よくもまあ、これだけ自分から涙が出てくる物だと、キョウジも自身に呆れかえってしまう。

「ハヤブサ!! 良かったな!!」

 ケイタと握手するハヤブサの周りを、あっという間に武将たちの祝福の輪が取り囲む。二人はその輪の中心で、もみくちゃにされてしまっていた。
 その光景を見て、キョウジは悟る。
 シュバルツと別れてから歩んできたハヤブサの道は
 数多くの『仲間』を得るのにふさわしい物だったのだろうと。

「な? キョウジ。『零ではない』と言う事は、凄いじゃろう?」

 屁舞留が笑いながら、キョウジにそう声をかけてくる。
「しかし、こんな風に繋がるとは思ってもいなかったがな!」
 そう言って笑いだす屁舞留に、キョウジもようやく笑顔になった。

「それにしてもキョウジ」
「何? 屁舞留……」
「この『リュウ・ハヤブサ』と言う男……少々変わっておるな」
「えっ? 変わっているって?」
 屁舞留のこの言葉に、キョウジも少々興味をかき立てられる。
「どのように『違う』のかな? ハヤブサは『人間』の筈だけど……」
 キョウジの言葉に、屁舞留は「うむ」と頷いた。
「確かに、あ奴は『人の子』だ。だが、人の子にしては、少し……変わった『気』を放っておるな……」
「『気』ですか?」
 問い返すキョウジに、屁舞留はハヤブサの方を見つめながら答える。
「うむ。あれは……まるで、『人の子』の身体の中に、『龍神』を封じ込めておる様な――――」
「…………!」
 屁舞留のこの言葉に、キョウジもはたと思い当たる。
 以前ハヤブサの血液を調べさせてもらった事があるのだが、確かに彼の血液からは、常人とは違うデータ値が叩き出されていた。それはつまり、そう言う事なのだろうか。
 思わず、学術的好奇心が疼く。
 知らず、自身の研究室をめがけて、キョウジは走り出しそうになってしまっていた。
(いやいや、落ちつけ、キョウジ・カッシュ……! ここは異世界だ。自分の研究室に戻ろうにも、戻りようが無いんだから――――)
 そうやって1人でじたばたしているキョウジに気づいているのかいないのか、屁舞留は更に言葉を続けていた。
「キョウジ……あ奴、強いであろう?」
「そうですね……。常識では考えられないぐらいに」
 苦笑しながら答えを返すキョウジに、屁舞留も「そうであろうな」と頷いた。

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