農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 200 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/04 14:08   >>

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「あははは……違うよ」

 シュバルツの言葉を、キョウジは明るく笑って否定する。
「私だけは、ここでは異質の存在になるんだ。『霊体』になっているから、外からこうしてお前の心の中に、入り込む事が出来るんだ」
「霊体………」
「そう。ほら……私は、死んじゃっているからね」
「……………」
 キョウジの話を聞いていたシュバルツの瞳が、見る見るうちに哀しみに曇って行く。
「………済まなかった、キョウジ。守れなくて――――」
「ああっ! 違うよ、シュバルツ! 謝らないでくれ!」
 キョウジは駆け寄って来て、シュバルツの頬に優しく触れる。
「あの状況は、誰にも、どうしようもなかったんだ。誰だって、あんなのが急に自分の足元から襲ってくるなんて、想定しないだろう?」
「それは、そうかもしれないが………」

 それでもと、シュバルツは歯噛みする。
 いくら強い力を持っているとは言っても
 肝心な時に守ろうとする人すら守れないならば
 自分の『力』になど――――何の意味もないではないか。

「それに……私はこれから先の事、そんなに悲観はしていないよ」
「? どう言う、事だ?」
 キョウジの言葉を瞬間理解しかねて、シュバルツは問い返す。それに対してキョウジはにこりと微笑んだ。

「だって、まだあきらめていない人がいるからね。失われた私の時間を、取り戻す事を――――」

「―――――!」
「ハヤブサだよ。あの人は、貴方の次に、私も取り返そうとしてくれている」
「ハヤブサが……!」
 しかしどうやって、と、呟くシュバルツに、キョウジは答えを返した。
「私の死は、妖蛇が深く関わっている。だから、あの妖蛇を倒して、その上であの時間軸に戻る事が出来れば――――」
「妖蛇の出現自体が無かった事にされて……お前を、取り戻せると――――?」
「ご名答」
 明るく答えを返すキョウジに対して、シュバルツは息を飲んでいた。
「本当に……そんな事が出来るのか?」
 その問いに対して、キョウジは力強く頷いた。

「出来る。現に貴方も取り戻せたじゃないか。『運命の悪意』から――――」

「運命の悪意?」
「うん。本当なら貴方は、先の戦で死ぬはずだったんだ」
「な―――――!」
 キョウジの言葉に、本当に絶句してしまうシュバルツ。
「それをハヤブサや皆が力を合わせて手を伸ばしてくれたから――――こうして、貴方を無事に取り戻す事が出来たんだ」
 そう言いながらキョウジが、手の中からポウ、と、光の玉を発生させる。シュバルツがそこを覗き込むと、その中に、ハヤブサと、ハヤブサの腕の中で眠りこけている自分の姿が浮かび上がってくる。どうやらこれが、現在の自分達の姿らしかった。何処から取り出してきたのか、簡易の布団の様な物に二人の身体がくるまれている。自分を抱きしめて眠るハヤブサの頬には、涙が光っていた。
(ハヤブサ………!)
 その涙に、何故かシュバルツは胸が締め付けられるのを感じる。じっとハヤブサを見つめるシュバルツを、キョウジもまた無言で見つめていたが、やがて、小さなため息と共に口を開いた。

「シュバルツ……貴方は知らなくてはいけない。ここに至るまでに何があったか……。私やハヤブサが、何をしてきたか――――」

「キョウジ……」
 振り返るシュバルツに、キョウジはにこりと微笑んだ。
「情報の量は膨大だが、幸いにして貴方も私も今は霊体の状態だ。だから、この作業も時間的には一瞬で済む」
「…………!」
「シュバルツ、手を出して」
 キョウジに言われるままに、シュバルツは手を差し出す。するとキョウジは、その手の上に、己が手を優しく重ねてきた。

「瞳を閉じて……。心を楽に――――」

 その言葉と共に、キョウジの掌から光が溢れだす。
 そしてシュバルツは知る事となった。
『死後』のキョウジが、何をしていたのかを。
 そしてハヤブサが、如何にして自分を取り返してくれたのかを―――――


 以後は、キョウジの視点で物語が進む。

 足元の床がいきなり抜け、四散する部屋。飛び散る破片の中、シュバルツがこちらに向かって手を伸ばしている姿が見える。キョウジも、それに向かって手を伸ばさなければと思った。だが次の瞬間――――激しい衝撃に見舞われて、自分の意識はそこで途切れてしまった。
 そして、次に目を開けた時には、辺り一面瓦礫の海と化していた。
(あれ? ここは何処だ? 私は一体、どうなっているんだ?)
 きょろきょろと周りを見回すと、自分のすぐ頭上を、咆哮を上げて暴れまわり、街を破壊している巨大な龍の首がよぎって行った。キョウジはそれを見ながら、あれがこの瓦礫の山の原因か、と、何となく事態を把握する。
(それにしても……身体に痛みが無いって言うのも妙な話だよな……。あれだけ激しい衝撃を受けたと思ったのに――――)
 と、ここまで思い至ったキョウジだが、すぐに自身に起きた状態異常に気がつく事になった。何故なら――――自分の身体がふわふわと浮いていたからだ。
(えっ? 何で私の身体が浮いて……? て、言うか、周りの物に触れない!)
 瓦礫に触ろうとしたキョウジの手が、スカッ、スカッ、と、その瓦礫を先程から素通りしている。

 嫌な予感がする。
 この状況、統合的に判断するに
 もしかして私って――――

 ………………死んだ?

 チ――――――ン。

 キョウジの頭の中に何故か、お鈴の音とお坊さんの「ご臨終です」という声が響き渡った。
 

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