農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 201 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/02/04 23:51   >>

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0


 い…………いやいやいや。
 いや待て、キョウジ・カッシュ。とりあえず落ち着こう。
 心を落ちつけて、深呼吸をする。吸って……吐いて……吸って……吐いて……。

 よし、身体が軽くなった。
 当たり前か。浮いているんだものな。
 あははははは………は………。

 不毛な独り会話を楽しんだ後、キョウジは己が身体を探すことに専念する。
 自分の身体はすぐに見つかった。
 瓦礫の下敷きになってしまっているその身体。瓦礫越しに見えた自分の身体は、首から上が――――無かった。
(……………!)
 流石にキョウジも、この異様な光景には息を飲んでしまう。
 しばらくその身体を見つめ、茫然としていたが、やがて、認めざるを得なくなってきた。
 自分はやはり―――――死んだのだと言う事を。

「キョウジ!!」

 シュバルツが、自分を呼ぶ声がする。
(ど、どうしよう――――!)
 キョウジは何故か罪悪感にさいなまれてしまった。自分が死んでしまっている事を、とにかくシュバルツには知られたくないと思った。

「キョウジ!!」

 シュバルツは左腕を失い、左足も千切れかけて、満身創痍の状態だった。それなのに自分の事などまるで顧みず、懸命に――――キョウジの名を呼び、探し続けていた。
(シュバルツ!! 私はここだよ!! 探し続けなくて良いよ!!)
 シュバルツの傍に行って懸命に大声で叫んでみるのだが、当然のごとくシュバルツには聞こえていない。
(ど……どうしよう、どうしよう、どうしよう――――!)
 自分を探さなくて良い。自分のあの身体を見て欲しくないとキョウジは願うが、それを伝える術がない事実に、焦りの色を濃くする。
 ふと上空に、1羽の鳥が旋回しているのが見えた。
(ハヤブサの鳥だ!)
 そうと悟った瞬間、キョウジは思いっきり口笛を吹いていた。吹いた後に、自分は霊体だから、聞こえる筈が無いと言う事実に気づく。しかし、その鳥は――――自分の方に向かって降りて来てくれた。
(この鳥……私が、視えているのか……?)
 その隼と、視線がぶつかり合う。それが答えだとキョウジは感じた。

「お願いだ!! お前の主を……! ハヤブサをここに呼んで来てくれ!!」

 隼は一声高く鳴くと、上空へと飛び立っていった。

 ホッとしたのもつかの間、シュバルツはついに、キョウジの身体を見つけてしまう。
「キョウジ……! キョウジッ!!」
 懸命に、キョウジの遺骸の上から瓦礫を退けようとするシュバルツ。
(シュバルツ!! いいって!! お願いだから、私の事なんか放って逃げてくれ!!)
 キョウジは必死になって、シュバルツの傍で大声を出したり服を引っ張ろうとしたりして、彼を止めようとするのだが、やはり、その努力は徒労に終わってしまう。そしてついに――――シュバルツはキョウジの身体の総てを見てしまった。首の無い、キョウジの身体を。

「え……? キョウ、ジ……?」

 そのまま ペタン、と、その場にへたり込んでしまうシュバルツ。

(だから言ったのに……!)
 キョウジはそんなシュバルツを、歯を食いしばりながら見つめていた。

 どうして
 どうして私など、探したりしたんだ……!
 あれほど止めたのに。
 探すなって言ったのに――――!

「キョウジ……? キョウジ……!」

 聞いたこともない様な上ずった声で、シュバルツが自分の身体に向かって呼びかけている。彼の右手が、自分の身体を起こそうと、懸命にゆすっているのが見えた。

(……………!)

 ショックだった。
 とにかく、衝撃を受けた。

 自分の『死』が、こんなにもシュバルツにダメージを与えてしまうなんて、想像もしていなかったから――――
(私はここに居るよ)
 そう言った所で、シュバルツにはもうこの声すら届かすことが出来ない。
 もうシュバルツに、何もしてやれない自分が哀しくて悔しくて仕方がなかった。

「キョウジ……ッ!」

 動かない身体に向かって懸命に呼びかけ続けているシュバルツの姿は、まるで親を失ってどうしたらいいか分からなくなっている幼子の様だった。

 やめろ
 やめてくれ
 どんなに呼びかけられても、私はもう応えられないのに――――!

「シュバルツ!!」

 あの隼が舞い降りてくると同時に、その主であるハヤブサがそこに来てくれた。
「―――――!」
 ハヤブサは一瞬、キョウジの遺骸を見て息を飲んだ後、すぐにシュバルツの方に走り寄って行った。そのままシュバルツに声をかけ、自分の遺骸の方に歩み寄って行く。
「……………」
 ハヤブサはひどく丁寧に――――自分の身体を『死者』として、扱ってくれた。キョウジの手を胸の前に交差させて、その前に頭を垂れている。
 そのハヤブサの姿を見て、キョウジは何故かホッとしていた。
 もう、『生』に対して足掻かなくて済むと思って、何かの肩の荷が下りた気がした。
 ハヤブサがそうしてくれたことで、自分の『死』と言う物を改めて認識する事が出来る。よく分からないけれど、『死者』を『死者』として厳かに扱う行為にも、ちゃんと意味がある物なのかな、と、キョウジは漠然と感じていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 201 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる