農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 225 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/01 01:01   >>

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「そうか……」
 屁舞留がそう返事を返している間にも、キョウジはまた別の遺骸の所に行って手を合わせている。屁舞留が振り返ると、そこかしこに沢山の遺骸が転がっていた。
(キョウジは、これ全員に同じ事をするつもりなのであろうか……)
 屁舞留は小さなため息を吐いてから、顔を上げた。
「お主独りでは大変であろう。吾も手伝おう」
「屁舞留……!」
 キョウジが振り返ると、屁舞留はもう他の遺骸の前に行って、手を合わせている。しばらくそうして戦場を供養して回っていた二人であったが、やがて、戦いの方に動きがあった。ハヤブサが戦場にかかる橋を落とし、1人で戦う事を選択していたのだ。

「ハヤブサ!?」

 落とされた橋の向こう側に居る龍の忍者に、呼びかけるシュバルツ。ハヤブサはにこりと微笑みかけると、踵を返して戦場へと向かって行っていた。その様を見て、屁舞留は茫然とする。
「馬鹿な……! あ奴は何で自ら進んで一人になったのじゃ!?」
「おそらく、この後襲撃してくるであろう、素戔鳴軍に備えるためだ……」
「何故じゃ?」
 問い返してくる屁舞留に、キョウジは瞳を曇らせる。
「シュバルツと素戔鳴を邂逅させないためだ。神仙軍は、シュバルツのDG細胞を破壊してしまう力があるから――――」
「…………!」
 キョウジの言葉に屁舞留は息を飲むしかない。
「馬鹿な……! あ奴はたった1人で、あの素戔鳴と戦うつもりで居るのか!?」
「そう言う事になるね……。そうしなければ、村人たちもシュバルツも救えない。ハヤブサは、そう考えているのだろう……」
 無茶苦茶だ、と、屁舞留は思った。
 いくら龍の忍者が『強い』とは言え――――
 あれだけの『神気』を誇る素戔鳴に1人で挑むなど、正気の沙汰ではないと思う。
 そうまでして――――

「そうまでして……ハヤブサはシュバルツを『救いたい』と、願っているのだろう」

「―――――!」
 そうだった、と、屁舞留は思った。
 ハヤブサは過去にシュバルツを目の前で失った時、『魔神』に暴走しかけている。
 それほどまでに、あの男にとっては耐え難いのだ。
 シュバルツを失う、と、言う事が。
 だが、それだけの事をハヤブサがやっていても――――

「じゃが……お主の影に張り付いている『死の闇』は、まだそこに鎮座したままだぞ……」

「な――――!」
 キョウジが息を飲む横で、屁舞留は哀しそうに瞳を伏せた。
 ハヤブサの背に形成されつつある『死の闇』は、まだ色も薄く、はっきりとした形も為していない。しかし、シュバルツの背にあるそれは―――――どうしようもないほどはっきりと、その存在を屁舞留の瞳に訴えかけてくる。
 死ぬのだ。
 この男は死ぬのだと。
 懸命に戦う龍の忍者の努力が総て徒労に終わってしまうのかと思うと、屁舞留はものの哀れすら覚えてしまう。
 龍の忍者が懸命に手を伸ばしていても、その死の運命が覆る気配の無いシュバルツ。一体どうすればいいと言うのだろう。

 対岸で茫然とハヤブサを見送っているシュバルツを、女性たちが懸命に説得している。彼女たちもまたシュバルツを生かすために、必死に働きかけを行っていた。シュバルツもそれに応じて、とりあえず村人たちと共に城へ向かう決意を固めてくれたようだ。
「屁舞留、私はシュバルツの後を追うが、貴方は――――」
 どうする? と、キョウジが問う前に、屁舞留が応えた。
「吾も、キョウジと共に行くぞ」
 こうして二人は、城へと向かうシュバルツ達の後を追った。


 妖魔の軍に追われながら逃げる村人たち。
 敵と味方の区別がつかない戦場は、混乱を極めていた。
 流れ矢に当たって命を落とす者。妖魔に襲われて絶命する者が続出する。それはいくらシュバルツや甲斐姫が奮戦したと言っても、防ぎきれるものではなかった。
 徒に犠牲が増えて行くこの現状――――キョウジも屁舞留も、ただ歯を食いしばって見つめているしかなかった。声は届かず、庇おうと差し出した手は空しくすり抜けて行くだけ。己の無力を痛感する。
(…………!)
 そんな中、シュバルツは傷だらけになりながらも、何とか村人たちを守ろうとしていた。シュバルツが傷を負うたびに、キョウジの方にも同じ個所に痛みが走る。これは、気のせいなのだろうか。
 だがシュバルツの身体のDG細胞は、ゆっくりとだが彼の傷を癒していた。
 やはり、妖魔たちの攻撃では、シュバルツは死ぬことはないのだと知る。彼が『死』を迎えるとしたら、それは仙界軍の攻撃のみなのだ。
「……ハヤブサが戦っている方には……素戔鳴が来ているようじゃな……」
「…………」
『素戔鳴』と言う単語が、キョウジの心に暗雲を投げかける。
 シュバルツは、行ってしまうのだろうか。
 ハヤブサを守るために、素戔鳴の所へ。
 例え、自分が死ぬと分かっていても――――

 行く。
 行ってしまうよな。
 シュバルツは、そう言うヒトだ。


 劉備の城が視界に入るぐらい近づいてきた。
 それと同時に、仙界軍の兵士たちも、村人たちに迫って来る。
 それを見たシュバルツがついに――――ハヤブサの方に行くと、断を下してしまった。
「駄目よ!!」
 甲斐姫が懸命に、シュバルツを止めようとその前に立ちはだかる。
 援軍が来るまで待って、と、呼びかける。
 しかし、それでシュバルツが止められる筈もなく、彼女をすり抜けて、シュバルツは去って行ってしまった。後には座り込んで号泣する彼女が1人、残された。

 援軍を待っていたのでは間に合わない。
 そう言った、シュバルツの答えも正しい。
 援軍と共に行動するべき。
 こう主張した、彼女の答えも正しい。

 だから、彼女にはあきらめないで欲しかった。
 シュバルツを止められないのならせめて
 せめて、援軍を

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