農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 226 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/02 00:31   >>

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「駄目じゃ、キョウジ! 劉備殿の城に居る関羽と言う将軍は、援軍を出す事を渋っておるぞ!?」

 キョウジから離れて一足先に城の様子を見に行っていた屁舞留が、涙を浮かべながらそう言って帰ってきた。
「――――! やはり………!」
 援軍の遅滞が確固たるものになってしまって、キョウジは天を仰ぐ。
「もう、駄目なのじゃろうか……!? このままでは皆が――――!」
 更に犠牲者が増えそうな予感に、屁舞留は震えている。キョウジは歯を食いしばると、屁舞留の手を取った。

「もう一度、彼女に呼びかけてみよう」

「え……っ!?」
 驚いた屁舞留が顔を上げる。
「何を言っておるのじゃ!? キョウジ!! 吾らの声など聞こえぬと、あれほど――――!」
「それでも!!」
 否定する屁舞留の声を、キョウジの大声が遮る。
「それでも……! 今、この現状を打開するには、彼女に動いてもらわなければならないんだ!! 劉備殿の援軍が無ければ、あの城の門が開かなければ、皆助からないのだから――――!」
「…………!」
 息を飲む屁舞留を、キョウジはまっすぐ見つめる。

「無駄でも、呼びかけてみよう」

 キョウジの手が、屁舞留の手を強く握った。

「力を貸してくれ、屁舞留」

 まだ、あきらめたくない、と、キョウジは言う。その言葉に、屁舞留も頷いた。
「分かった……」
 そう言う屁舞留にキョウジも「ありがとう」と微笑むと、二人で彼女の傍に立った。

 あきらめるな!
 まだ……あきらめるな!

 そうやって、泣き続ける彼女に、何度呼びかけた事だろう。
 一向に泣きやむ気配の無い甲斐姫の姿に、流石にキョウジも(無駄なのだろうか)と、思うようになってしまう。それを頭を振って振り払うと、また呼びかけ続けた。自分は、それしか出来ないのだ。99回叫んで駄目なら、100回叫ぶ。999回叫んで駄目なら、1000回叫ぶ――――キョウジはそう覚悟を決めて、呼びかけ続けた。
 そうすればいつか
 いつか、奇跡の『1回』が――――

「……………!」

 泣いていた甲斐姫が、まるで何かを聞いたかのように、突如として顔を上げる。
 そんな彼女に、キョウジはもう一度呼びかけた。

(まだ……まだ、あきらめるな!)

「あ…………!」

(こんな所で泣いている場合じゃない)

 その声を、確かに『聞いた』彼女は、ぐしっと、己の涙を拭っていた。

 あきらめて、泣き崩れるのは簡単だ。
 だけど、そうじゃないでしょう。
 まだ状況を変えるために、足掻ける道が、貴方にはあるでしょう?

 ならば、ちゃんと足掻け。

 最後まで―――――

 そう感じた甲斐姫は立ち上がると、金拵えの武器を拾って、城に向かって走り出していた。


「…………!」
 そんな彼女の後姿を見送っていたキョウジは、呆けたようにその場に座り込んでいた。
「大丈夫か!?」
 驚いた屁舞留が、キョウジの顔を覗き込むようにして、その隣に座る。キョウジはゆっくりと屁舞留の方に顔を向けると、口を開いた。

「今………もしかして彼女に、私たちの声が聞こえた……?」

「分からん……。だが、お主の呼び掛けに反応したように、見えたな……」
「………………」
 屁舞留のその言葉に、暫く呆けたようにその場に座り込んでいたキョウジであったが、やがて、「シュバルツ」と、小さく口の中で呟くと――――また、立ち上がった。
 傷だらけのままで、ハヤブサの元へと向かってしまったシュバルツ。
 彼の後を追わなければ、と、キョウジは思った。
「私はシュバルツの後を追うが………屁舞留はどうする?」
「ならば吾は、村人たちの後を追おう」
 キョウジの問いかけに、屁舞留は即答した。

「残った村人たちが皆助かるかどうか―――――吾は、見届けねばならぬ」

 あの龍の忍者や甲斐姫たちがこの村に入った瞬間、少しだけだが小さくなった『死の闇』
 だから、見極めたいと、思った。
 ケイタから始まった小さな奇跡。それが、どこまで広がって行くのかを。

「そうか……。分かった……」
 キョウジはそう言って頷くと、シュバルツの後を追いだした。屁舞留もまた、村人たちと合流すべく、甲斐姫の後を追う。
 聞こえない筈の『声』を聞いた甲斐姫。これもまた――――一つの『奇跡』だ。キョウジと共に居るようになってから、自分はこんな『奇跡』を見てばかりの様に思う。

 もっと広がって欲しい。
 こんな『奇跡』が。
 キョウジの『影』に宿る闇も、何時か『奇跡』が起きて晴れてくれたらいいのに、と、屁舞留は祈るように願っていた。

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