農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 248 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/28 00:29   >>

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「屁舞留………」
 屁舞留にそうまで言われてしまっては、キョウジもこれ以上強く反対できないと感じた。
「分かった……」
 キョウジは観念したように、頷いた。

「ではキョウジ……。吾の手を取って、目を閉じてくれるか?」

「こうですか?」
 キョウジは言われたとおりに屁舞留の手を取り、そして目を閉じる。すると、屁舞留の霊体が『誦』を唱えながらキョウジの霊体の中に『入って』来た。
「―――――!」
 その独特な感触に、キョウジは一瞬身を強張らせるが、すぐに身体を包んでいた『違和感』は感じなくなった。その代わりに、身体に温かさが満ちて行く。屁舞留の『神気』が、キョウジの霊体になじんで来ているのだと悟った。
(分かるか? キョウジ……。今、吾はお主の中に入っておる。そのまま、主の『影』の方を見てみよ)
 屁舞留に言われるままにキョウジはシュバルツの方に視線を走らせて、思わず息を飲んでいた。屁舞留にしか見えなかったシュバルツの背に張り付いている『死の影』が、自分の目にも、はっきりと色濃く見えるようになったからだ。
「こんな……! シュバルツ……!」
(……分かるか? キョウジ……。お主の『影』に張り付いている闇の色濃さが……。あ奴の運命は、まだ覆ってはおらぬ。そして、死期もかなり近づいてきておるのだ)
「…………!」
 キョウジは信じられぬ思いでその『闇』を見つめていた。
 今目の前で行われているこの戦いには、誰にも何にも落ち度がない。それなのに、シュバルツの『死』の運命がまだ覆せていないだなんて――――

(それを、お主は覆したいのじゃろう?)

「―――――!」

 はっと、息を飲むキョウジに、屁舞留の声が語りかけて来た。

(あれを覆そうと言うのであれば、どう言うふうにやるにせよ、かなりのエネルギーを使うぞ。『呪』を習いたてのお主の力だけでは心もとないだろうから、吾が中からサポートしてやろうと言うのだ)

 嘘だ。
 本当は、キョウジ1人でも、それは可能であろうと屁舞留は感じ取っていた。
 だけど、それを1人でやった場合、絶対にキョウジがただでは済まないだろうから――――

「屁舞留………」

 戸惑うキョウジに、屁舞留の明るい声が響く。
(何、案ずるな、キョウジ。幸いにしてこの周りには、巫女、方術師と言った、吾らの助けとなり得る力を持った者たちもそろっておる。『呪』を発動させるのに必要な媒介も、すぐに見つかるであろうよ)
「……………!」
(太公望と言う者がここまで考えてこの面子をそろえたかどうかは定かではないが………この『偶然』は、我等にとってはありがたい事じゃ。だから、大事にせねばの)
 屁舞留のこの言葉に、キョウジも拳を握りしめた。

 そうだ。
 もうここまできたら、腹を括るしかない。
 シュバルツを救うために
 躊躇いや迷いが、あっては駄目だ。

 目の前では太公望や劉備たちが、素戔鳴に向かって説得を試みていた。
 シュバルツは完全な『魔』ではない。そこまで神経をとがらせる必要はない。
 人間と妖魔と神仙たちが力を合わせれば、どのような困難も乗り越えられるのではないかと――――

 しかし素戔鳴は、「駄目だ!!」と、その説得を言下に拒否していた。やはり、あの軍神の目には、シュバルツの身体を構成しているDG細胞の危険性が、どうしても看過できないもの、として映ってしまっているのだろう。
 だが次の瞬間、それまで黙っていたハヤブサが、素戔鳴を思いっきり殴り飛ばしていた。
「ぐうっ!!」
 地面に叩きつけられた素戔鳴の上に、龍の忍者が押さえつけるように乗って来る。起きあがろうとする素戔鳴の喉元に向かって、彼は龍剣をつきつけた。

「お前、もう死ぬか?」

 そう言い放つハヤブサの眼差しは、完全に『人斬り』の目をしていた。
「…………!」
 初めて見ると言っていい、そのハヤブサの険しい眼差しに、キョウジは思わず息を飲み、キョウジの中に居る屁舞留は怯えた。
 事実、ハヤブサは躊躇わないだろう。
 例えその剣先に『神』が居たとしても。
 一度『剣を振り下ろす』と決めたハヤブサは、迷わずそれを、成し遂げてしまう事を、キョウジは知っていた。

「ハ、ハヤブサ様!!」

 素戔鳴の危地を感じ取ったかぐやが、慌てて声を上げる。
「どうかお許しを……! 素戔鳴様は、我が神仙界には無くてはならぬ御方なのです!」
「…………」
 その声に黙して応えぬハヤブサに、甲斐姫もたまらず声を上げた。
「ハヤブサさん! 止めて!!」
 しかし、その声がまるで聞こえていないかのように、龍剣を素戔鳴に突きつけ続ける龍の忍者。あまつさえ、その龍剣を振り上げようとしている。
「ハヤブサ様!!」
「ハヤブサさん!! 駄目っ!!」

「ハヤブサ!!」

「――――!」
 シュバルツの叫び声に、ようやくハヤブサはその動きを止める。
 シュバルツは必死にハヤブサを見つめ、首を横に振っていた。
「……………!」
 それを見た龍の忍者は、小さく舌打ちをしながら素戔鳴の上から退いた。どうやら、シュバルツの『気持ち』の方を優先してくれたらしい。

「去れ!」

 短くそう言うと、龍剣を下げて素戔鳴に背を向け、そのまま龍の忍者はすたすたと歩き出していた。

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