農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 249 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/28 23:25   >>

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(終わったのか……?)
 キョウジの中に居る屁舞留がそう問いかけてくる。しかし、キョウジは首を振った。
「いや、まだだ……! 素戔鳴は、まだシュバルツを狙っている」
 前の時間軸でも、最後までシュバルツを狙い続けた素戔鳴。
 だからきっと、この時間軸でも―――――

「ハヤブサ!」

 シュバルツが、庇われていた関羽の影から出てくる。その瞬間、素戔鳴が動いた。

 ガキッ!!

 激しい金属音が爆ぜ、また静寂が訪れる。
 展開が速過ぎて、何が起こったのか一瞬理解できなかったキョウジであったが、シュバルツと素戔鳴の間で振り向きざまに龍剣を抜刀している龍の忍者の姿を見て、ようやく状況を理解した。つまり、素戔鳴のシュバルツに対する攻撃を、ハヤブサがふせいだのだと。

「な――――!」
 息を飲む素戔鳴に、龍の忍者はにやりと笑いかける。
「……やると思った」
「…………!」
 ギリ、と、歯を食いしばる素戔鳴に対して、ハヤブサは改めて龍剣を構えた。

「もし次に同じことをすれば――――かぐややシュバルツが止めても、俺は貴様を斬る」

 声音は静かだが、そこから漂う明確な殺気。それが素戔鳴に『これは脅しではない』と悟らせた。
「く…………!」
 素戔鳴は認めざるを得なくなった。
 もう本当に自分には、打つ手が無くなってしまったのだと――――

「引き上げるぞ!!」

 素戔鳴は、兵達にそう命を下す。生き残った兵達は、諾々と従った。
 最後まで龍剣を構え続けていたハヤブサであるが、素戔鳴の姿が完全に見えなくなった所でようやくその構えを解いた。それに合わせて、その場の空気も何となく緩んだ物になっていく。
「……………!」
 だがキョウジは独り、緊張の中に居た。

 まだだ。
 まだ、シュバルツの背中から、『死の闇』は消えていない。
 それどころか――――ますます色濃くなっていく闇の色。それは、彼の『死期』が近い事を警告していた。
(キョウジ……!)
 キョウジの中に居る屁舞留も、同じように感じているのだろう。酷く緊張した声で、屁舞留から呼び掛けられた。
「分かっている……! 屁舞留……!」
 キョウジは油断なく、辺りを見渡していた。

 必ず来る。
 シュバルツを『死』へと、導いてしまう何かが―――――
 だがそれは、
 何処から来るんだ――――?

 刹那。
『死んだ』と思われていた仙界軍の兵士の1人が、そろりと動いた姿が、キョウジの目に飛び込んできた。その兵士はそろそろと矢をつがえ、狙いをシュバルツに定めようとしている。
「―――――!」
 息を飲むキョウジの目の前で、今度こそシュバルツが「ハヤブサ!」と、叫びながら関羽の影から飛び出し、それをハヤブサが柔らかい微笑みで迎えていた。
 誰も、あの兵士に気づいていない――――そう悟った瞬間、キョウジは『悲劇』が避けられないものと知る。

 駄目だ!

 キョウジがそう叫ぶよりも早く――――その矢はシュバルツの脇腹に突き刺さった。

「シュバルツッ!!」

 ハヤブサの悲痛な声が響く。和やかだった場の空気が、一気に悲劇的な物へと変わった。
(さあ、ここからじゃな。キョウジ。用意は出来ているか?)
 屁舞留の呼び掛けに、キョウジは頷いた。
「ああ。私はいつでも行ける。だけど、『媒介』となる物が、まだ――――」

「どいてください!! ハヤブサ様!!」

 巫女かぐやが大声を出しながら、シュバルツの傍に駆け寄ってきた。
「微力ながら、治癒の法を試してみます!」
 そう言うと巫女かぐやは、シュバルツの傍に座り、玉串を構えながら祝詞を詠唱して行く。シュバルツの身体にその玉串を当てると、それは、ポッと、金色の輝きを放ち始めた。
「見つけた! あれだ! あれが『媒介』―――!」
 そう叫ぶキョウジに、屁舞留からも頷く気配が伝わってきた。
(そうじゃ。よく見つけたの。あれにお主の『呪』を乗せれば、お主の『影』にまとわりついている『闇』も、払う事が出来るやもしれぬ)
「分かった。やってみるよ」
 そう言ってキョウジは、一歩、前に進み出ようとする。そこに、屁舞留が声をかけて来た。
(キョウジ……。分かっておるとは思うが、『呪』を行う時は『心』が大事じゃ。特に、これから行う『呪』は自然の理をひっくり返すような大きい物であるが故、心の平静さが特に重要になって来る。何が起こっても、絶対に平静さを保って――――『気』を乱すでないぞ?)
 屁舞留の忠告に、キョウジは笑顔を見せる。
「ああ、分かっている……。気をつけるよ」
(吾もお主の『呪』をしっかりと支えてやるからの! だから安心して、やり遂げるのじゃぞ?)
「うん。ありがとう」
 キョウジの冷静な様子に、中の屁舞留から微笑む気配が返ってきた。
(では、共に参ろうぞ! 戦いの場に――――!)
「そうだね。屁舞留」
 こうして「二人」は、倒れているシュバルツの傍に、静かに歩み寄って行った。

「……じゃあ、まずは、気づいてもらう事から始めようか」
 シュバルツの傍に歩み寄ったキョウジが、そう言いながら手で『印』を結ぶ。とにかくここの皆に、こちらの存在に気づいて認知してもらわなければならなかった。そうしなければ、『呪』を発動させるための『回路』が構築できないからだ。
「私はここに居る……! 誰か、気づいてくれ……!」
 キョウジは目を閉じ、静かに呼びかけ続けた。

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